2018年03月22日
トルクレンチ
以前ブログで紹介したデジタルトルクレンチのお話です。その時は角度締めを行った時にかかったトルクが確認できるので非常に便利ですが、ボルトの伸びとその時のトルクを同時に管理できればもっと良い、と評価しました。
最近それが出来る方法を発見しました。(今更かよ、という人もいるかもしれませんけど。)トルクレンチの先にこのようなアダプタを取り付けます。このアダプタはセンター間が2インチ(50.8mm)です。そしてこのトルクレンチにはこうしたオフセットに対する補正の機構が存在するのです。頭良いですね。画像のマイクロメーターが指示している0.069という数字はこの状態でのコンロッドボルトの伸びを示しています。
トルクレンチの表示はこうなっています。OFFSET IN USE と表示されていますが、設定でオフセットは50.8mmと入力してあります。その下の表示は角度ではなくトルクで、この状態だと130Nmが目標値で、そのトルクがかかるとアラームが作動しますが、この使用方法の場合この数字は大きめに適当に設定してあります。
そこでマイクロメーターの数字を見ながら目標の伸びが得られるまでボルトを締め込んでいきます。例えば今回の目標値は0.155mmで、そこまで絞め込んだところでトルクレンチへの入力を緩めるとその時のトルクが表示されます。
今回はボルトが0.155mm伸びるところまで締め付けを行い、その時に要したトルクは88.9Nmだったということです。例えばメーカーが、ボルトの伸びが0.155±0.005mmでその時要したトルクは55〜95Nmの範囲にあること、と指定しているのであれば、今回の締め付けはその範囲内にあり適正であったと判断できます。
今迄は伸びもしくはトルクのどちらか片方しか管理できなかったのですが、これでコンロッドボルトの締め付けに関する管理は完璧ですね。
最近それが出来る方法を発見しました。(今更かよ、という人もいるかもしれませんけど。)トルクレンチの先にこのようなアダプタを取り付けます。このアダプタはセンター間が2インチ(50.8mm)です。そしてこのトルクレンチにはこうしたオフセットに対する補正の機構が存在するのです。頭良いですね。画像のマイクロメーターが指示している0.069という数字はこの状態でのコンロッドボルトの伸びを示しています。
トルクレンチの表示はこうなっています。OFFSET IN USE と表示されていますが、設定でオフセットは50.8mmと入力してあります。その下の表示は角度ではなくトルクで、この状態だと130Nmが目標値で、そのトルクがかかるとアラームが作動しますが、この使用方法の場合この数字は大きめに適当に設定してあります。
そこでマイクロメーターの数字を見ながら目標の伸びが得られるまでボルトを締め込んでいきます。例えば今回の目標値は0.155mmで、そこまで絞め込んだところでトルクレンチへの入力を緩めるとその時のトルクが表示されます。
今回はボルトが0.155mm伸びるところまで締め付けを行い、その時に要したトルクは88.9Nmだったということです。例えばメーカーが、ボルトの伸びが0.155±0.005mmでその時要したトルクは55〜95Nmの範囲にあること、と指定しているのであれば、今回の締め付けはその範囲内にあり適正であったと判断できます。
今迄は伸びもしくはトルクのどちらか片方しか管理できなかったのですが、これでコンロッドボルトの締め付けに関する管理は完璧ですね。
Posted by cpiblog00738 at
19:57
2018年03月18日
これですか・・・。
今日も絶好調だぜ!!とレーストラックを爆走中に突然のエンジンストール。持ち込まれたバイクを一見しても特に問題は無さそうで、セルを回すと異音もなく普通にクランキングします。そこでまずは電気関係を疑ってみます。プラグを換えればOKでしょう、と安易に考えていたのですが、全くダメ。そこでギアを入れて後輪を回してみたところ、片側気筒の圧縮がありません。
そこで改めてプラグホールの奥を注視してみると・・・・。明らかに普通じゃないですね。
