2022年08月15日

工具

DSC00104 たまには工具の話です。これは片目片口スパナ、コンビネーションスパナなどと呼ばれているもので、サイズは10mmです。Snap-on製のOEXM10というモデルです。現在においては所謂旧ロゴと呼ばれるようになっている旧タイプですが、私が入手した当時の新品はこのタイプでした。少しでも自分でバイクを触る人であれば、このタイプのこのサイズは非常に使用頻度が高い工具であると解りますね。


DSC00105 全ての工具にという訳ではないですが、スナップオンの工具には製造年が記されている場合があります。この2本のスパナの場合、文字列の中央に上のスパナには「2」、下には「4」という数字が見えます。これの意味するところは1982年製と1984年製ということです。年代によって数字の字体が決まっていて、画像のこの数字の場合は1980年代の数字ということになります。例えば1990年代であればまた別の字体で数字が記されているのでそれと判別できます。ネットで調べてみると詳しい解説を目にすることが出来ると思います。
 例えば「2」の方は自分がこの業界に入ったばかりの時に購入した工具のうちの一つです。値段も覚えていますが、確か1本¥5,500-だったと記憶しています。今考えても非常に高価ですね。当時のスナップオンのスパナは小さいサイズでも¥5,000-くらい、大きいサイズだと大雑把に言って1万円くらいというイメージでした。10mmサイズは使用頻度が非常に高いのでスペアが必要と考えて2年後に追加購入したのが「4」の方です。
 使用し始めてから40年、そう考えると凄いですね。このサイズは仕事をしていればほぼ毎日必ず使用します。ピカピカだったメッキもそれなりに曇り始めてはいますが機能的に全く問題無いままですし、メッキの剥がれなどは皆無です。この頃のメッキは材質が良いのでしょうね。裏を返せば非常に環境に対して悪影響を及ぼすようなメッキ処理が許されていた時代だったということもあるのでしょうか?自分的にはこういった類のものが本当に良いモノ、本物と呼べるもの、だと思います。面白いのはこの時代のスパナに関して言えば同じ品番でも一つ一つ微妙に形状が異なります。職人さんが一つ一つを手作業で削って整形していたのだと思われます。手持ちの中にも中央のバーの部分が極端に薄く仕上げられていてやたら細身でスマートな個体等もあり、とても興味深いです。
  

Posted by cpiblog00738 at 13:50エンジン/メンテナンス

2022年07月25日

筑波TT

0003 先日行われた筑波TTのレース、BOTTのWCTクラスに於いて久しぶりにお立ち台の真ん中に立つことが出来ました。レースは一人では出来ません。お手伝いしていただいた方々、ありがとうございます。いつものことながら感謝に堪えません。
 思えば私がアマチュアレースに参加し始めたのは20代の頃でした。生まれて初めて筑波を走った時のバイクはベベルでしたが、実際にレースに参加した際はパンタ系のバイクからでした。そしてアマチュアレースに参加し続けて長い年月が経過し、生れて初めて筑波で公式に1分を切るタイムを記録したのは私が48歳の時でした。アマチュアレーサーにとって筑波の1分切りは夢のような遠い目標だったので、これで自分のレースはアガリ。これからあとはオマケだ、と本気で思いました。
 しかしそれから10年後の58歳の時にこのタイムを更新しました。この時のタイムが自分の生涯におけるベストタイムです。(今のところ、と言っちゃいます)その翌年は59歳59秒台を目標に走行して、レースの予選や決勝で2回その目標を達成できました。これで本当にアガリだと思っていたのですが、その5年後の去年の筑波選手権において再度1分切りのタイムを記録することが出来ました。今更ながら「継続は力なり」という言葉の重みを噛み締めることとなっています。レースに限らず何事においても、こうしたい、こうありたい、と思うことがまず最初にありきだと思いますが、まさにその通りだと思います。強く欲して、それに向かって自分なりに努力し続けること、となりますでしょうか。

0005 ところで今回自分に優勝をプレゼントしてくれた愛すべきバイクの998RSですが、このバイクは自分が48歳の時に生れて初めて筑波で1分切りをした時のバイクそのものです。バイクの立ち位置として当時は最先端、今現在はビンテージ。感慨深いものがありますね。

 そういえばこんな話を聞いたことがあります。ちょっと昔のことですが、アメリカのデイトナウィークに行われた旧車レースでヤマハのTD-3というバイクで人生初優勝を遂げたおじいちゃんライダーがいたそうです。この方は若い頃にTD-3を新車で購入してレースに参加するようになりましたが、なかなか結果が付いてこなかったらしいです。ちなみにTD-3とは1970年代前半に販売されていたヤマハの市販レーシングマシンでTZ250の前身です。そのバイク一筋でレースを続けていくうちに時は流れていつの間にか最新の市販レーサーだったTD-3が思いっきり旧車になってしまったんですね。それでとうとう優勝する順番が回ってきた。良い話だと思います。

