2022年10月28日

996RS TFD号 続報

 先日再びFISCOを走行してきました。10月も終わりに近づくとさすがにちょっと寒さを感じる毎日が続きましたが、この日の走行枠は13:40からと一番気温が上がるタイミングで気温も21度くらいと良いコンディションでした。先日の走行ではダンロップのスリックでしたが今回はピレリのスリックを使用しました。特にリアタイヤの大きさが各メーカーで異なるのでそれに対する車体側の調整が必要ですが、現状ではまだ走行のレベルが低いのでそのあたりはまだ適当です。

DSC00357 コンディションが良かった割にタイムは今一つで、先日のベストタイムを上回ることは出来ませんでした。走行していた他の方々も異口同音に、今日は何故かタイヤが食わない、と仰っていましたが、私もそう感じました。コカ・コーラコーナー(私的にはAコーナーと呼んだ方が判りやすいです)の進入は何かが怖くてかなり抑えての進入になっていましたし、300Rはいつもよりヨロヨロした感じでまったく全開に出来ません。全周を通してコース幅をいっぱいまで使うイメージで走れませんでした。それでも周りには自己ベストを更新した方もいらっしゃったので人それぞれかもしれませんけど。

DSC00356 最高速は更新しました。この日はストレートが向かい風だったので最高速は落ちるはずと考えていたのですが、前回よりも気温が低かったのが効いているのでしょうか。それとシフターのセッティングを変更したのでその効果かもしれません。今迄のシフターのカット時間は全てのギアに於いて一定にしていましたが、今回はギア段ごとの設定に変更しました。要するに高いギアほど、エンジン回転が高いほどカット時間を短くするという方向性です。これに関しては特に5速から6速にシフトする時のショックが減少してスムーズになったのを実際に体感しました。
 ところで私がFISCOライセンスを取得したのは1980年代の前半で、それから一度もライセンスを切らしたことは無く、ずっと更新し続けてきました。その割には年に数回しか走らないことが殆どで、一度も走らなかった年もあったくらいです。それでもライセンスを更新し続けたのは、要するにFISCOが好きなんですね。そういった意味でまだまだ走り込んでいないので自分には伸びしろがあると思っています。最高速が何キロ出た、というような楽しみもあって、これは他のサーキットにはない要素だと思います。
 ということで次回は低めの気温でストレートが追い風だったら何キロ出るんだろう、という期待もしています。
 余談ですが、私が初めて走行したサーキットはFISCOでした。バイクはベベルの900でした。既に30度バンクこそは走れなくなっていましたがその他はそのままで、100Rの手前の左コーナーは高速の260Rでしたし、ヘアピンを立ち上がったらその先はそのままメインストレートへつながる右の高速コーナーでした。最初は広いコース幅の何処を走ったら良いのか判らず、とりあえず真ん中を走っていたところ両側からものすごい勢いで抜かれて怖かった思い出があります。それでも少し走り込んでいくと周りの様子が良く見えてきて、当時FISCOを走っていた一番の大排気量車はカワサキのZ系でしたが彼らは高速コーナーでは常にグラグラと揺れまくっていて、それに比べるとベベルの900の方はそんな挙動が出ることも無くビシッと安定していて、ドゥカティの方が車体的にはかなり上を行っているんだな、と納得した記憶があります。
 で、FISCOメインだった自分が初めて筑波サーキットを訪れた時の印象です。トンネルをくぐってパドックに入ると左側がS字ですが、そこをバイクが全開で走っています。FISCOしか知らない私にはそこがピットロードに見えたんですね、狭いから。筑波を走っているやつらは危なすぎる!ピットロードをあんな勢いで走るなんて!と私はその時本気で思いました。(笑)その後ピットの上からコースを見渡して思いました。ここは全周がピットロードじゃん!(爆)
 いつの間にかそのサーキットが自分の走るメインのサーキットになったという訳ですけど。
  

Posted by cpiblog00738 at 09:05

2022年10月03日

996RS TFD号

 夏休み中に修理とオーバーホールを終えた996RS(エンジンは1098R)ですが、先日FISCOにて完成検査を行い、概ね問題が無いことを確認していました。その後ファイナルの見直しその他の細かいセッティングの変更を行い、今日その結果の確認のために再度FISCOを走らせてきました。それと走行のもう一つの目的は、先日の筑波TTの決勝レース中に転倒して怪我をした自分の体がサーキット走行出来るレベルまで回復しているかどうかの確認でした。

DSC00302 今日は天気も良く初秋を感じさせる良い天気にも恵まれ、走行はつつがなく終了しました。タイムも目標だった1分49秒切りを達成し、自己ベストを更新できました。非常に際どいタイムですが、百分の一秒差でも49秒00と48秒99では自分としての評価が全く違うんですよね。筑波で言えば1分0秒00と59秒99では全く価値が違うのと一緒です。


DSC00303 最高速もかろうじて300km/h越えを達成しました。最近のバイクは高性能化が進み過ぎているのでFISCOでの300キロ越えは当たり前に聞こえてくる数字ではありますが、21年前の車体に14年前の2気筒エンジンですから、非常に立派な数字だと思います。速度の計測も競技用のAIMのダッシュロガーでGPSによる計測ですから、おそらく掛け値なしの数字だと認識して良いと思います。まあ今時純正スピードメーターの数字を信じて浮かれる人も少ないでしょうし、GPSによる速度の計測でさえ製品によっては純正スピードメーター並みにサービス満点の数字を表示するものもあるようですから、どっちのバイクが速いかを比較しようと思ったら実際のところFISCOの直線で並んで走って比べてみるしか確認のしようがないでしょうね。
 
  
Posted by cpiblog00738 at 19:47エンジン/メンテナンス

2022年09月03日

バルブ

DSC00166 先日ブローしたエンジンのヘッドからバルブを取り外しました。そのままゴミ箱へと思ったのですが、その曲がり方にちょっと芸術を感じたので写真を撮ってみました。
  
Posted by cpiblog00738 at 14:22エンジン/メンテナンス

2022年08月29日

エンジンブロー

 お客様のエンジンが筑波サーキット走行中にブローアップ。私もその場所に居合わせており、急遽バイクを持ち帰り修理となりました。パッと見てオイル受けのカウルに冷却水が溜まっていて、ふとエンジンの下から上を見上げると前側気筒のシリンダーが割れている、、、。出場予定の筑波TTのレースまで約2週間ちょっと。果たしてエンジンの中はいかなる状態になっているのでしょうか?

