2019年07月09日

916SPS 1997 その2

916SPSの続きです。

IMG_1229 クランクです。最初からヘビーウェイト入りです。何故か1次ギア側のウェブに3個、もう一方のフライホイール側のウェブには2個、打ち込まれています。常識的に考えると左右対称になりそうなものですけど、この3個と2個の組み合わせは結構目にした記憶が有ります。この状態でバランスはとれているということなのでしょうけど、なぜこうなっているのか理由は解りません。


IMG_1232 さて、コンロッドです。すでにお伝えした通りこのコンロッドの材質はスチールです。で、ハーフメタルですが2個の小さな穴が開いています。






IMG_1236 メタルを外すとこうなっています。溝状のオイル通路になっていて中央に穴が開いています。ちなみにコンロッドのキャップ側にはオイル通路は存在しませんから、メタルに穴が開いている必要はありません。穴あきのメタルは非常に高額(万単位の値段です)なので、自分が組む場合はキャップ側には穴のない普通のメタルを組むことが多いです。


IMG_1234 この穴が何処に通じているかというと、此処、小端部です。つまり大端部を潤滑するオイルの一部がコンロッドの真ん中の穴を通って小端部分まで来て、ピストンピンを潤滑するという訳です。凝ってますね!
 このシステムは888SPSやSP5にも使われていましたが、その時はメタルに開いている穴は3個でした。いつの間にか品番変更になって穴が2個のタイプになっています。

IMG_1235 メタルの裏側はこんな感じです。オイル通路の跡が明瞭に確認できます。しかし考えてみるとオイル通路の跡が付いている部分は荷重を受け止めないということになります。自分の考えでは、この部分は出来るだけ単位面積あたりにかかる荷重を小さくしたい場所なので、そういった意味でこの状況はあまりよろしくないかもしれません。何はともあれ理由は不明ですがこのシステムはこのエンジン以降は使われなくなりました。ここまでしなくてもオイル飛沫の管理や小端部に開けるオイル穴の最適化でピストンピンの潤滑に問題は無いという結論に達したのかもしれません。

IMG_1238 メタル合わせの後、再び組み上げられたクランクとコンロッドです。  

Posted by cpiblog00738 at 21:49エンジン/メンテナンス

2019年07月05日

レーシングパーツ

IMG_1172 こんな部品が売りに出ていたので購入しました。999RS、もしくは999F03/04のフライホイールです。でもよく目にするこの手の部品とは外見的に趣が異なります。





IMG_1174 構成部品はこんな感じで、セルモーターによるエンジンスタートが可能な構造です。正規のパーツリストには載っていないと思います。そもそも何故こんなものが存在するのかというと、これはAMAのスーパーバイクレースに対応するために製作されたものだったと記憶しています。AMAのレースにはレギュレーションがWSBと異なるところが散見されます。当時そうしたルールの中に、セルフスターターでエンジンスタートが可能でなければならない、というのが有ったと記憶しています。ファクトリーマシンでもセル付きだったということですね。そうした流れでファクトリーが製作した部品です。
 ピックアップ用のトリガー(羽)の数も通常とは異なります。普通は4枚羽なのですがこの部品は倍の8枚羽です。これについては使用しているECUが対応出来なければ使いようが無いのですが、こうすることによってより細かな制御が可能となります。自分のバイクはMotec制御なのでこの辺は何とでもなります。そのうち付け替えて試してみますが、果たして私がその違いを体感できるのでしょうか?
  