 まあレースというのは結局その時に走っていた周りのメンバー次第という要素が大きいと自分は思っています。その時に自分より速いメンバーがいなければ自分が優勝、そうでなければそれなりの順位、ということです。もちろん複雑なあらゆる要素が絡み合ったうえでのレース結果ではありますからそう簡単に結論付けることは出来ませんが、自分は上記のように単純に考えることが多いです。長くレースを続けていると良く判りますが、自分より明らかに速い人が沢山存在するという事実から目をそらすことは不可能です。そうすると始まる前から優勝の可能性がないレースはつまらないじゃないか、という話になりますが、そんなことは決してありません。レースは自分との戦いに帰結すると自分は考えています。例えばあるレースでぶっちぎりの優勝を遂げたとしてもタイムが自己ベストには全く届かなかったとすれば、優勝は嬉しくてもその喜びはそれなりで大したことはありません。逆にレベルの非常に高いレースに参戦して結果は周回遅れになってしまったとしても、それまでの自己ベストを大幅に更新できた、というような状況となれば自分としてはその方が嬉しさ、達成感、満足度、次回へのモチベーション、その他あらゆる要素に於いてぶっちぎりに上です。そういった意味で自分よりも速い人と一緒に走りたいという欲望が強いです。レースという場は大げさに言えば自分の限界を高めることが出来る現在においては非常に稀有な場所です。若い頃は勢いで行っちゃうような状況も散見されてその結果転倒したりすることも多いですが、この歳になると転倒ははっきり「悪」だと言い切れますから、かえって自分を高めるハードルは若い時よりも高いと思います。
 自分の場合は何はともあれ体が言うことを聞くうちは走り続けるつもりです。
  
Posted by cpiblog00738 at 10:53レース

2022年07月11日

デッドストックのオイルクーラー

DSC00015 倉庫から出て来ましたので販売します。748/916/996純正オイルクーラー、未使用新品箱入りです。純正品番54840121A。随分前から廃番になっていて入手不可の状況になっています。価格は¥47,480-(税別)です。勿論在庫はこれ1個のみ、早い者勝ちです。



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 売約済みとなりました。(7月17日)







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Posted by cpiblog00738 at 13:45商品情報

2022年06月20日

Supermono

IMG_9903 先週末の6/19、FISCOでのMAX10のレースにSupermonoで参戦してきました。まあ参戦という大げさなものではなく、完成検査を兼ねたツーリングという認識でしたが。それでも実際に走行するとそれなりに頑張って走ることになってしまいます。しかしこの日のベストタイムは2分6秒が精一杯でした。エントリー表を見るとエンジンの馬力的にはどう見てもこのバイクが最少だったのでストレートでは思いっきり抜かれまくりましたね。特にV4Rに抜かれた時はその速度差が100km/hという感じで、それはそれはすさまじかったです。

 ところでSupermonoは今となっては非常に珍しいバイクで、写真は見たことがあるが実物を見るのはこれが初めてです、という声も随分いただきました。我々のピットにこのバイクを見にいろいろな方が訪れてくれたのですが、一点だけ気になることがあったので書かせていただきます。
 世間一般の常識では見ず知らずの人のバイクを写真撮影する時には通常「写真撮っても構いませんか?」という感じで一言声をかけるのが当たり前ですよね。少なくとも私の認識ではそうです。ところが何の断りも挨拶もなしで勝手にバシャバシャ写真を撮って去っていく人が沢山いて、驚くとともにそのことで自分は結構不機嫌になってしまいました。悲しいことに印象としてはどちらかというとそういった人の割合の方が多かったかもしれません。自分的には信じられません。日本人ってこんなだったっけ?それともバイクが好きな人は個性が強い人が多いのでこんななの?中には何の断りもなくいきなりバイクに張り付いて長時間にわたって舐めるように接写状態で詳細な写真を撮り続ける人まで出現しました。さすがにこの人には一言声をかけさせていただきましたけど。着ているシャツからこの人が何処のショップのお客さんかは何となく想像が付きましたが、こんな行為をしていてはそのショップの品格迄貶めてしまいますよ。TFDのお客さんの中には旧知の仲なのに、SNSには出しません、あくまで自分だけで見て楽しみますから写真撮って良いですか?と聞いて下さる方さえもいらっしゃいます。うちはお客様に恵まれていて幸せです。感謝しかないですね。

 また別件ですが、今回もFISCOの長いストレートでの接触事故が発生しました。原因は明らかで、追い抜かれる側のストレートでの進路変更です。FISCOのストレートでは速いバイクの場合300km/hに近いスピードが出ます。このスピードでスロットル全開の走行をしていると急な進路変更は不可能です。追い越す寸前で追い抜かれる方のバイクが進路変更して自分の進路に入ってきたらそれを避けることはほぼ不可能です。速度の遅い側の言い分としては、自分は後が見えないのだから避ける義務は追い越す側にある、と言うかもしれませんが、それは完全な間違えです。相対的に速度が速いバイクもそうですが、特に相対的に遅いバイクの場合はストレートでの進路変更は厳禁ですとあえて言います。それは何より自分の身を守るためにそうする必要があるということです。例えば自分のバイクの最高速200km/hでその時にFISCOを走行しているバイクの中では遅い方だとしても、その走行時間には50ccの最高速100km/hが精一杯のレーサーも走っていて、それがストレートエンドで前にいて不自然な進路変更をしそうな怪しい動きをしているという状況を想像してみて下さい。私の言っていることが判ると思います。
 また特に最高速のあまり速くないバイクの場合、FISCOの最終コーナーを立ち上がってバイクが直立したらその時のラインを守ったまま1コーナーを目指してください。自分のバイクはあまり速くないと認識しているのにたまたまアウトいっぱいで立ち上がってしまったとしても、あわてて走行ラインをイン側に振る必要はありません。それはかえって危険極まる行為となります。後ろの速いバイクはインから抜きにかかりますから接触の可能性が非常に高いです。この場合はアウト一杯のまま1コーナーまで走るのが一番安全です。速いバイクはストレート上でイン側から勝手に追い抜いて行ってくれます。また、ストレートで真ん中あたりのラインを走り続けた後にブレーキングポイント近くになってラインをアウトに振る行為もよく見かけますが、これも非常に危険です。後ろから来る速いバイクが300km/hくらいのスピードからフルブレーキングで侵入してくる場合、当然ながらその状況での進路変更は不可能です。前にいる追い越すバイクがそれまでストレートの中央を走行しているのを見てアウトから進入していたとすると、いきなりその前に出てこられたら100%突っ込みます。
 サーキット走行での常識は一般公道のそれとは大きく異なる場合も多いです。自分が突っ込まれたり突っ込んだりしないためにはどのようなことを心掛けるべきなのか、相手の立場になったつもりで考えれば解りやすいと思います。サーキットなので目的は速く走ることです。それを前提とした上でいかに自分の身を守るかを考えて欲しいと思います。それは自分だけでなく相手の身を守る事にもなります。サーキットでの事故が多いとサーキットに対する世間一般の印象が悪くなります。サーキットを走行したいと考える人の新規参入も妨げます。我々はレースもするけどそれは趣味で、目的は楽しむことです。速く走る事だけではなく、安全に楽しむことが大切です。
  