DSC00139 エンジンを降ろしてスタンドに載せ、まずはベルトカバーを外すとこんな状態です。前側気筒のカムシャフトがロックして回らなくなったようで、タイミングシャフト周辺のベルトの山が無くなってしまっています。カムプーリーの上にベルトの破片が乗っかっています。



DSC00141 前側気筒のヘッドを外すと燃焼室はこんな感じです。ピストンが派手に当たってバルブは4本とも曲がっているようです。






DSC00143 ピストン側はこんなです。







DSC00146 シリンダーを取り外すとシリンダーにピストンが付いてきてしまいました。ピストンがピストンピン穴から上下に分かれてしまったようです。






DSC00149 クランクケースの方を覗くと、コンロッドにピストンピンが付いたままです。






DSC00150 シリンダーは縦に割れています。







DSC00153 シリンダーの内壁です。結構派手にやられちゃってますね。中央のキズはコンロッド小端部によるもの、左右はピストンピンの両端によるものでしょう。その衝撃でシリンダーが縦に割れてしまったということです。





DSC00163 ピストンです。クランクケース内に散乱していた主な破片も集めてみました。






 状況が判明したところでどのような方向性でレースに間に合わせるのかを検討したところ、部品取りのエンジン部品を使用してこのエンジンを修理することになりました。この時代のドゥカティエンジンの凄いところはこんな壊れ方をしても結構使える部分が多いということです。自分はそれが当たり前だと認識しているのですが、他メーカーのエンジンの事情を聞くとどうもそうでも無いようで、こんな壊れ方をしたらエンジンは全損で何も使えないのが普通らしいです。
 で、概要ですがクランクは計測したところ特に問題無いので再使用。前側気筒のコンロッドは流石に曲がりがあるので中古品に交換。壊れたピストンとシリンダーは中古品に交換。前側気筒のシリンダヘッドは丸ごと中古品に交換。そんな感じで作業しました。
 つつがなく作業は終了して、先程シャシダイに載せて10分間ほど検査試運転を行い不安要素も払拭しました。あとはこのエンジンにレースで頑張ってもらうだけです。

  
Posted by cpiblog00738 at 17:38エンジン/メンテナンス

2022年08月26日

1098Rエンジン修理オーバーホール その3

DSC00116 さて、今回のトラブルが発生した原因についての考察です。いろいろと検証した結果、原因は去年のレースにおける転倒でクラッチカバーを路面に強打したことでした。その時の転倒はレースのスタート時にスタートの失敗で後ろにひっくり返ったというかなりスペクタクルなものでした。その時にエンジン右側のカバーを路面に強打し、その衝撃でクランクケースに取り付けてあるカバーの位置がずれてしまったのです。

DSC00112 このエンジン右側カバーの位置決めはドウェルピン1個とクランクシャフト右端のブッシュの2ヶ所です。画像は取り付けられていたドウェルピンですが明らかに大きく変形しています。かなりの衝撃でカバーの取り付け位置がずれてしまった様子が窺えます。もう片方の位置決めであるクランクシャフト右端もブッシュにかなりの力で押し付けられたままの状態になっていたと想像できます。しかしこれだけカバーの位置がずれても接合面からのオイル漏れは皆無でした。Threebond 1215は優秀です。


DSC00115 その状態のまま乗り続けた結果、ブッシュがこのような状態になってオイルシールを突き破ってハウジングから飛び出してしまい、今回の結果となったということです。今迄転倒でクラッチカバーが路面にこすって傷が付くことは多々ありましたが、このような問題が起ったことはありませんでした。しかしよく考えると今回はクラッチカバーにかかった力の大きさと方向が今までと異なったということですね。経験値がまた一つ増えました。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:04

2022年08月25日

1098Rエンジン修理オーバーホール その2

DSC00111 さて、懸念のクランクピンの状態です。1本のクランクピンに2本のコンロッドが並んで取り付けられているわけですが、画像の左側がトラブルが発生した側、右側が無事だった側です。タラブルが発生した側は無事だった方と比較すると明らかにトラブル発生の痕跡が認められます。磨く程度で何とかなるのでしょうか?


DSC00124 磨いてみたところ何とかなりました!目視で無事だった右側と見分けがつかない状態です。ピン径を計測しても寸法変化は認められません。ちなみに使用した研磨剤は一般に販売されている金属磨きのピカールですから、それでピンが減るようなことは考えにくいです。ピンに焼き付いた汚れが落ちたという感じでした。これでメタルの交換のみで対応できそうです。良かったです。