ヘッドを外してみるとこんなになっていました。このパターンは何度か経験済みですが、要するにピストンの寿命だと私は認識しています。
このように燃焼ガスの圧力がピストントップ全体にかかるのですが、それを支えるのはピストンピンなので、1本の線で支えているようなものです。ピストンピンの位置を中心にピストンには曲げ応力がかかります。で、ピストンに寿命が来ると真ん中から折れてしまう、私はこのように認識しています。
特定銘柄の社外ピストンだからこうなるという訳ではなく、勿論他社の社外製品でもこうなった経験はありますし、純正ノーマルピストンでも同様なことを経験しています。要するに「使い切ったぜ!」ということなので、開け切った勲章みたいなものだと思ってください。
そこで改めてプラグホールの奥を注視してみると・・・・。明らかに普通じゃないですね。
ヘッドを外してみるとこんなになっていました。このパターンは何度か経験済みですが、要するにピストンの寿命だと私は認識しています。
このように燃焼ガスの圧力がピストントップ全体にかかるのですが、それを支えるのはピストンピンなので、1本の線で支えているようなものです。ピストンピンの位置を中心にピストンには曲げ応力がかかります。で、ピストンに寿命が来ると真ん中から折れてしまう、私はこのように認識しています。
特定銘柄の社外ピストンだからこうなるという訳ではなく、勿論他社の社外製品でもこうなった経験はありますし、純正ノーマルピストンでも同様なことを経験しています。要するに「使い切ったぜ!」ということなので、開け切った勲章みたいなものだと思ってください。
Posted by cpiblog00738 at
11:25
2018年03月13日
自分用競技車両
随分前にクランク、コンロッド、ピストン、という主要部品3点は用意できていたのですが、そのまま暫く放置状態が続いていました。2018年シーズンの開幕までに完成を間に合わせることが出来るかどうか自信が無かったのです。最悪の場合は去年までのバイクのままで行くしかないのですが、新しいエンジンは今までのエンジンの部品もかなり流用するので、作業を開始すると今まで使用していたエンジンもバラバラになります。つまり元の状態には戻れない、作業を開始した場合後戻りは出来ないということです。
しかし自身の年齢を考えるとのんびりしている余裕はありません。やるしかないです。ということで作業に着手しました。おかげでここ最近はこれにかなりの時間を費やすことになり、他の仕事が手に付きませんでした。
作業の様子を以下に紹介します。ちなみにベースエンジンは1098Rです。
クランクシャフトです。1098Rの部品ではなく普通の1098の部品ですからストロークは64.7mm。ヘビーウエイト入りのバランス取りが施されています。
コンロッドです。パンクル製の削り出しチタンコンロッド。61と62の数字はクランクピンとのメタルクリアランスで、それぞれ0.061mmと0.062mmということです。992や994といった数字は使用することになったハーフベアリングの厚さで、例えば992なら1.992mmということです。通常目にするノーマルのハーフベアリングの厚さは1.5mmですから、これらの2mmという厚みはかなり特殊です。昔のRSの部品です。クランクピンの直径は42mmで変わりありませんから、コンロッドのビッグエンドの内径が大きいということですね。それに伴いコンロッドボルト2本のピッチも若干広くなっています。
クランクにコンロッドを組んだところです。今この時点ではこれらの部品の組み合わせでエンジンが成立するのかどうか、まだ不確定要素があります。
とりあえずクランクケースの中にピストン、コンロッド、クランクを仮組してみて問題なく回転するかどうか確認していますが、やはり干渉する部分が存在しました。クランクケースとシリンダは1098Rの部品です。1098Rのクランクシャフトはウェブの径が若干小さいということですね。ここまで来たら後戻りは出来ないので今回はシリンダ側を削ってしまいます。次回、同仕様のエンジンを製作する機会があるとすれば、クランクのバランスをとる前にウェブの方を削ることになりますが。