Posted by cpiblog00738 at 20:23レース

2022年06月08日

チタンバルブ

 先日エンジンブローしたエンジンはチタン製のバルブを使用しています。一般的にチタンバルブをリフェースするのはNGということになっていますが、その理由は硬質な酸化被膜がリフェースにより除去されてしまい、その結果バルブフェースの摩耗が著しく進行するからだと理解しています。

IMG_5018 このバルブはこのエンジンに使用していたものです。リフェースして使用していました。しかしバルブフェースの状態は良好で、少なくとも異常な摩耗は発生していません。自分の経験上ドゥカティのチタンバルブはリフェースして使用しても短時間で問題が発生することは無いと認識しています。個人的な推測ですが、燃焼ガスその他にさらされる影響で何らかの酸化被膜のようなものが構成され、その効果摩耗が抑えられるのではないかと思っています。それに加えてデスモドロミック機構なのでバルブをバルブシートに強い力で押し付けることが無いのも要因の一つのような気がします。

IMG_4492 ところがこんな事例も経験しています。これもリフェースして使用していたチタンバルブですが、ある時を境にエンジン始動が困難になり、分解してみたところバルブフェースが画像のような状態になっていました。私としてはリフェースして使用して問題は起こらないと認識していたので非常に意外だったのですが、巷で言われている異常摩耗というのはこれですね。
 私がリフェースしたチタンバルブを使用して組んだエンジンの数は相当数ありますが、この状況は初めての経験です。いろいろと原因を調べたところ、今まで問題無かったエンジンの使用状況と一つだけ明らかに異なる条件でこのエンジンは使用されていました。それはガソリン添加剤の使用です。おそらく添加剤の優秀な洗浄作用でバルブフェースが常にクリーンな状態に保たれ、その結果酸化被膜のようなものが生成されなかったのではないでしょうか。
 ところで私がチタンバルブまでリフェースしてしまう理由ですが、それはあくまでバルブフェースとバルブシートの当たりを最優先しているからです。新品バルブを使用すれば良いじゃないかという声も聞こえますが、例えば999Rのチタンバルブの価格は1本約5万円、1098Rであれば約8万円です。8本全部交換したらと考えると、全く現実的では無いと思います。それに加えて私の経験上、新品バルブといえども全数が完全無欠の状態であるとは言えないのです。新品なのにセンターが出ていなくて振れがあるバルブも実際に存在します。新品バルブを使用する場合、それがスチール製であれば私はたいていの場合まず最初にバルブリフェーサーでリフェースしてしまいます。チタンの新品の場合は流石に躊躇して考えに考えた末にどうするか決定しますが。言えることは優先されるのはバルブとシートの当たりが正しく出ているかで、バルブフェースに荒れや振れが有る場合にそのまま再使用する選択肢は有り得ない、というのが私の認識です。あ、それはあくまで使用目的がレースの場合で、バルブとシートの当たりが多少おかしくてもバイクはそれなりに走りますから街乗りの場合は持ち主の考え方次第ではあります。

  
Posted by cpiblog00738 at 11:33エンジン/メンテナンス

2022年05月08日

エンジンブローその2

IMG_4967 シリンダーヘッドを外しました。こちらは後方気筒ですが、ピストンのバルブリセスの周辺にバルブが干渉した痕跡があります。スキッシュエリアもヘッドと接触しています。ピストンが回転して角度がずれてバルブと干渉し、それに加えてピストンが本来の位置よりも上がって来てしまったということですね。



IMG_4968 前方気筒です。やはりスキッシュエリアがヘッドと接触し、ピストンの角度はずれなかったようですがエキゾーストバルブがリセスの中でピストンと接触しています。