 ちなみにこれだけの軽傷で済んだのはとにかく異常を感じた瞬間にエンジンを止めたからにほかなりません。あと1周の走行が致命傷になっていた可能性は非常に高いです。
 以前実際にあったTFDのベテランのお客様の事例ですが、筑波の最終コーナーの立ち上がりで全開にしたら一瞬だけどエンジンブレーキがかかったような感触があったので即走行を中止し、エンジンを開けてくれ、とリクエストされたことがありました。エンジンを開けた結果、今回と全く同様な結果でクランクピンを磨いてメタルの交換をしたのみでエンジンが復活しました。
 それとは逆に、走行中に違和感を感じたにもかかわらず、確認のためと称して次の走行枠に出走してエンジンに止めを刺した方もいらっしゃいます。
 確かにエンジン損傷の復旧には高額な費用が必要になりますから、感じた違和感は気のせいでエンジンに問題は無いと信じたい気持ちは非常に良く判ります。実際にその違和感は気のせいであることもありますしそうでないこともあります。本当にトラブルが発生していればそのまま走らせるとエンジンに止めを刺すことになりますが、実際はただの気のせいだった場合は無駄な出費だったということになります。正しい判断は難しいです。
 そう考えてみると何となくサーキット走行のリスク管理にも似ていますね。あそこでもう少し無理をすればタイムアップしそうと思える場合、それを実行して上手く行けばタイムアップ、上手く行かなければ転倒してバイクが壊れる。結局は自己責任ということになりますが、自分の場合は違和感を感じたら即走行中止です。走りの方は結構転ぶのでそうでは無いみたいですが。(笑)ちなみにどのようなものを違和感と感じるかというと、自分の場合は「いつもと違う何か」です。

DSC00096 ちなみにこれは同じく1098Rのクランクですが、エンジンがガラガラ音を発するまで走らせてしまったものです。画像の左側は正常、右側がトラブルが発生した方です。ピンの直径を計測するとトラブルが発生した側は部分的に0.09mm程度削れて小さくなってしまっていますから完全にNGです。0.09mmという値はとても小さいものと感じるかもしれませんが、本来のメタルクリアランスは0.05〜0.06mmですから、そう考えると理解していただけると思います。こうなってしまったらもう飾り物にするしかありません。もしくはゴミ箱行きです。何らかの方法で再生も可能な場合もあるでしょうが、サーキット走行やレースでの使用には全くお奨めできません。それをやって派手にブローして莫大な出費の追い打ちを食らった例を見たことがあります。自分的にはミュージアム展示してあるようなバイクでたまに観客の前でエンジン始動のデモンストレーションを行う程度であればそれもアリかなと思いますが。

IMG_2136 ちなみにメタルってこんなになってしまいます。左手前に写っているものが本来の姿ですが、それと比較してみて下さい。
  
Posted by cpiblog00738 at 07:50エンジン/メンテナンス

2022年08月23日

1098Rエンジン修理オーバーホール その1

 自分がレースで使用している996RS01の車体に1098Rのエンジンを載せた車両のお話です。今年のレースもこの車両を使用する予定でしたが、今年(2022年)のシーズンが始まった3月の筑波サーキット初走行時にエンジントラブルが発生し、それからしばらくの間放置状態になっていました。
 その時の状況ですが、コースインして13周目の最終コーナーをスロットル全開で立ち上がったところ通常と異なる違和感のある振動を一瞬だけですがエンジンから感じました。しかしその後1コーナーに侵入しインフィールドを走行すると何の違和感もありません。その時は先程の症状は単なる気のせいかとも思いましたが、そのまま2ヘアをクリアして立ち上がりでスロットルを全開にしたところ、先程と全く同じ違和感を感じました。その時点で即走行を中止しピットイン。持ち帰ったバイクは仕事のスケジュール上触ることも出来ずそのまま保管状態となりました。
 それから半年近く経過し、やっと仕事が落ち着いてきて時間が取れるようになったので、お盆休みを利用して原因究明と修理オーバーホールを行うこととなりました。

DSC00106 エンジンを降ろして分解しています。この時点まではクランクケースにクラック発生を疑っていました。エンジンから振動が発生した場合、そのパターンの頻度は非常に高いです。ところが点検してもそれらしいものは発見できません。こんな筈では、、、という感じなのですが。



DSC00113 そこで何気なく取り外したエンジン右側のクラッチカバーを見ると、おかしなことになっているのを発見しました。クランクシャフトの右端を支持しているメタルブッシュが手前に飛び出してきています。この場所はクランクシャフトへオイルを供給するオイルラインになっている肝心要の部分です。ブッシュの状態は欠損部分も有り、ボロボロです。画像は既にオイルシールを取り外した状態ですが、ブッシュがオイルシールを突き破って手前に飛び出していました。当然オイルシールも状態はボロボロです。クランクケース側のクランクシャフトを支持しているボールベアリングに問題が発生してクランクシャフトに振れが発生したのが原因ではないかと考え、各部を点検しました。しかし意外ですが特に問題はありません。

 そこでとりあえずクランクケースを分解してクランクシャフトを取り出しました。クランクにコンロッドを組んだままの状態でコンロッドを動かしてみると縦方向、横方向共に過大なガタも無く違和感はありません。そこでコンロッドを取り外そうとコンロッドボルトを緩めると、片側のコンロッドの動きが悪くなりました。

DSC00108 コンロッドを取り外してみるとこのような状況になっていました。動きが悪くなった方(前側気筒)のメタルにトラブルが発生しています。コンロッドボルトが締まっている状態ではコンロッド大端部の締め付けによってメタルの内径は真円を保っていたのですが、ボルトを緩めてそのタガが外された瞬間にメタルが焼けた内側に反ってコンロッドの動きが悪くなったということです。


DSC00109 メタルを観察すると大きめの異物の混入がトラブルの原因ではないかと疑われます。異物は先述のクラッチカバーのブッシュもしくはオイルシールの破片でしょう。問題無いもう片方のコンロッドのメタルの状態は特に問題ありません。
 こうなるとトラブルが発生した方のコンロッドが再使用可能かどうかが問題ですが、今回は問題無いと判断しました。経験上メタルがコンロッド大端の中で回転してしまうとコンロッド側も摩耗してしまいNGですが、今回はそうなっていませんでした。