Posted by cpiblog00738 at 11:18レース

2019年07月03日

916SPS 1997

IMG_3526 1997年型916SPSです。TFDの倉庫に長い間(10年以上)眠っていました。走行距離は実走行で2,000km未満です。長期間TFDに仕舞い込んであったとは言え、元々は何処かからか縁あってやってきたバイクで私が携わっていたバイクではありません。走行距離が少ないとはいえ、TFDに来るまでにどこの誰に何をされているかわかりませんし、年代物なのは確かなのでレストア作業に着手しました。ちなみにこのバイクの行き先は既に決まっていますので悪しからず。
 1997年型は996になった最初のモデルです。この年式はまだチタンコンロッドは採用されておらず、コンロッドはPANKL製の削り出しH断面スチールコンロッドが使われています。チタンコンロッドが採用されるのは翌1998年型からです。チタンコンロッドではない代わりにと言っては何ですが、97年型のクランクにはヘビーウェイトが打ち込まれた状態でバランス取りされています。コルサやRSのクランクには普通にヘビーウェイトは使われていますが、市販街乗りバイクでこの916SPS1997以外にヘビーウェイト入りのクランクが使われているのは私の記憶では888SPS、888SP5、748R2002、それと1098R、1198Rくらいではないでしょうか。(他にもあったかもしれませんが今は思い出せません。それとパニガーレ以降は私は門外漢で知識がないため除きます)
 1996年の全日本のレースシーズンが終わった頃にドゥカティコルセから来年のコルサは996ccになるというインフォメーションが来ました。レースレギュレーションではスーパーバイクのホモロゲモデルも同じ排気量であることが求められるので、来年は996の街乗り市販車が出るんだ、とピンときて、すぐに当時の輸入元の村山モータースに97年に出る996のバイクを注文した思い出が有ります。その時はまだ発表も何もされておらず、輸入元の人も半信半疑だったのですけれどね。購入したTFDのそのバイクはまず最初にエンジンを組みなおし(と言ってもチューニングはせずにノーマル状態のままでちゃんと組みなおしたというレベルです)、そして黄色く塗られて当時のバイク雑誌にたびたび登場したので記憶にある方も多いかもしれません。
 当時某雑誌でゼロヨン&最高速という有名な連載記事があって、そのバイクでFISCOで行われた最高速チャレンジに出場した覚えがあります。その時にFISCOのストレートで記録した最高速は270km/hだった記憶が有ります。メーター読みではなく光電管もしくはスピードガンによる計測だったので実速です。今のレベルで考えてもなかなか立派な記録だと思います。

IMG_1166 作業していて今更ながらに感心するのは、例えばこのインテークポートの仕上げです。ガイドは新品に交換してありますがそれ以外はドノーマル。工場出荷時のままです。中央の仕切りは鋭利な刃物状態で下手をすると手が切れます。何かの拍子に虫とかが吸い込まれたりしたら虫の体が真っ二つになりそうです。常識では考えられませんよね、この仕上げ。デスモクアトロ系のエンジンのポートはおしなべてこんな感じになっていますが、特にこの97年型SPSは気合が入っているように感じます。

IMG_1168 こちらはエキゾーストポート。同様にガイドは新品になっていますがその他は工場出荷時のままです。エキゾーストポートなんてちょっと走ればカーボンが付着して真っ黒になってしまうのに・・・・。




IMG_1170 こちらはヘッドのロッカーピンを塞ぐ蓋で、ドゥカティがセントラルカバーと呼んでいる部品です。ガスケットではなくオーリングでシールしています。916レーシング95からコルサにはもれなくこの部品が使われていて私的には見慣れた部品だったのですが、市販街乗りバイクでこの部品が使われたのはこの916SPS97のみです。今後ここは全部のモデルでオーリング式になるんだろうなあと当時思った記憶が有りますが、なぜか街乗りバイクで採用されたのはこのバイクだけでそれ以降は普通のガスケット仕様のままでした。

 まあポートがどうとか、なんだかんだ言っても結局馬力が出てる方が偉いでしょ!という言い分もありますが(特に最近世の中がこのような風潮になってきている気がします)、これは趣味の世界の話ですから。趣味の世界は結局自己満足に帰結すると私は考えます。これを仕事にしている私でさえ、普段はエンジンの奥に有って見えない部分をエンジンを開けたときに目の当たりにして、改めて凄いと思ったり感心したり良いなと思ったりすることは多いです。

 続きはまた後で。
   
Posted by cpiblog00738 at 19:46エンジン/メンテナンス

2019年05月24日

ヘッドガスケット吹き抜け?