IMG_4970 前側のシリンダーとピストンを外して内部を覗いてみました。う〜ん、何かが思いっきり壊れていますね。






IMG_4972 後方気筒側から覗いてみました。壊れているのはクランクシャフトですね。割れているというか折れているというか、、、、。






IMG_4973 クランクケースを分解してクランクシャフトを取り出しました。こんなの初めて、という訳でもありませんが、何年かぶりに見ました。ごく稀にですがこんなことも起きます。
 この手のエンジンのクランクシャフトは基本的に非常に丈夫に出来ていて、例えば走行500kmごとに多種類の部品交換が指定されているコルサやRSに於いてもクランクシャフトは定期交換部品に指定されていませんでした。そんな部品がこのような状況に陥るということは製造時に何かの問題が発生していたのでしょうね。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:46エンジン/メンテナンス

2022年05月06日

エンジンブローその1

IMG_4962 筑波サーキット決勝レース中に発生したエンジンブローです。その瞬間までエンジンは快調に回っていました。発生した場所は裏直の中間あたりでしたが、ライダーはこの緊急事態に冷静かつ的確な判断で対応し、安全にそのままピットロードへ進入して惰性でピットまで戻ってきました。
 何かの原因でクランクシャフトが振れてエンジン左側カバーを破壊したと思われますが、いったい何が起ったのでしょうか?

IMG_4963 まずケースカバーを取り外しました。本来ケースカバー側に取り付けてある発電機のコイルがローターの中に残ったままです。ケバケバしているのは粉砕された発電機からのハーネスです。





IMG_4964 取り外したカバーです。発電機のハーネスは引きちぎられています。







IMG_4965 フライホイール側です。銅色の破片は削られた発電機コイルです。







IMG_4966 フライホイールその他のエンジン左側部品を取り外しました。中央のクランクシャフトを支持しているボールベアリングが壊れ、そのためにクランクシャフトが振れてこのような事態になったのでは、と分解前は予想していましたが、どうもそうではなさそうです。ベアリングは原形を保っています。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:27エンジン/メンテナンス

2022年04月29日

28年前ですか

こんなのあるよ、とイタリアの友人から連絡が来ました。

5:33あたりですね。若いです!

 当時は何とも思わなかったんですが、今改めて考えてみるといろいろな意味で凄いところにいますね。今まで誰も知らなかったポット出のプライベートチームとライダーです。
 第1ヒートのレースでは1周目、2周目ともに6位で帰って来て3周目に転倒、再スタート。ほぼ最後尾の36位から21位まで追い上げてチェッカー。帰ってきたバイクを見たら転倒時に左のステップバーが無くなっていて、シフトレバーも曲がってあらぬ方向を向いていました。「左足はサイレンサーの上に置いて、シフトは曲がったレバーを蹴り込んだり蹴り上げたりして運転してたッス」とのことでした。あきれ返るほど凄いヤツでした。
 レースウィークの練習走行時にコース上で初めて芳賀選手に遭遇したフォガティ選手に、「あいつは誰だ!」と言わしめた、という逸話を思い出しました。

  
Posted by cpiblog00738 at 08:27レース

2022年04月21日

大猟です

IMG_4957 大猟です。今年の生え方は何故か凄いです。  
Posted by cpiblog00738 at 16:45雑記

2022年04月08日

748Sエンジンオーバーホールその6

IMG_4925 シリンダーヘッドの方はバルブガイドの交換を行いました。ガイドは純正ではなくTFDオリジナルのベリリウム銅合金製です。バルブの通る穴はバルブステム径よりも小さく仕上げてあり、従ってこのままではバルブがガイドに通りません。この状態からリーマを通して徐々に穴を大きくしていきます。通すリーマの径を0.01mm単位で大きくしていってバルブステムが通るところまで拡大します。

IMG_4926 こうすることによってガイド穴とステムのクリアランスを0.01mm単位で管理できます。計測すると判明しますが、8本あるバルブのステム径は必ずしも同一ではありません。個々のバルブステム径に合わせた穴径に仕上げます。従ってこのバルブはここに使う、という決まりが発生する場合もあります。他のバルブに入れ替えるとステムが通らなかったりガタガタだったり、ということになるわけです。
 ちなみにTFDで使用している材質のバルブガイドの場合、ガイドとステムのクリアランスはほぼゼロの設定で、バルブが抵抗なくガイドの中で動く状態であればOKです。その状態でヘッドを組み立てます。この材質で製作したガイドの性能は秀逸で、耐摩耗性は勿論のこと潤滑性も非常に優れており、狭いクリアランスで組んでも焼き付きなどのトラブルは発生せず、ある程度の慣らし運転を行った後には適正なクリアランスに落ち着き、その後その状態で長期間安定します。街乗り、レースを問わず、次回のオーバーホール時にガイド交換が必要になるケースは非常に稀です。ただしこれはガイドの材質によるもので、他の材質のガイドでクリアランスゼロの設定をやるとバルブとガイドが焼き付いたりする可能性があると思います。

IMG_4927 ガイドを入れ替えると少なからずバルブの角度が変化し、そのままではバルブフェースとバルブシートが正しく当たらなくなります。それをシートカットで対処します。





IMG_4928 左側がシートカットを施したのちにバルブとのすり合わせを行い、当たりの確認まで終了したバルブシート。右側は未施工でこれからです。






IMG_4929 4か所ともシートカットとバルブとのすり合わせが終了しました。







IMG_4935 こちらはバルブの方です。バルブフェースに擦り合わせの痕跡が付いています。シートと当たる位置は出来るだけ外側になるようにしています。当たり面の位置が実質的なバルブの傘径ということになります。ただし摺合わせ部の外側に当たらない部分を少しだけ残すようにしています。
 例えばオリジナルより大きいビッグバルブを入れた時に、その当たり面の位置がそれまでと同じ位置でバルブフェースの内側の方にあったとすればビッグバルブの意味がありません。当たり面の円周長とバルブリフト量の積が混合気の吸入量と考えれば理解出来ると思います。