 そして何より一番の懸念はクランクシャフトのクランクピン部分です。1098Rのクランクシャフトは既に入手不可という状況になっていますので、既にお金で解決できる問題ではありません。
  
Posted by cpiblog00738 at 10:19エンジン/メンテナンス

2022年08月15日

工具

DSC00104 たまには工具の話です。これは片目片口スパナ、コンビネーションスパナなどと呼ばれているもので、サイズは10mmです。Snap-on製のOEXM10というモデルです。現在においては所謂旧ロゴと呼ばれるようになっている旧タイプですが、私が入手した当時の新品はこのタイプでした。少しでも自分でバイクを触る人であれば、このタイプのこのサイズは非常に使用頻度が高い工具であると解りますね。


DSC00105 全ての工具にという訳ではないですが、スナップオンの工具には製造年が記されている場合があります。この2本のスパナの場合、文字列の中央に上のスパナには「2」、下には「4」という数字が見えます。これの意味するところは1982年製と1984年製ということです。年代によって数字の字体が決まっていて、画像のこの数字の場合は1980年代の数字ということになります。例えば1990年代であればまた別の字体で数字が記されているのでそれと判別できます。ネットで調べてみると詳しい解説を目にすることが出来ると思います。
 例えば「2」の方は自分がこの業界に入ったばかりの時に購入した工具のうちの一つです。値段も覚えていますが、確か1本¥5,500-だったと記憶しています。今考えても非常に高価ですね。当時のスナップオンのスパナは小さいサイズでも¥5,000-くらい、大きいサイズだと大雑把に言って1万円くらいというイメージでした。10mmサイズは使用頻度が非常に高いのでスペアが必要と考えて2年後に追加購入したのが「4」の方です。
 使用し始めてから40年、そう考えると凄いですね。このサイズは仕事をしていればほぼ毎日必ず使用します。ピカピカだったメッキもそれなりに曇り始めてはいますが機能的に全く問題無いままですし、メッキの剥がれなどは皆無です。この頃のメッキは材質が良いのでしょうね。裏を返せば非常に環境に対して悪影響を及ぼすようなメッキ処理が許されていた時代だったということもあるのでしょうか?自分的にはこういった類のものが本当に良いモノ、本物と呼べるもの、だと思います。面白いのはこの時代のスパナに関して言えば同じ品番でも一つ一つ微妙に形状が異なります。職人さんが一つ一つを手作業で削って整形していたのだと思われます。手持ちの中にも中央のバーの部分が極端に薄く仕上げられていてやたら細身でスマートな個体等もあり、とても興味深いです。
  
Posted by cpiblog00738 at 13:50エンジン/メンテナンス

2022年07月25日

筑波TT

0003 先日行われた筑波TTのレース、BOTTのWCTクラスに於いて久しぶりにお立ち台の真ん中に立つことが出来ました。レースは一人では出来ません。お手伝いしていただいた方々、ありがとうございます。いつものことながら感謝に堪えません。
 思えば私がアマチュアレースに参加し始めたのは20代の頃でした。生まれて初めて筑波を走った時のバイクはベベルでしたが、実際にレースに参加した際はパンタ系のバイクからでした。そしてアマチュアレースに参加し続けて長い年月が経過し、生れて初めて筑波で公式に1分を切るタイムを記録したのは私が48歳の時でした。アマチュアレーサーにとって筑波の1分切りは夢のような遠い目標だったので、これで自分のレースはアガリ。これからあとはオマケだ、と本気で思いました。
 しかしそれから10年後の58歳の時にこのタイムを更新しました。この時のタイムが自分の生涯におけるベストタイムです。(今のところ、と言っちゃいます)その翌年は59歳59秒台を目標に走行して、レースの予選や決勝で2回その目標を達成できました。これで本当にアガリだと思っていたのですが、その5年後の去年の筑波選手権において再度1分切りのタイムを記録することが出来ました。今更ながら「継続は力なり」という言葉の重みを噛み締めることとなっています。レースに限らず何事においても、こうしたい、こうありたい、と思うことがまず最初にありきだと思いますが、まさにその通りだと思います。強く欲して、それに向かって自分なりに努力し続けること、となりますでしょうか。

0005 ところで今回自分に優勝をプレゼントしてくれた愛すべきバイクの998RSですが、このバイクは自分が48歳の時に生れて初めて筑波で1分切りをした時のバイクそのものです。バイクの立ち位置として当時は最先端、今現在はビンテージ。感慨深いものがありますね。

 そういえばこんな話を聞いたことがあります。ちょっと昔のことですが、アメリカのデイトナウィークに行われた旧車レースでヤマハのTD-3というバイクで人生初優勝を遂げたおじいちゃんライダーがいたそうです。この方は若い頃にTD-3を新車で購入してレースに参加するようになりましたが、なかなか結果が付いてこなかったらしいです。ちなみにTD-3とは1970年代前半に販売されていたヤマハの市販レーシングマシンでTZ250の前身です。そのバイク一筋でレースを続けていくうちに時は流れていつの間にか最新の市販レーサーだったTD-3が思いっきり旧車になってしまったんですね。それでとうとう優勝する順番が回ってきた。良い話だと思います。