クランクケースを組み立てる下準備が整いました。。使用するミッションはDP部品としても販売されていた1098RSのレーシングミッションです。従来のレーシングミッションとギア比は同一ですが各部に改良が施されています。ドッグの形状が変わっていますし、かなりの軽量化も施されています。
エンジン右側です。こちらはかなりノーマル然としています。
エンジン左側です。こちらはノーマルとはかなり眺めが異なります。Motecによってエンジンの制御を行いますからエンジンの回転信号とカムタイミングを別々のピックアップで拾うためにピックアップが2個必要で、その結果このようになります。
ヘッドの作業に取り掛かります。まずはバルブガイドをTFDオリジナルのベリ銅製に交換し、その後バルブシートをリフェースしています。手前のシートは加工前でオリジナル状態、右奥がリフェース中、左奥がリフェース終了した状態です。TFDの場合当たり幅はオリジナルより狭くしています。
ヘッドが完成し、組み立て前の状態です。ヘッドは1098Rの部品なので組み込むバルブは6mmステムのチタンバルブです。通常チタンバルブの場合はバルブフェースのリフェースはおろか、バルブシートとのすり合わせも厳禁とされています。その理由はそうした行為を行うとチタンバルに施されている硬質の酸化皮膜が削れて無くなってしまうからです。
しかし私の場合はレース仕様の場合に限り、バルブの状態に少しでも疑問があれば躊躇なくリフェースを施してしまいます。その場合バルブの酸化皮膜は当然ながら削り落とされてチタンの材質そのものが露出して直接バルブシートに当たるようになりますが、そんなことはお構いなしです。バルブとシートがちゃんと当たることこそが本来の目的です。
これをやってしまうとバルブスプリングを用いたエンジンではバルブフェースがバルブシートに激しく叩きつけられるようで硬質酸化被膜が無いバルブフェースは急速に摩耗が進むと聞きますが、私の経験上ドゥカティのデスモドロミックの場合はどうもそんなことは無いようで、オーバーホール時に確認しても大したダメージが見受けられないことが多いのです。例えば1999年以降ドゥカティの市販レーシングマシンにはチタンバルブが使用されていましたが、1999、2000、2001年型のチタンバルブには表面のコーティングがありませんでした。表面はチタンそのものです。それでも定期的なオーバーホールで状態を確認しながら継続使用していましたが特に問題が起こることは無く、チタンバルブといえども普通の感覚でハンドリング出来ていました。
ちょっと飛びますが、既にエンジンは大体組み上がりバルブタイミングの調整も済んでいます。カムはレースキット用のカムなので基本的にノーマルの1098R用とプロフィールは同一のはずですがノーマルとは指定されているバルブタイミングが若干異なります。簡単に言えばオーバーラップを大きくとるようなタイミングです。このエンジンはストロークも本来と異なるのでバルブリセスとバルブのクリアランスを確認しました。バルブリセスに粘土を付けてエンジンを組み、クランクを回転させてみるという原始的な方法です。黄色い粘土にバルブの跡が付いていますが、さすがに問題はありませんね。
1098Rのストロークダウン仕様なので当然ですが圧縮比も確認しています。燃焼室容量とピストン上面の容量を実測し、スキッシュの容量も含めて計算します。その結果圧縮比は13.5前後でした。予想よりもかなり高いです。通常単純にストロークダウンしただけだと圧縮比はかなり落ちますからね。ちなみにこのエンジンに1098Rのノーマルピストンを組んだと仮定して計算すると圧縮比は12.8となりました。また今回使用したピスタルのピストンをノーマル状態の1098R(1198cc)に組んだらどうなるかと計算してみたところ、その場合はなんと圧縮比は14.2です。
ただし実のところベースとして今回使用した中古の1098Rエンジンですが、既にヘッドの面研が施されていたであろうと私は認識しています。それは目視でのヘッド面の風合いと上記の圧縮比の件からそう思っています。