IMG_4936 シリンダーヘッドの組み立て中です。







IMG_4937 デスモクアトロエンジンの懸念であるロッカーアームのメッキ剥離です。今のうちであればロッカーアームの交換のみでOKですが、症状が進むとカムシャフト側にもダメージが発生してしまいます。





IMG_4938 シリンダーヘッドが完成しました。







IMG_4941 ピストンが上死点に来た時のピストンとシリンダーヘッドの隙間、所謂スキッシュクリアランスの計測と調整を行った後、ヘッドを取り付けます。ヘッドを組み付けてエンジンの形になったところでバルブタイミングの計測と調整を行っています。



IMG_4944 エンジンが完成しました。







  
Posted by cpiblog00738 at 09:31

2022年04月03日

748Sエンジンオーバーホールその5

IMG_4912 エンジン腰下がひと段落したのでシリンダーヘッドの作業を開始しました。カーボンを落として綺麗にしたところですが、ヘッド面の腐食が気になります。腐食している部分から鑑みると冷却水による腐食と思われますが、はっきりとした原因は不明です。腐食が発生していない個体も見受けられますから、クーラントとのマッチングの問題なのでしょうか?


IMG_4913 ヘッド面を研磨しました。機械加工ではなく手作業で、定盤上でのすり合わせです。機械加工でも良いと思いますが、研磨の取り代が大きくなることと機械をセットする手間を考えると摺合わせが妥当な場合が多いです。すり合わせでは取り切れない深度の腐食であれば機械加工で対処するしかありませんが。  
 まだちょっと腐食跡が散見されますが、機能的と精神衛生的に問題無い範囲なので深追いはしません。


IMG_4914 シリンダーヘッド内部部品です。カムシャフト支持はプーリー側がボールベアリングで反対側がローラーベアリングです。プーリー側のボールベアリングとオイルシールは交換しますが、反対側のローラーベアリングとオイルシールは再使用します。主な理由は部品の価格で、ベアリングとオイルシールで1セット¥7,000-位します。オイルシールだけでも交換したいところですが、オイルシールを取り出すためにはベアリングを取り外す必要があり、その場合はベアリングの内輪にプーラーをかけて引き抜くのでベアリングの再使用は避けたいです。すると必然的にベアリングとオイルシールの両方を交換することになります。経験的にこの部分は非常に余裕を持った造りなので問題が起こる可能性は非常に低いです。逆にプーリー側はベルトのテンションがかかるのでストレスが大きいです。それとロッカーアームのメッキの剥離は要チェックです。この個体の場合でも数本発覚しています。こればっかりは交換で対応するしかありません。


IMG_4915 バルブガイドを取り外しました。バルブガイドを取り外す場合、TFDではガイドを燃焼室側に抜いて取り外す場合が多いです。その理由は特にエキゾーストガイドに関してですが、カーボンが強固に固着したガイドをカムシャフト側に抜くとカーボンが固着した部分がガイド穴を通り抜けるのでガイド穴の内壁にキズが付く可能性が高いからです。


IMG_4916 インテーク側です。







IMG_4917 エキゾースト側です。







IMG_4918 こちらはバルブです。カーボンを落として磨いた状態です。一見綺麗です。







IMG_4919 しかしよく観察するとバルブシートと接触するバルブフェース部分の状態は芳しくありません。この個体の状態が特に悪いという訳ではなく、ある程度以上の距離を走行したエンジンとしては平均的な状態です。




IMG_4921 こちらはエキゾーストバルブで、バルブフェースの荒れというか凹みはカーボン等の異物を噛みこんだためと考えられていますが、インテークバルブの方も程度の差こそあれ同じような状態なので噛みこむのはカーボンだけとは限らないようです。



IMG_4924 バルブフェースをリフェースしました。作業の前後を比較するとその差が歴然です。


  
Posted by cpiblog00738 at 09:17エンジン/メンテナンス

2022年03月31日

748Sエンジンオーバーホールその4

 諸事情によりちょっと間が開きましたが作業再開しました。

IMG_4892 オイルポンプの内部を点検中です。今迄オイルポンプに問題があったという記憶は殆どありません。本体と蓋の間には位置決めのノックピンが存在しません。従って蓋を適当に取り付けてボルトを締めてしまうとシャフトとシャフト穴がせってしまって摺動抵抗でシャフトの回転が重くなります。蓋を取り付ける時にはシャフトの回転がスムーズな場所を探してボルトを締める配慮が必要です。


IMG_4893 エンジン右側です。1次ギア、オイルポンプ等を取り付けています。  







IMG_4896 セルモーターを分解しています。現状で問題はありませんが、予防整備の意味でブラシセットやオイルシールを交換します。コミュテーターは研磨してリフレッシュします。




IMG_4899 フライホイールを分解しました。スターターのワンウェイクラッチを交換します。これも予防整備です。






IMG_4900 シフトコントロールアームAssyを分解しています。2種類のリターンスプリングを交換します。スプリングの折損はたまに見かけます。太い方のスプリングが折損するとペダルが中立の位置に戻らなくなりますし、細い方が折損すると何かの拍子にアームがドラムから浮いた状態になってシフト操作をしても空振りになってしまうことがあります。