 まあレースというのは結局その時に走っていた周りのメンバー次第という要素が大きいと自分は思っています。その時に自分より速いメンバーがいなければ自分が優勝、そうでなければそれなりの順位、ということです。もちろん複雑なあらゆる要素が絡み合ったうえでのレース結果ではありますからそう簡単に結論付けることは出来ませんが、自分は上記のように単純に考えることが多いです。長くレースを続けていると良く判りますが、自分より明らかに速い人が沢山存在するという事実から目をそらすことは不可能です。そうすると始まる前から優勝の可能性がないレースはつまらないじゃないか、という話になりますが、そんなことは決してありません。レースは自分との戦いに帰結すると自分は考えています。例えばあるレースでぶっちぎりの優勝を遂げたとしてもタイムが自己ベストには全く届かなかったとすれば、優勝は嬉しくてもその喜びはそれなりで大したことはありません。逆にレベルの非常に高いレースに参戦して結果は周回遅れになってしまったとしても、それまでの自己ベストを大幅に更新できた、というような状況となれば自分としてはその方が嬉しさ、達成感、満足度、次回へのモチベーション、その他あらゆる要素に於いてぶっちぎりに上です。そういった意味で自分よりも速い人と一緒に走りたいという欲望が強いです。レースという場は大げさに言えば自分の限界を高めることが出来る現在においては非常に稀有な場所です。若い頃は勢いで行っちゃうような状況も散見されてその結果転倒したりすることも多いですが、この歳になると転倒ははっきり「悪」だと言い切れますから、かえって自分を高めるハードルは若い時よりも高いと思います。
 自分の場合は何はともあれ体が言うことを聞くうちは走り続けるつもりです。
  
Posted by cpiblog00738 at 10:53レース

2022年07月11日

デッドストックのオイルクーラー

DSC00015 倉庫から出て来ましたので販売します。748/916/996純正オイルクーラー、未使用新品箱入りです。純正品番54840121A。随分前から廃番になっていて入手不可の状況になっています。価格は¥47,480-(税別)です。勿論在庫はこれ1個のみ、早い者勝ちです。



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 売約済みとなりました。(7月17日)







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Posted by cpiblog00738 at 13:45商品情報

2022年06月20日

Supermono

IMG_9903 先週末の6/19、FISCOでのMAX10のレースにSupermonoで参戦してきました。まあ参戦という大げさなものではなく、完成検査を兼ねたツーリングという認識でしたが。それでも実際に走行するとそれなりに頑張って走ることになってしまいます。しかしこの日のベストタイムは2分6秒が精一杯でした。エントリー表を見るとエンジンの馬力的にはどう見てもこのバイクが最少だったのでストレートでは思いっきり抜かれまくりましたね。特にV4Rに抜かれた時はその速度差が100km/hという感じで、それはそれはすさまじかったです。

 ところでSupermonoは今となっては非常に珍しいバイクで、写真は見たことがあるが実物を見るのはこれが初めてです、という声も随分いただきました。我々のピットにこのバイクを見にいろいろな方が訪れてくれたのですが、一点だけ気になることがあったので書かせていただきます。
 世間一般の常識では見ず知らずの人のバイクを写真撮影する時には通常「写真撮っても構いませんか?」という感じで一言声をかけるのが当たり前ですよね。少なくとも私の認識ではそうです。ところが何の断りも挨拶もなしで勝手にバシャバシャ写真を撮って去っていく人が沢山いて、驚くとともにそのことで自分は結構不機嫌になってしまいました。悲しいことに印象としてはどちらかというとそういった人の割合の方が多かったかもしれません。自分的には信じられません。日本人ってこんなだったっけ?それともバイクが好きな人は個性が強い人が多いのでこんななの?中には何の断りもなくいきなりバイクに張り付いて長時間にわたって舐めるように接写状態で詳細な写真を撮り続ける人まで出現しました。さすがにこの人には一言声をかけさせていただきましたけど。着ているシャツからこの人が何処のショップのお客さんかは何となく想像が付きましたが、こんな行為をしていてはそのショップの品格迄貶めてしまいますよ。TFDのお客さんの中には旧知の仲なのに、SNSには出しません、あくまで自分だけで見て楽しみますから写真撮って良いですか?と聞いて下さる方さえもいらっしゃいます。うちはお客様に恵まれていて幸せです。感謝しかないですね。

 また別件ですが、今回もFISCOの長いストレートでの接触事故が発生しました。原因は明らかで、追い抜かれる側のストレートでの進路変更です。FISCOのストレートでは速いバイクの場合300km/hに近いスピードが出ます。このスピードでスロットル全開の走行をしていると急な進路変更は不可能です。追い越す寸前で追い抜かれる方のバイクが進路変更して自分の進路に入ってきたらそれを避けることはほぼ不可能です。速度の遅い側の言い分としては、自分は後が見えないのだから避ける義務は追い越す側にある、と言うかもしれませんが、それは完全な間違えです。相対的に速度が速いバイクもそうですが、特に相対的に遅いバイクの場合はストレートでの進路変更は厳禁ですとあえて言います。それは何より自分の身を守るためにそうする必要があるということです。例えば自分のバイクの最高速200km/hでその時にFISCOを走行しているバイクの中では遅い方だとしても、その走行時間には50ccの最高速100km/hが精一杯のレーサーも走っていて、それがストレートエンドで前にいて不自然な進路変更をしそうな怪しい動きをしているという状況を想像してみて下さい。私の言っていることが判ると思います。
 また特に最高速のあまり速くないバイクの場合、FISCOの最終コーナーを立ち上がってバイクが直立したらその時のラインを守ったまま1コーナーを目指してください。自分のバイクはあまり速くないと認識しているのにたまたまアウトいっぱいで立ち上がってしまったとしても、あわてて走行ラインをイン側に振る必要はありません。それはかえって危険極まる行為となります。後ろの速いバイクはインから抜きにかかりますから接触の可能性が非常に高いです。この場合はアウト一杯のまま1コーナーまで走るのが一番安全です。速いバイクはストレート上でイン側から勝手に追い抜いて行ってくれます。また、ストレートで真ん中あたりのラインを走り続けた後にブレーキングポイント近くになってラインをアウトに振る行為もよく見かけますが、これも非常に危険です。後ろから来る速いバイクが300km/hくらいのスピードからフルブレーキングで侵入してくる場合、当然ながらその状況での進路変更は不可能です。前にいる追い越すバイクがそれまでストレートの中央を走行しているのを見てアウトから進入していたとすると、いきなりその前に出てこられたら100%突っ込みます。
 サーキット走行での常識は一般公道のそれとは大きく異なる場合も多いです。自分が突っ込まれたり突っ込んだりしないためにはどのようなことを心掛けるべきなのか、相手の立場になったつもりで考えれば解りやすいと思います。サーキットなので目的は速く走ることです。それを前提とした上でいかに自分の身を守るかを考えて欲しいと思います。それは自分だけでなく相手の身を守る事にもなります。サーキットでの事故が多いとサーキットに対する世間一般の印象が悪くなります。サーキットを走行したいと考える人の新規参入も妨げます。我々はレースもするけどそれは趣味で、目的は楽しむことです。速く走る事だけではなく、安全に楽しむことが大切です。
  