 走行の度に冷却水通路の内圧が上がって、走る度に大量の冷却水がキャッチタンクに溜まる場合があります。何らかの理由で燃焼ガスが冷却水通路に吹き抜けているのが原因です。そのために冷却水通路内の内圧が急上昇し、ラジエーターキャップのバルブを押しのけて冷却水が吹いてしまうのです。原因は殆どの場合ヘッドガスケットの吹き抜けです。稀にシリンダ壁にクラックが発生して燃焼室とウォータージャケットが通じてしまったという例も見ています。参考までに、ヘッドガスケットの吹き抜けが原因だった場合、単純にヘッドガスケットを新品に交換しただけでは吹き抜けの症状がすぐに再発すると考えて間違いありません。その理由は、ヘッドガスケットが吹き抜ける場合は多かれ少なかれ既にヘッド面とシリンダ面が歪んでしまっているからです。ということで、ヘッド面とシリンダ面を研磨するなどして平面を出したうえでガスケットの交換を行うことが必須です。
 で、今回のトラブルですが、エンジンは104mmボアの998/999Rです。キャッチタンクに水が戻るので燃焼ガスの吹き抜けは間違いないのですが、このエンジンのヘッドガスケットは一般的な板状のものではなく、Wills Ring とかCooper Ring と呼ばれているタイプのもので、細いリング状の形状をしている部品です。
 付け加えますとドゥカティに使われているこのリングの内部は空洞のドーナツ形で、内部には高圧のガスが充填されている模様です。取り外す時にドリルで細い穴をあけますが、穴が開いた瞬間に「プシュッ」と音がするのでそれは間違いないと思います。
 そして冷却水通路はオーリングでシールしてありますから、燃焼ガスが冷却水通路に侵入する可能性は無いのでは?と考えました。そうするとシリンダのクラックでしょうか?

IMG_1052 実際にヘッドを外してみるとこんなになっていました。冷却水通路のオーリングが内側に吹き抜けています。このタイプのガスケットの場合、街乗りでは特に問題無いのですがレーシングユースでは恒常的に少しづつ燃焼ガスが吹き抜けます。画像のシリンダ上面についた縞模様からもそれを窺い知ることが出来ます。走行時間が何時間かを過ぎるとヘッドとシリンダの接合面からタールのような燃焼ガスとオイルの混合物と思われるものが滲みだしてきます。この症状は当たり前なので特に気にしなくてもOKという認識です。高性能として知られるWills Ringタイプのガスケットですが、ドゥカティに純正採用されたのは後にも先にも998/999Rだけだったというのは、性能的な評価がイマイチ芳しくなかったということでしょうね。良ければ後継モデルにも使用され続けたと思われます。

IMG_1053 で、話を戻しますと、吹き抜けた燃焼ガスの圧力でオーリングが内側に落ちてしまったということです。設計上このオーリングは内側からの水圧に耐えるものであって、外側からの圧力がかかることは想定外だったということでしょう。





IMG_1060 ところが、こちらのシリンダをご覧ください。このシリンダは製造時期が後の対策型と思われるものですがオーリングの溝の形状が異なっています。オーリングが内側に動かないように内側もちゃんと壁になっています。これなら内外両方向からの圧力に対応できます。ちゃんと対策してありますね。初期シリンダーに当たった場合は残念でした、ということでした。(笑)  
Posted by cpiblog00738 at 17:26エンジン/メンテナンス

2019年05月06日

修復完了です

IMG_0990 派手に逝ったエンジンですが、修復完了しました。あまりにも派手な壊れ方だったので内部部品の破損がそもそもの原因のように見えましたが、分解してみると単純にクランクケースの寿命が尽きて割れてしまった、という結論でした。
 クランク、コンロッド、ミッション等の主要部品は各部の計測を行って状態を確認しましたが、特に問題無いことが確認できました。

IMG_0991 当然ながら割れてしまったものは交換です。クランクケース、ジェネレーターカバー、後方気筒のシリンダ、等は交換しました。結果的にはそんなに大したことが無くて良かったです。もちろんそれなりの重整備になりましたが、最初に感じた「エンジン全損」のイメージからするとラッキーな結果でした。


  
Posted by cpiblog00738 at 20:21エンジン/メンテナンス

2019年04月21日

こんな事になってます

IMG_0962 分解中ですが、かなり衝撃的な画像ではあります。







IMG_0963 完全に分離しちゃってますね。







IMG_0964 でも心を落ち着けて観察すると、その他の主要部品のダメージは少ないようにも見えます。果たしでどうでしょうか?  
Posted by cpiblog00738 at 10:08エンジン/メンテナンス

2019年04月19日

派手に逝きましたね・・・・。

IMG_0955 久しぶりに派手な奴がやってきました。







IMG_0960 転倒することもなく、コース上にオイルを撒くこともなく、その危機回避能力は人間業とは思えません。そして何事もなかったようにご帰還。(なわけねーだろ!)