IMG_4901 シフトコントロールアームの調整を行った後、エンジン左側を組み立てています。調整はナットで固定してあるエキセントリックピンの取り付け角度を変更することによって、シフトアップとダウンのペダルのストロークが同じになるように行います。特に太い方のリターンスプリングを交換した場合はこの調整を行わないとシフト操作に支障をきたすことになる場合があります。
 エンジン左側にはフライホイール、タイミングギア、ギアチェンジ機構、等が存在します。

IMG_4902 シリンダーとピストンを仮組した状態です。






IMG_4904








IMG_4905 クラッチドラムです。左が旧タイプの既存の部品、右が現行の新しいタイプです。旧タイプはオールアルミ製で、ワッシャーと接触している中央の穴の回りが摩耗して凹んでいます。現行部品はその部分にスチールが鋳込んであって摩耗しにくい構造となっています。この部品は現行の新品に交換します。



IMG_4906 クラッチを組み立てました。このエンジンには社外の部品が使用されています。この手のタイプのクラッチの場合、純正のクラッチプレートセットが使用できなくなるので部品の供給が滞ることが無ければ良いのですが、その点が心配です。

  
Posted by cpiblog00738 at 20:29エンジン/メンテナンス

2022年03月23日

Ducati Corse racing slipper clutch

IMG_4889 パッケージ入り新品。1セット入荷しました。ご興味のある方、ご連絡をお待ちしています。

 売約済みとなりました。
  
Posted by cpiblog00738 at 15:12商品情報

2022年03月21日

748Sエンジンオーバーホールその3

IMG_4857 さて、クランクです。プラグを外してクランクピン内部その他も洗浄済みです。特に問題無い状態です。クランクギア取り付けのテーパーになっているシャフト部分(奥側)は磨いて綺麗にしてあります。テーパーで嵌めこむギアの場合、ここが荒れている個体が多く、それがギアの取り外しに苦労する原因となります。


IMG_4861 気になるコンロッドメタルの状態ですが、まあまあ標準的なコンディションです。ドゥカティのこの手のエンジンの場合、コンロッド本体側のメタルの方がキャップ側のそれよりもダメージが大きいです。




IMG_4863 メタル合わせ中です。メタルクリアランスは2本とも0.048mmに揃いました。使用メタルの厚さは1.485mmとか1.479mmとか、写真で見える数字の通りです。千分の一単位の計測値が本当に正しいのかという意見もありますが全くその通りで、温度によって千分の一単位の数値はコロコロ変化しますのであくまで目安ということになります。


IMG_4865 クランクにコンロッドを組み付けました。コンロッドボルトは使い捨て部品なのでメタル合わせを行う時は今迄使用していたボルトを使用します。メタル合わせ終了後にコンロッドをクランクに組む際に新品ボルトを使用します。





IMG_4866 こちらはミッションのカウンターシャフト(スプロケットが付くシャフト)です。特に問題ありません。街乗りで丁寧に乗られていたミッションは非常に程度が良いです。いつもサーキットで酷使されていた部品ばかり見ているのでなおさらそう感じるのかもしれませんが。一度外したサークリップは新品に交換します。


IMG_4867 こちらはミッションのメインシャフト(クラッチが付くシャフト)です。こちらも問題ありません。非常に綺麗な状態です。サークリップに加え、クラッチプッシュロッド用のニードルケージとオイルシールは交換します。ここには写っていませんがシフトフォークの状態も同様に良好です。



IMG_4868 ミッションのシム調整を行っています。ミッションシャフト2本とシフトドラムの左右(この写真では上下になります)にはシムが存在していて、そのシムを変更することによってシャフトとドラムの位置を変更できます。例えばドラムのシム変更は行わずにシフトフォークの可動範囲が一定であるとすると、各ギアのドッグの勘合深さの調整はミッションシャフトの位置に依存します。写真のメインシャフトを例にとると、下側のシムを薄く、その分上側のシムを厚くしたとします。するとシム厚の変更分だけシャフトは下に下がります。その結果シフトフォークで動かされているギアの上側のドッグはその分深く勘合するようになり、逆に下側のドッグの勘合は浅くなります。この方法で全てのギアのドッグの噛み合い具合が良好になる状態を探します。実際には妥協点を探す感じですが。こうして良好な状態に調整したミッションも走行中に無理なシフト等を行った結果シフトフォークを曲げてしまえば一発で台無しになってしまうんですねどね。


IMG_4869 クランクシャフトも同様なシム調整を行います。クランクの場合はコンロッド位置がシリンダーの中央に来るようにする調整と、クランクケースを閉じた時にクランクシャフトにかかるプリロードの調整です。写真は全ての調整が終了してクランクケースを合わせて組み立てる直前の状態です。