Posted by cpiblog00738 at 20:23レース

2022年06月08日

チタンバルブ

 先日エンジンブローしたエンジンはチタン製のバルブを使用しています。一般的にチタンバルブをリフェースするのはNGということになっていますが、その理由は硬質な酸化被膜がリフェースにより除去されてしまい、その結果バルブフェースの摩耗が著しく進行するからだと理解しています。

IMG_5018 このバルブはこのエンジンに使用していたものです。リフェースして使用していました。しかしバルブフェースの状態は良好で、少なくとも異常な摩耗は発生していません。自分の経験上ドゥカティのチタンバルブはリフェースして使用しても短時間で問題が発生することは無いと認識しています。個人的な推測ですが、燃焼ガスその他にさらされる影響で何らかの酸化被膜のようなものが構成され、その効果摩耗が抑えられるのではないかと思っています。それに加えてデスモドロミック機構なのでバルブをバルブシートに強い力で押し付けることが無いのも要因の一つのような気がします。

IMG_4492 ところがこんな事例も経験しています。これもリフェースして使用していたチタンバルブですが、ある時を境にエンジン始動が困難になり、分解してみたところバルブフェースが画像のような状態になっていました。私としてはリフェースして使用して問題は起こらないと認識していたので非常に意外だったのですが、巷で言われている異常摩耗というのはこれですね。
 私がリフェースしたチタンバルブを使用して組んだエンジンの数は相当数ありますが、この状況は初めての経験です。いろいろと原因を調べたところ、今まで問題無かったエンジンの使用状況と一つだけ明らかに異なる条件でこのエンジンは使用されていました。それはガソリン添加剤の使用です。おそらく添加剤の優秀な洗浄作用でバルブフェースが常にクリーンな状態に保たれ、その結果酸化被膜のようなものが生成されなかったのではないでしょうか。
 ところで私がチタンバルブまでリフェースしてしまう理由ですが、それはあくまでバルブフェースとバルブシートの当たりを最優先しているからです。新品バルブを使用すれば良いじゃないかという声も聞こえますが、例えば999Rのチタンバルブの価格は1本約5万円、1098Rであれば約8万円です。8本全部交換したらと考えると、全く現実的では無いと思います。それに加えて私の経験上、新品バルブといえども全数が完全無欠の状態であるとは言えないのです。新品なのにセンターが出ていなくて振れがあるバルブも実際に存在します。新品バルブを使用する場合、それがスチール製であれば私はたいていの場合まず最初にバルブリフェーサーでリフェースしてしまいます。チタンの新品の場合は流石に躊躇して考えに考えた末にどうするか決定しますが。言えることは優先されるのはバルブとシートの当たりが正しく出ているかで、バルブフェースに荒れや振れが有る場合にそのまま再使用する選択肢は有り得ない、というのが私の認識です。あ、それはあくまで使用目的がレースの場合で、バルブとシートの当たりが多少おかしくてもバイクはそれなりに走りますから街乗りの場合は持ち主の考え方次第ではあります。

  
Posted by cpiblog00738 at 11:33エンジン/メンテナンス

2022年05月08日

エンジンブローその2

IMG_4967 シリンダーヘッドを外しました。こちらは後方気筒ですが、ピストンのバルブリセスの周辺にバルブが干渉した痕跡があります。スキッシュエリアもヘッドと接触しています。ピストンが回転して角度がずれてバルブと干渉し、それに加えてピストンが本来の位置よりも上がって来てしまったということですね。



IMG_4968 前方気筒です。やはりスキッシュエリアがヘッドと接触し、ピストンの角度はずれなかったようですがエキゾーストバルブがリセスの中でピストンと接触しています。




IMG_4970 前側のシリンダーとピストンを外して内部を覗いてみました。う〜ん、何かが思いっきり壊れていますね。






IMG_4972 後方気筒側から覗いてみました。壊れているのはクランクシャフトですね。割れているというか折れているというか、、、、。






IMG_4973 クランクケースを分解してクランクシャフトを取り出しました。こんなの初めて、という訳でもありませんが、何年かぶりに見ました。ごく稀にですがこんなことも起きます。
 この手のエンジンのクランクシャフトは基本的に非常に丈夫に出来ていて、例えば走行500kmごとに多種類の部品交換が指定されているコルサやRSに於いてもクランクシャフトは定期交換部品に指定されていませんでした。そんな部品がこのような状況に陥るということは製造時に何かの問題が発生していたのでしょうね。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:46エンジン/メンテナンス

2022年05月06日

エンジンブローその1

IMG_4962 筑波サーキット決勝レース中に発生したエンジンブローです。その瞬間までエンジンは快調に回っていました。発生した場所は裏直の中間あたりでしたが、ライダーはこの緊急事態に冷静かつ的確な判断で対応し、安全にそのままピットロードへ進入して惰性でピットまで戻ってきました。
 何かの原因でクランクシャフトが振れてエンジン左側カバーを破壊したと思われますが、いったい何が起ったのでしょうか?