IMG_0958 リアバンクが持ち上がっちゃってますね!クランクケースがリアシリンダの周り1周にわたって分離です。
 中がどうなっているか見るのが楽しみ(不謹慎な発言!!)ですが、実はたいしたことが無いような気もします。

 
続く・・・  
Posted by cpiblog00738 at 13:20エンジン/メンテナンス

2019年03月05日

888SPS 参号

IMG_1316 TFDには仕舞い込んだままになっているバイクが数台ありますが、これはそのうちの1台で888SPSです。一時期TFDには888SPSが3台存在した時があり、それぞれ壱号、弐号、参号、と呼んで区別していましたが、こいつはそのうちの参号で未だに此処に在ります。保管状態は室内保管で冷却水とブレーキ/クラッチオイルは抜いた状態、ガソリンタンクは中身のポンプその他を取り出して乾燥させた状態での保管です。

IMG_0725 これは888SPSが3台存在していた当時の画像です。今見ても凄い光景ですね。日付を確認したところ10年ちょっと前の画像でした。






 壱号と弐号はかなり昔に販売してしまいましたが、参号だけは残してありました。当たり前ですが、残しておくのは自分が一番良いと思っている個体ですよね。コイツはちょっと特別なのです。言ってみればコレクター向けというのでしょうか?

IMG_1319 村山モータースから出た正規モノ。そしてこれが一番肝心なのですが、工場出荷時のままの「フルオリジナル」です。例えば凄いのはブレーキ/クラッチホースまで新車時のオリジナルゴムホースのままです。さすがにウォーターホースは交換されていますが。車体に付いているガソリンタンクは888SPSオリジナルのカーボンタンクです。当時村山モータースはカーボンタンクを外してオリジナルのアルミタンクを装着した状態で888SPSの新車を販売していましたが、その村山モータースオリジナルのアルミタンクも付属します。そして当時のオーナーズマニュアル、点検記録簿、車載工具も揃っています。

 で、最近そろそろこのバイクを手放しても良いかな、と思うようになりました。どうしても欲しいという方がいらっしゃればですけど。フルオリジナルという状態を鑑みると、どちらかと言えばコレクター向けです。フルオリジナルを優先しているので何も手を入れていません。エンジンがかかることは長期保存状態にする前に確認していますが、はっきり申し上げて調子は良くないと感じました。気持ち良く乗るんだったら当然エンジンから何から全てやり直す必要がありますが、そうするとフルオリジナル状態が崩れるとも言えます。
 ビンテージ物は何でもそうですが、コレクターの世界では最終的にフルオリジナルの状態に価値があるというところに落ち着きます。自分の好きなギターなんかもそうですが、本物のビンテージギターの場合は壊れていてもフルオリジナルに価値があるということになります。音が出なくてもフルオリジナルに価値があるのです。音が出るように修理すると逆に値段が下がるのです。
 バイクは乗ってなんぼだろ!と言われるかもしれませんが、ギターだって弾いてなんぼのものです。そういった世界も現実に存在するということです。勿論ちゃんと整備して乗りたいという場合はいかなるリクエストにもお答えできますが。

肝心の価格ですが、現状のままで324万円(税別)と提示しておきます。この価格の根拠ですが、このバイクは1992年型で販売されてから27年経っています。27年分の保管料として算出しました。室内保管での駐車(お預かり)料金を¥10,000-/1か月とすると、27年x12カ月でこの値段になります。1年経つと12万円上がるということになりますね。(笑)
 ご興味のある方はお問い合わせください。リクエストがあれば他の画像も公開します。


  
Posted by cpiblog00738 at 10:29商品情報

2019年03月04日

926

IMG_0907 926のレストアがどのくらい進んでいるかというと、現在こんな感じです。最近時間が取れずに作業がストップしていましたが、やっと先日入手したキャリパーその他を取り付けました。




IMG_0908 フロント周りですが、フロントホイールもマルケジーニの5本スポークになりました。フォークステムがナロースパンのタイプ用のコルサ専用ホイールは今やなかなか見つかりません。お客様の協力もあって入手することが出来ました。感謝です。こうしてみるとやっぱり格好良いです。とりあえずディスクはφ290mmを装着してあります。

IMG_0910 車体右側の眺めです。当時の状態そのままではなく、若干進化しちゃってます。でもまとまりは決まってますね。もう少ししたらシェイクダウンが出来そうです。  
Posted by cpiblog00738 at 20:29エンジン/メンテナンス