IMG_4871 クランクケースの左右を合わせて腰下を組み立てた状態です。

  
Posted by cpiblog00738 at 08:33エンジン/メンテナンス

2022年03月19日

748Sエンジンオーバーホールその2

IMG_4848 エンジン右側のクラッチカバー周りです。シール類やベアリングを取り外し洗浄済みです。






IMG_4845 1次ギア内側のオイルシールですが、街乗りバイクで旧タイプの黒いオイルシールが使用されている場合は高い確率でこのようにシールとハウジングが焼き付いています。シール単体で取り外すのはなかなか困難で、ベアリングごと裏側からプレスで押して取り外します。それでも焼き付いたシールのゴムがギア側に残ってしまいますので、これをカッターの刃や細かい耐水ペーパーで綺麗に除去します。現行のオイルシールは茶色で、おそらく材質はバイトン製となっており、これが使用されていると焼き付いている確率はかなり低いです。


IMG_4849 シリンダーとピストンです。シリンダーの上面は定盤の上で擦り合わせて面出しをしてあります。またシリンダ内壁は軽くホーニングを施してクロスハッチを付け足しています。両者ともに状態に問題はありません。ピストンリングは合口隙間が広くなってきていますので予防整備の意味も込めて新品に交換します。


IMG_4850 クラッチAssyです。スリッパークラッチではなくノーマルですが、バスケットが48歯のタイプに交換されており、プレートセットもそれに合わせたものに変更されています。クラッチドラムは旧タイプの総アルミ製で、そのために表側のワッシャーとの接触面がワッシャーの形状に摩耗して凹んでしまっています。現行のドラムはワッシャーの接触する部分にスチールが鋳込まれており、摩耗が最小限になるようになっています。なのでドラムは現行の部品に交換します。

IMG_4851 エンジン左側カバーです。交換部品は既に外されていて洗浄済みです。ウォーターポンプのシールはここを開けたら必ず交換したい部品の一つです。冷却水ホース用のユニオンはスチール製の部品がオリジナルですが、スチール製のオリジナルは非常に腐食しやすいので最近のモデルに使用されているアルミ製の部品に交換します。


IMG_4852 洗浄済みのクランクケースです。今回ベアリング類は交換せずに再使用します。






IMG_4853 クランクケースの後方気筒シリンダーベースにあるこの穴、これはオイルラインですが実際には何の役目も果たしておらず、エンジンが組み上がった状態に於いてはシリンダーの下面で蓋をされています。916等のモデルも同じ構造になっていましたが、916等の場合はここにオーリングが使用されていてオイル漏れが発生しないようになっています。しかし(私の記憶では)何故か2001年型のみ、いろいろな車種においてこの場所のオーリングが省かれてしまっているようです。その結果シーリングはベースガスケットに塗布した液体ガスケットのみに頼ることとなり、オイル漏れが頻発します。このオイルラインは他のオイルラインと全く同様の油圧が加わりますから、せいぜい幅が3mm程度の場所を液体ガスケットのみでシールするのは無理が有ったということです。


IMG_4855この穴はオイル漏れの原因となるのでこの機会に塞いでしまいました。穴にネジを切ってシール材を塗布したイモネジをねじ込みました。
 ちなみにこのオイルラインはこの手のエンジンを最初に設計した時点でヘッドへ行くオイルラインとして存在していたと思われます。851系のエンジンの中にはシリンダーの中にも続きのオイルラインが存在してそれがシリンダー側面の穴に繋がっていて、その穴を銅ガスケットを用いたボルトで蓋をしてあったモデルが有りました。当時はいろいろと試行錯誤があったと思われ、その名残ということでしょう。

  
Posted by cpiblog00738 at 08:40

2022年03月18日

748Sエンジンオーバーホールその1

IMG_4843 今回は街乗りエンジンのオーバーホールをご紹介します。車種は748S、結構レアです。正直に申し上げてこのエンジンは初めてです。ノーマル状態ではご覧のようにオイルクーラーも装着されていません。ある意味実用本位に徹した仕様とも言えます。オイルクーラーに関して言えば追加で取り付けは容易ですが。



IMG_4844 とりあえず分解しました。そこそこバラバラですがまだ中途半端な状態です。これから各部品をさらに分解洗浄、状態を確認し作業を進めていきます。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:41エンジン/メンテナンス

2022年03月15日

目指せFISCO1分45秒エンジン-3

IMG_4839 エンジンは無事に完成しました。赤色のブリーザーが目立ちますが、経験的にやはりこの手のエンジンには大口径の筒抜けブリーザーが効果が有ると思います。ただし対応する大容量キャッチタンクが必要になりますが。




無題 車体に載せて燃調のセッティングを行いました。マネージメントはM197です。以前の状態でのパワーチェックは行っていなかったので出力の比較は出来ませんが、増大した排気量分は確実に上乗せされています。10〜15馬力程度の出力アップという感じでしょうか。街乗りの場合は別としてサーキット走行の場合、特にホームコースと言えるようなトラックでは5馬力程度の上乗せで明らかにその違いが体感できます。シェイクダウンの結果が楽しみです。
  