IMG_4963 まずケースカバーを取り外しました。本来ケースカバー側に取り付けてある発電機のコイルがローターの中に残ったままです。ケバケバしているのは粉砕された発電機からのハーネスです。





IMG_4964 取り外したカバーです。発電機のハーネスは引きちぎられています。







IMG_4965 フライホイール側です。銅色の破片は削られた発電機コイルです。







IMG_4966 フライホイールその他のエンジン左側部品を取り外しました。中央のクランクシャフトを支持しているボールベアリングが壊れ、そのためにクランクシャフトが振れてこのような事態になったのでは、と分解前は予想していましたが、どうもそうではなさそうです。ベアリングは原形を保っています。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:27エンジン/メンテナンス

2022年04月29日

28年前ですか

こんなのあるよ、とイタリアの友人から連絡が来ました。

5:33あたりですね。若いです!

 当時は何とも思わなかったんですが、今改めて考えてみるといろいろな意味で凄いところにいますね。今まで誰も知らなかったポット出のプライベートチームとライダーです。
 第1ヒートのレースでは1周目、2周目ともに6位で帰って来て3周目に転倒、再スタート。ほぼ最後尾の36位から21位まで追い上げてチェッカー。帰ってきたバイクを見たら転倒時に左のステップバーが無くなっていて、シフトレバーも曲がってあらぬ方向を向いていました。「左足はサイレンサーの上に置いて、シフトは曲がったレバーを蹴り込んだり蹴り上げたりして運転してたッス」とのことでした。あきれ返るほど凄いヤツでした。
 レースウィークの練習走行時にコース上で初めて芳賀選手に遭遇したフォガティ選手に、「あいつは誰だ!」と言わしめた、という逸話を思い出しました。

  
Posted by cpiblog00738 at 08:27レース

2022年04月21日

大猟です

IMG_4957 大猟です。今年の生え方は何故か凄いです。  
Posted by cpiblog00738 at 16:45雑記

2022年04月08日

748Sエンジンオーバーホールその6

IMG_4925 シリンダーヘッドの方はバルブガイドの交換を行いました。ガイドは純正ではなくTFDオリジナルのベリリウム銅合金製です。バルブの通る穴はバルブステム径よりも小さく仕上げてあり、従ってこのままではバルブがガイドに通りません。この状態からリーマを通して徐々に穴を大きくしていきます。通すリーマの径を0.01mm単位で大きくしていってバルブステムが通るところまで拡大します。

IMG_4926 こうすることによってガイド穴とステムのクリアランスを0.01mm単位で管理できます。計測すると判明しますが、8本あるバルブのステム径は必ずしも同一ではありません。個々のバルブステム径に合わせた穴径に仕上げます。従ってこのバルブはここに使う、という決まりが発生する場合もあります。他のバルブに入れ替えるとステムが通らなかったりガタガタだったり、ということになるわけです。
 ちなみにTFDで使用している材質のバルブガイドの場合、ガイドとステムのクリアランスはほぼゼロの設定で、バルブが抵抗なくガイドの中で動く状態であればOKです。その状態でヘッドを組み立てます。この材質で製作したガイドの性能は秀逸で、耐摩耗性は勿論のこと潤滑性も非常に優れており、狭いクリアランスで組んでも焼き付きなどのトラブルは発生せず、ある程度の慣らし運転を行った後には適正なクリアランスに落ち着き、その後その状態で長期間安定します。街乗り、レースを問わず、次回のオーバーホール時にガイド交換が必要になるケースは非常に稀です。ただしこれはガイドの材質によるもので、他の材質のガイドでクリアランスゼロの設定をやるとバルブとガイドが焼き付いたりする可能性があると思います。

IMG_4927 ガイドを入れ替えると少なからずバルブの角度が変化し、そのままではバルブフェースとバルブシートが正しく当たらなくなります。それをシートカットで対処します。





IMG_4928 左側がシートカットを施したのちにバルブとのすり合わせを行い、当たりの確認まで終了したバルブシート。右側は未施工でこれからです。






IMG_4929 4か所ともシートカットとバルブとのすり合わせが終了しました。







IMG_4935 こちらはバルブの方です。バルブフェースに擦り合わせの痕跡が付いています。シートと当たる位置は出来るだけ外側になるようにしています。当たり面の位置が実質的なバルブの傘径ということになります。ただし摺合わせ部の外側に当たらない部分を少しだけ残すようにしています。
 例えばオリジナルより大きいビッグバルブを入れた時に、その当たり面の位置がそれまでと同じ位置でバルブフェースの内側の方にあったとすればビッグバルブの意味がありません。当たり面の円周長とバルブリフト量の積が混合気の吸入量と考えれば理解出来ると思います。


IMG_4936 シリンダーヘッドの組み立て中です。







IMG_4937 デスモクアトロエンジンの懸念であるロッカーアームのメッキ剥離です。今のうちであればロッカーアームの交換のみでOKですが、症状が進むとカムシャフト側にもダメージが発生してしまいます。





IMG_4938 シリンダーヘッドが完成しました。







IMG_4941 ピストンが上死点に来た時のピストンとシリンダーヘッドの隙間、所謂スキッシュクリアランスの計測と調整を行った後、ヘッドを取り付けます。ヘッドを組み付けてエンジンの形になったところでバルブタイミングの計測と調整を行っています。



IMG_4944 エンジンが完成しました。







  
Posted by cpiblog00738 at 09:31

2022年04月03日

748Sエンジンオーバーホールその5

IMG_4912 エンジン腰下がひと段落したのでシリンダーヘッドの作業を開始しました。カーボンを落として綺麗にしたところですが、ヘッド面の腐食が気になります。腐食している部分から鑑みると冷却水による腐食と思われますが、はっきりとした原因は不明です。腐食が発生していない個体も見受けられますから、クーラントとのマッチングの問題なのでしょうか?