2019年01月31日

鍛造ビッグブレンボ

 レストア中の926レーシング用にキャリパーを調達しました。元々の純正は40mmピッチ削り出しの2ピースビッグブレンボだったのですが、当時はこのブレーキシステムがデリバリーが開始されて間もないタイミングで、使用しているといろいろと初期トラブルが出現しました。主に問題はキャリパーではなくローター側に発生していたのですが、その対策としてキャリパーとローターを普通のレーシングキャリパーと鋳鉄ローターの組み合わせにしてレースをしていました。という訳で926レーシングのオリジナル状態に戻すためにはとりあえず2ピースビッグブレンボのキャリパーが必要となったわけです。通常であればこの手の中古部品は在庫していることが多いのですが、今回はたまたまそういったものが無かったので新たに調達する必要がありました。
 最初は新品を購入しようとも考えましたが、たまたまヤフオクでこのキャリパーを見つけて購入し、ブレンボジャパンにオーバーホールに出して先日戻ってきたところです。

IMG_0850 これが今回調達したキャリパーです。鍛造品の2ピースビッグブレンボです。モノとしてはかなりのレアアイテムです。元々はホンダの市販レーシングマシンであるNSR500Vというマシンの純正部品として企画設計されたものですが、鍛造時に鍛造の型にかかるストレスが半端ではなく、型がすぐにダメになってしまうので型を製造する業者がお手上げしてしまい実際に生産された製品の数量はかなり少量だそうです。ブレンボの人によると生産したのはせいぜい100セット程度ではないかということです。当時は削り出し製品とは異なるのっぺりとした質感やプリントによるブレンボのロゴが不評で、不人気アイテムだったそうです。しかし鍛造ボディーですから剛性の高さも相俟って性能は文句無し。今回は良いものを入手できたと思っています。  
Posted by cpiblog00738 at 11:59レース

2018年12月16日

クランクケース合わせボルト

IMG_0744 車種によってクランクケース左右を締結しているM8のボルトの中に中空になっていてオイルラインの働きをしているものが1本あります。ボルトの中心にφ3.5mmほどの穴が開いていて、それがボルトの首下にあるφ2.0mmくらいの穴とつながっていてオイルジェットに行くオイルの通路になっています。  
 このボルトがヤワで締め付ける時にすぐに伸びてしまうんですね。M8のボルトですから締め付けトルクは23〜25Nm位は掛けたいところです。しかしこのボルト、モノによっては20Nm位から伸び始めてしまい、それ以上トルクがかけられなくなることが良くあります。

IMG_0747 左が伸びてしまったボルト、右が正常なボルトです。伸びてしまった方は途中からネジピッチが広がっているのが判ると思います。クランクケース左右の締結にはM8のボルトがほかにも多数使用されていますが、それらは中空では無いので特に問題は起こりません。いずれにせよボルトの強度が足りないのが原因です。


IMG_0750 ボルトの頭に数字が書いてありますね。伸びてしまう方のボルトの頭のペイントを取り除くと8.8という数字が表れます。黒い方(クロモリと呼ばれている材質のボルト)には12.9という数字が見えます。この数字はボルトの強度区分を表しています。最初の数字は最小引っ張り荷重、次の数字が降伏荷重を表します。
 具体的に言うと、8.8は1平方ミリメートル当たり80キロの引っ張り荷重に耐え、80キロの8割の64キロまでは弾性変形で荷重を抜けば元の長さに戻るということです。12.9なら120キロまで切れずに120キロの9割の108キロまでは元に戻る、ということです。この数字を見ればボルトの強度が一目瞭然です。

IMG_0749 で、当然ですが伸びないボルトも製作しています。強度区分12.9のボルトに穴をあけて製作したのがこれです。最近製作を思いついたわけではなく、ずいぶん昔から自分のエンジンにだけ使っています。(笑)今迄多くの使用例がありますが、さすがに伸びた例は皆無です。締め込んでいくときの剛性感が全く違って安心感があります。最近は穴の開いていない方の合わせボルトもこの手のボルトを使い始めました。ただ表面処理が黒染めなので耐食性を考えて競技車両のエンジンにしか使っていませんが。こっちの方が締め込んて行くときの感触に安心感があって良いんです。弱いボルトだと弾性変形内とはいえボルトが伸びてくる感触が雌ネジが壊れて抜けてしまう前触れの感触ではないかと疑ってしまい、精神衛生上非常に良くないのです。