Posted by cpiblog00738 at 15:43

2022年03月09日

目指せFISCO1分45秒エンジン-2

IMG_4832 これは作業中に発覚した部品の破損です。この部品はシフトコントロールアームで、左側が新品、右側が今迄使用していたものです。既存のものは先端のストッパー部分が折れてしまっています。そもそも今回入庫した直接のきっかけはシフト操作がうまく行かないと言う事でした。
 シフトペダルを上げたり下げたりのシフト操作を行うとこのアームがシフトドラムを回転させます。シフトドラムに存在している溝にはシフトフォークが嵌っていて、溝の形状に沿ってシフトフォークが動いてギアシフトが行われます。正しくギアシフトが行われるためにはシフトドラムが1速分づつ回転する必要があり、その役目を担っているのがこの折れてしまった部分です。シフトドラムが1速分回転したところでシフトドラムに設けてあるピンがストッパーに当たってシフトドラムがそれ以上回らないような構造になっています。
 ところがこの部分が折損してしまうとどうなるかというと、勢い良くシフトするとシフトドラムが1速分以上回転してしまうのです。例えば2速から3速にシフトアップした場合であれば、2速から3速を飛び越えていきなり4速に入ってしまったり、3速と4速の間でギアが空回りするような状態になったりします。シフトダウンにおいても同様なことが発生します。
 そもそもストッパー部分が折損するということは常に強い力でピンがストッパー部分に当たっている、つまりペダルを強く上げ下げしているということなので、ストッパーが無くなれば次のギアを飛び越えてしまうのは当然の結果です。しかしサーキット走行では確実なシフト操作が要求されるのでそのためにシフトペダルに強い入力をしてしまうのは致し方ありません。私の場合、何かの機会でエンジンを開けた時にこのストッパー部分にピンの当たった痕跡が強く残っているのを発見した場合は予防的にコントロールアームを交換させていただいています。画像の折れた部分を観察するとピンの当たっている部分が凹んでいるのが判りますね。


IMG_4833 だんだんエンジンが組み上がっていきます。







IMG_4834 ピストンとシリンダーを取り付けました。次はピストンとシリンダヘッドの隙間(スキッシュ)を測定してその値を調整します。目指すところは使用目的にもよりますが、1.0mm〜1.1mmにすることが殆どです。調整は厚み違いのシリンダベースガスケットを用いて行います。



IMG_4835 スキッシュを調整した後にシリンダヘッドを取り付けます。この次はバルブタイミングの計測と調整を行います。






IMG_4837 バルブタイミングの計測と調整を行っています。純正のSSTを使用した簡易的な方法もありますが、私の場合はあくまで原始的な方法で行っています。この作業に限ったことではありませんが、作業者が作業の目的とその目的を達成するプロセスを理解し、その全容を納得したうえで作業することが大切だと考えています。




  
Posted by cpiblog00738 at 09:15

目指せFISCO1分45秒エンジン-1

 富士スピードウェイで1分45秒のラップタイムを目指してエンジンの仕様変更を行っています。(運転手は私ではありません)何とかしてあと2秒タイムを詰めたいという訳です。ちなみに私も今年はFISCOでの走行の機会を増やそうと思っていますが、私の場合の目標はひとまず50秒切からです。

 IMG_4820で、まずはクランクシャフトです。純正のストリートバイク用チタンコンロッドと1098のノーマルピストンに合わせてバランスを取りました。






IMG_4821 クランクにチタンコンロッドを組み付けたところです。







IMG_4825 これはエンジンのパワーアップとは直接関係がありませんが、4速ギアのドッグの状態が芳しくないのでこのギアは交換しました。相手方のドッグのダメージはそんなに酷くなかったのでそれは再使用ということにしました。




IMG_4827 クランクケースに内部部品を仮組したところです。各部品のシム調整を行って部品の位置とケースとのクリアランスを調整します。






IMG_4830 ケースの左右を合わせて組み立てたところです。とりあえず今回はここまでです。





  
Posted by cpiblog00738 at 00:00エンジン/メンテナンス

2022年03月07日

996F00エンジン-7

 すいません、記事をはしょってしまいますがエンジンは完成して今迄のエンジンと載せ替えられ、既にレーストラックを走行しております。エンジンマネージメントの件ですが、既存のエンジン制御はマレリのP8ECU、それに対して996F00は本来マレリのMF3というフルコンで制御されていました。F00エンジンということで制御にMF3を持ち出すと手間とお金がかかって大変なことになるので、今回はそのままP8で行くことにしました。エンジンをかけるだけなら既存のP8ファイルに全く手を加えなくても全く問題無く、セルボタンを押してクランキングさせれば即エンジンが始動します。既存のエンジンの仕様は916Racing'97(996cc)で、F00エンジンも基本的には同じエンジンなので当然と言えば当然です。その状態からシャシダイに載せて燃調のセッティングを行いました。

無題a シャシダイ上で行ったパワーチェックのグラフです。赤線が既存のエンジン、青線が今回のエンジンです。単純にエンジンを載せ替えただけでエンジン単体以外は吸排気を始めとする何から何までが同じです。その差はまさにエンジンそのものの差ということになります。
 全く同じ排気量ながら明らかに出力は向上しています。数値的には大したことが無いように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、排気量そのままで出力を上げるのは大変なことなのです。ピークパワーで5馬力、ピーク以外も同様に上乗せされており、この差は凄いと思います。市販車とコルサの差ではなく、年式違いのコルサ同士を比較した差ですからね。主な違いはインテークカム、バルブ径、ピストンと燃焼室の形状、といったところですが、当時のコルサの仕様の変遷を見ていくと非常に興味深いところがあります。ちなみに排気量を上げれば出力を向上させることは簡単なんですけどね。経験上ですが排気量を5%大きくすれば出力もほぼ同様に5%上がります。
 同じ造りでこれだけの差が有るということは当然ながらその分何処かにしわ寄せが来ることになりますが、それはエンジンのライフということになるでしょう。趣味のレースですから大事に使って長持ちさせていただきたいと思います。

  
Posted by cpiblog00738 at 09:14