IMG_4913 ヘッド面を研磨しました。機械加工ではなく手作業で、定盤上でのすり合わせです。機械加工でも良いと思いますが、研磨の取り代が大きくなることと機械をセットする手間を考えると摺合わせが妥当な場合が多いです。すり合わせでは取り切れない深度の腐食であれば機械加工で対処するしかありませんが。  
 まだちょっと腐食跡が散見されますが、機能的と精神衛生的に問題無い範囲なので深追いはしません。


IMG_4914 シリンダーヘッド内部部品です。カムシャフト支持はプーリー側がボールベアリングで反対側がローラーベアリングです。プーリー側のボールベアリングとオイルシールは交換しますが、反対側のローラーベアリングとオイルシールは再使用します。主な理由は部品の価格で、ベアリングとオイルシールで1セット¥7,000-位します。オイルシールだけでも交換したいところですが、オイルシールを取り出すためにはベアリングを取り外す必要があり、その場合はベアリングの内輪にプーラーをかけて引き抜くのでベアリングの再使用は避けたいです。すると必然的にベアリングとオイルシールの両方を交換することになります。経験的にこの部分は非常に余裕を持った造りなので問題が起こる可能性は非常に低いです。逆にプーリー側はベルトのテンションがかかるのでストレスが大きいです。それとロッカーアームのメッキの剥離は要チェックです。この個体の場合でも数本発覚しています。こればっかりは交換で対応するしかありません。


IMG_4915 バルブガイドを取り外しました。バルブガイドを取り外す場合、TFDではガイドを燃焼室側に抜いて取り外す場合が多いです。その理由は特にエキゾーストガイドに関してですが、カーボンが強固に固着したガイドをカムシャフト側に抜くとカーボンが固着した部分がガイド穴を通り抜けるのでガイド穴の内壁にキズが付く可能性が高いからです。


IMG_4916 インテーク側です。







IMG_4917 エキゾースト側です。







IMG_4918 こちらはバルブです。カーボンを落として磨いた状態です。一見綺麗です。







IMG_4919 しかしよく観察するとバルブシートと接触するバルブフェース部分の状態は芳しくありません。この個体の状態が特に悪いという訳ではなく、ある程度以上の距離を走行したエンジンとしては平均的な状態です。




IMG_4921 こちらはエキゾーストバルブで、バルブフェースの荒れというか凹みはカーボン等の異物を噛みこんだためと考えられていますが、インテークバルブの方も程度の差こそあれ同じような状態なので噛みこむのはカーボンだけとは限らないようです。



IMG_4924 バルブフェースをリフェースしました。作業の前後を比較するとその差が歴然です。


  
Posted by cpiblog00738 at 09:17エンジン/メンテナンス

2022年03月31日

748Sエンジンオーバーホールその4

 諸事情によりちょっと間が開きましたが作業再開しました。

IMG_4892 オイルポンプの内部を点検中です。今迄オイルポンプに問題があったという記憶は殆どありません。本体と蓋の間には位置決めのノックピンが存在しません。従って蓋を適当に取り付けてボルトを締めてしまうとシャフトとシャフト穴がせってしまって摺動抵抗でシャフトの回転が重くなります。蓋を取り付ける時にはシャフトの回転がスムーズな場所を探してボルトを締める配慮が必要です。


IMG_4893 エンジン右側です。1次ギア、オイルポンプ等を取り付けています。  







IMG_4896 セルモーターを分解しています。現状で問題はありませんが、予防整備の意味でブラシセットやオイルシールを交換します。コミュテーターは研磨してリフレッシュします。




IMG_4899 フライホイールを分解しました。スターターのワンウェイクラッチを交換します。これも予防整備です。






IMG_4900 シフトコントロールアームAssyを分解しています。2種類のリターンスプリングを交換します。スプリングの折損はたまに見かけます。太い方のスプリングが折損するとペダルが中立の位置に戻らなくなりますし、細い方が折損すると何かの拍子にアームがドラムから浮いた状態になってシフト操作をしても空振りになってしまうことがあります。


IMG_4901 シフトコントロールアームの調整を行った後、エンジン左側を組み立てています。調整はナットで固定してあるエキセントリックピンの取り付け角度を変更することによって、シフトアップとダウンのペダルのストロークが同じになるように行います。特に太い方のリターンスプリングを交換した場合はこの調整を行わないとシフト操作に支障をきたすことになる場合があります。
 エンジン左側にはフライホイール、タイミングギア、ギアチェンジ機構、等が存在します。

IMG_4902 シリンダーとピストンを仮組した状態です。






IMG_4904








IMG_4905 クラッチドラムです。左が旧タイプの既存の部品、右が現行の新しいタイプです。旧タイプはオールアルミ製で、ワッシャーと接触している中央の穴の回りが摩耗して凹んでいます。現行部品はその部分にスチールが鋳込んであって摩耗しにくい構造となっています。この部品は現行の新品に交換します。



IMG_4906 クラッチを組み立てました。このエンジンには社外の部品が使用されています。この手のタイプのクラッチの場合、純正のクラッチプレートセットが使用できなくなるので部品の供給が滞ることが無ければ良いのですが、その点が心配です。

  
Posted by cpiblog00738 at 20:29エンジン/メンテナンス

2022年03月23日

Ducati Corse racing slipper clutch

IMG_4889 パッケージ入り新品。1セット入荷しました。ご興味のある方、ご連絡をお待ちしています。

 売約済みとなりました。
  
Posted by cpiblog00738 at 15:12商品情報