  
Posted by cpiblog00738 at 19:55エンジン/メンテナンス

2018年12月12日

開けられたことのないエンジン

IMG_0731 手持ちの999R05エンジンですがこれをベースに競技専用のエンジンを製作することになりました。保管している時には気にしていませんでしたが、いざ開けてみると殆ど新車時のままで開けられた形跡があるのはフライホイール側のカバーだけでした。TFDに来る前もレース専用車だったのですけどね。開けられていないかどうかの判断基準は主に液体ガスケットの状態です。新車時のエンジンは各接合面にグレーのシリコンガスケットが過剰に塗布されているのでそのはみ出し方が独特です。そこに透明や黒のシリコンガスケットが使われていたりすれば開けた履歴があるのは一目瞭然ですし、新車時と同じガスケットを使用したとしてもあんなに派手にはみ出すほどは使いません。純正と見分けがつかないようにわざと多く使う人もいるかもしれませんが、その場合は例外ですけど。
 何はともあれ開けられたことのないエンジンには非常に安心感があります。おかしなことをされていないことが保証されますからね。安心して作業を進めることが出来ます。  
Posted by cpiblog00738 at 20:21エンジン/メンテナンス

2018年11月30日

超音波洗浄機

 先日超音波洗浄機なるものを導入しました。昔眼鏡用のものをどこかで見た記憶がありましたが、それの大きいやつですね。水槽にカーボン落としの洗剤入りの水を入れてヒーターで加熱し、適当な温度になったところで部品を沈めてスイッチオン。その後は30分〜1時間くらい放置です。

IMG_0716 今回は試しにこのピストンとバルブを洗浄してみました。ピストンは888と1198、バルブは996RS2001のINとEXです。888のピストンはリングから下の部分に摺動抵抗を軽くするための黒いペイントが施してあるのですが、それがどうなるのかに興味があってテストに採用しました。



IMG_0718 60分間の洗浄後です。まあ期待通りと言って良いでしょうか。ピストンのカーボンはちゃんと落ちますが、バルブに関してはイマイチです。EXバルブが綺麗に見えるのは既にボール盤で耐水ペーパーを用いて磨いてしまったからです。EXバルブは高熱にさらされた状態でカーボンが焼き付くのであまり綺麗になりませんでした。INバルブの方もイマイチですね。
 興味があった888ピストンのペイントですが、綺麗に落ちてしまいました。洗浄中の様子を目視していると、むしろカーボンよりもペイントの方が早く落ちていく感じでした。
 まあこういった類の道具は「使いよう」ですから、これから洗剤の種類や温度等の条件をいろいろと試してみてより良い効果が得られる条件を探そうと思います。  
Posted by cpiblog00738 at 09:27エンジン/メンテナンス

2018年11月14日

926のレストア

 IMG_0696久しぶりの更新です。最近何をしているかというと、例の里帰りしてきた926レーシングのレストア作業です。かなり汚い状態だったので通常のオーバーホールよりかなり手間がかかります。先日やっとエンジンが組み上がったので、今日から車体に載せる作業を開始しました。車体周りも各部品を一つずつ洗浄しながらの作業です。
 組み上がったら勿論走行します。レースも出ちゃいます。今から楽しみです。  
Posted by cpiblog00738 at 00:08エンジン/メンテナンス

2018年10月12日

自己ベスト更新です

 自己ベスト更新と言っても筑波のタイムではなく釣りの話です。今年3回目の釣行に行ってきました。もう10月も半ばだというのにたった3回・・・。仕事とレースと怪我の後始末に追いまくられた一年だったような気がします。(まだ今年が終わるわけではありませんけど)
IMG_3497 でもたまには良いこともあるものです。自己ベストを更新しました。今までの自己ベストを記録したのは2012年のことだったので6年ぶりの更新です。使用したルアーもハードルアーで満足です。




IMG_3495 ロクゴーです。まあ体長に関しては測定の仕方で計測値にはバラツキがあるものですが・・・・。





IMG_3499 でも重量に関しては正しい秤を使えば測定値は信頼できる数字になります。非常に惜しいところですが5キロにほんのちょっとだけ足りません。でも十分すぎるテンパウンダー(10Lb超え)です。









IMG_3502 今回はこれだけではなくロクマルクラスを3本掛けました。もう一本がコイツです。何とコイツもロクゴーです。ちょっとスリムなスタイルで重量的には約4キロ。
 そしてもう1本はランディングネットに収める直前に痛恨のバラシ。でもルアーをチェックしたところ、なんとフックを折られていました。それも前後ともです。トリプルフックが2本ともダブルフックになっていました。通常フックが2本とも掛かれば完璧でまず獲りっぱぐれることは無いのですが、ロク越えともなるとこういったことも起こるんですね。
 何はともあれ1日でロク越えを3本掛けたという夢のような一日でした。












  
Posted by cpiblog00738 at 14:17釣り

2018年09月20日

大漁です!