さて、エンジンが完成し、車体にも載った状態になったのでシャシダイを使用してマッピングに取り掛かります。ニューエンジンのマッピングをイチから始める場合、通常はまずエンジンが始動するまでに高いハードルがあります。初爆を得るまでが大変で、一旦エンジンがかかるようになってしまえば一安心なのです。特にドゥカティの場合はエンジンがかかりにくい状態でいろいろトライしているとスターターのワンウェイクラッチがすぐに壊れてしまいます。この件を当初からかなり不安に思っていたので、エンジンのかかりが良さそうなマップを製作したりして用意周到な状態でエンジンの始動にチャレンジしました。とりあえずは今迄使用していたマップを基に作業開始しましたが、幸運なことにあっけなくエンジンの始動に成功し、マッピングを順調にこなすことが出来ました。
シャシダイセッティングのグラフですが、3段あるうちの上段が馬力、中段が1番シリンダの空燃比、下段が2番シリンダの空燃比です。このグラフはこんなもんだろうという最初に作成したフューエルマップでの結果です。%の表示はスロットル開度です。もっとひどい結果になると予想していましたが意外とちゃんとしています。このままでも走れそうです。スロットル開度によっては馬力のグラフの線が鋸歯のようにギザギザしていますが、これはシャシダイが自動で負荷をかけたり抜いたりして回転上昇をコントロールしているためにこういった表示になります。当然ですが馬力を正しく表示していません。
何度かマップに修正を施した後に計測したグラフです。空燃比はかなり揃ってきています。
最後にスロットル全開のグラフです。去年まで使用していたエンジンと今回のエンジンの比較です。青線が去年まで使っていたエンジン、赤線が今回製作したエンジンです。表示されている馬力の数字が本当に正確かどうかはさておき、単純に言えることは去年のエンジンよりも最高出力が15馬力増えた、ということです。この後はとりあえず実走して詰めていくことになります。
ここで新たな不安が頭をもたげてきました。最新バイクと違ってトラクションコントロールややウイリーコントロールなんかは存在しない野獣のようなバイクです。果たして俺にちゃんと扱えるのだろうか?
しかし自身の年齢を考えるとのんびりしている余裕はありません。やるしかないです。ということで作業に着手しました。おかげでここ最近はこれにかなりの時間を費やすことになり、他の仕事が手に付きませんでした。
作業の様子を以下に紹介します。ちなみにベースエンジンは1098Rです。
クランクシャフトです。1098Rの部品ではなく普通の1098の部品ですからストロークは64.7mm。ヘビーウエイト入りのバランス取りが施されています。
コンロッドです。パンクル製の削り出しチタンコンロッド。61と62の数字はクランクピンとのメタルクリアランスで、それぞれ0.061mmと0.062mmということです。992や994といった数字は使用することになったハーフベアリングの厚さで、例えば992なら1.992mmということです。通常目にするノーマルのハーフベアリングの厚さは1.5mmですから、これらの2mmという厚みはかなり特殊です。昔のRSの部品です。クランクピンの直径は42mmで変わりありませんから、コンロッドのビッグエンドの内径が大きいということですね。それに伴いコンロッドボルト2本のピッチも若干広くなっています。
クランクにコンロッドを組んだところです。今この時点ではこれらの部品の組み合わせでエンジンが成立するのかどうか、まだ不確定要素があります。
とりあえずクランクケースの中にピストン、コンロッド、クランクを仮組してみて問題なく回転するかどうか確認していますが、やはり干渉する部分が存在しました。クランクケースとシリンダは1098Rの部品です。1098Rのクランクシャフトはウェブの径が若干小さいということですね。ここまで来たら後戻りは出来ないので今回はシリンダ側を削ってしまいます。次回、同仕様のエンジンを製作する機会があるとすれば、クランクのバランスをとる前にウェブの方を削ることになりますが。