IMG_0586 キノコハンターのエキスパートであるお客様に連れられてマツタケ狩りに行ってきました。めぼしをつけていた場所に夜明けとともに入りましたが、残念ながら空振り。殆ど登山で体力的にかなりきつかったため、今日は残念でしたということで終わりにしようとも思ったのですが、やはりもう一か所廻ることに。その結果がこれです。諦めて帰らないで良かった! 
 大漁とはいえ 私は彼の後ろをくっついて回っただけでマツタケの発見者は全て彼です。やはり慣れが必要です。雰囲気的には宝探しです。砂金で一攫千金、みたいな感じですね。ハマる人は多いかもしれません。それにしても純日本産天然マツタケ!これだけ買ったらいくらするんでしょう?  
Posted by cpiblog00738 at 20:09雑記

2018年09月17日

ピストン入荷

IMG_3493 先日のピストンと一緒にこのピストンも入荷しています。1098用ピスタル製ハイコンピストン、品番は1005A000です。近々使う予定で取り寄せましたが、時間的に余裕があるので必要な方がいらっしゃれば販売します。価格は¥132,000-(税別)です。  
Posted by cpiblog00738 at 11:00商品情報

2018年09月13日

ピストン割れの次は

IMG_0578 クランクケース割れです。サーキット専用車ですが、走行中に右のハンドルに今迄感じたことが無かった大きな振動を感じるようになり、このまま走行を続けると何かとんでもない事件が起こるのではないかと思って走行を中止したそうです。正しい判断です。人によっては確認のためにとか言って次の走行枠までも走ってしまい、エンジンにトドメを刺した方も少なからずいらっしゃいます。
 エンジンに異常な振動を感じ、そのためにエンジン外観を入念にチェックしても原因が判らない場合があります。そうした場合、私はとりあえずエンジン左側(フライホイール側)のカバーを開けてみます。そうすると原因が判明する場合が結構あります。カバーを取り外した瞬間にその異常な重さでカバーを落としそうになり、びっくりして良く見るとフライホイールが外れていてカバーにくっついて一緒に外れて来ていたなんていう経験は一度や二度ではありません。あとはやはりクランクケースのクラックでしょうか。クランクシャフトからの出力を取り出す1次ギアはエンジン右側にあって、感覚的にはこちら側の方にかかるストレスの方が多そうなのですが、何故かクラックは左側に発生することが多いです。当然ですがクランクケースは交換です。新品はかなり高価なので中古の部品を探してきて交換するのが現実的な選択になります。  
Posted by cpiblog00738 at 19:59エンジン/メンテナンス

2018年09月10日

ピストン入荷

IMG_3491 先日ピストン割れ事件が発生しましたが、やっと代わりのピストンが入荷しました。本来ならこんなに時間がかかることは無いのですが、イタリアには夏休みというものがありましてこの時ばかりはどうにもなりません。8月中は音沙汰がなかったのに9月に入ると急にレスポンスが良くなります。何はともあれ部品が来たので作業開始です。  
Posted by cpiblog00738 at 20:17エンジン/メンテナンス

2018年08月21日

リアハブ周りの部品を刷新しました。

IMG_0508 今自分が乗っている競技車両の車体は基本的に996RS01ですが、そろそろリアハブ周りにガタが来ているのでは?という懸念が最近捨てきれなくなってきました。特にベアリング類は街乗りバイクと比較して結構華奢な造りに見えます。純粋なレーシングマシンというのはそんなものなんですけど、乗り手が不安に思うとタイムは出ませんからね。そこで時間を見てリアハブ周りの部品を新品に交換しました。これでタイムが上がるかも?多分変わらないんでしょうね。(笑)  
Posted by cpiblog00738 at 22:10レース