クランクケースを組み立てる下準備が整いました。。使用するミッションはDP部品としても販売されていた1098RSのレーシングミッションです。従来のレーシングミッションとギア比は同一ですが各部に改良が施されています。ドッグの形状が変わっていますし、かなりの軽量化も施されています。
エンジン右側です。こちらはかなりノーマル然としています。
エンジン左側です。こちらはノーマルとはかなり眺めが異なります。Motecによってエンジンの制御を行いますからエンジンの回転信号とカムタイミングを別々のピックアップで拾うためにピックアップが2個必要で、その結果このようになります。
ヘッドの作業に取り掛かります。まずはバルブガイドをTFDオリジナルのベリ銅製に交換し、その後バルブシートをリフェースしています。手前のシートは加工前でオリジナル状態、右奥がリフェース中、左奥がリフェース終了した状態です。TFDの場合当たり幅はオリジナルより狭くしています。
ヘッドが完成し、組み立て前の状態です。ヘッドは1098Rの部品なので組み込むバルブは6mmステムのチタンバルブです。通常チタンバルブの場合はバルブフェースのリフェースはおろか、バルブシートとのすり合わせも厳禁とされています。その理由はそうした行為を行うとチタンバルに施されている硬質の酸化皮膜が削れて無くなってしまうからです。
しかし私の場合はレース仕様の場合に限り、バルブの状態に少しでも疑問があれば躊躇なくリフェースを施してしまいます。その場合バルブの酸化皮膜は当然ながら削り落とされてチタンの材質そのものが露出して直接バルブシートに当たるようになりますが、そんなことはお構いなしです。バルブとシートがちゃんと当たることこそが本来の目的です。
これをやってしまうとバルブスプリングを用いたエンジンではバルブフェースがバルブシートに激しく叩きつけられるようで硬質酸化被膜が無いバルブフェースは急速に摩耗が進むと聞きますが、私の経験上ドゥカティのデスモドロミックの場合はどうもそんなことは無いようで、オーバーホール時に確認しても大したダメージが見受けられないことが多いのです。例えば1999年以降ドゥカティの市販レーシングマシンにはチタンバルブが使用されていましたが、1999、2000、2001年型のチタンバルブには表面のコーティングがありませんでした。表面はチタンそのものです。それでも定期的なオーバーホールで状態を確認しながら継続使用していましたが特に問題が起こることは無く、チタンバルブといえども普通の感覚でハンドリング出来ていました。
ちょっと飛びますが、既にエンジンは大体組み上がりバルブタイミングの調整も済んでいます。カムはレースキット用のカムなので基本的にノーマルの1098R用とプロフィールは同一のはずですがノーマルとは指定されているバルブタイミングが若干異なります。簡単に言えばオーバーラップを大きくとるようなタイミングです。このエンジンはストロークも本来と異なるのでバルブリセスとバルブのクリアランスを確認しました。バルブリセスに粘土を付けてエンジンを組み、クランクを回転させてみるという原始的な方法です。黄色い粘土にバルブの跡が付いていますが、さすがに問題はありませんね。
1098Rのストロークダウン仕様なので当然ですが圧縮比も確認しています。燃焼室容量とピストン上面の容量を実測し、スキッシュの容量も含めて計算します。その結果圧縮比は13.5前後でした。予想よりもかなり高いです。通常単純にストロークダウンしただけだと圧縮比はかなり落ちますからね。ちなみにこのエンジンに1098Rのノーマルピストンを組んだと仮定して計算すると圧縮比は12.8となりました。また今回使用したピスタルのピストンをノーマル状態の1098R(1198cc)に組んだらどうなるかと計算してみたところ、その場合はなんと圧縮比は14.2です。
ただし実のところベースとして今回使用した中古の1098Rエンジンですが、既にヘッドの面研が施されていたであろうと私は認識しています。それは目視でのヘッド面の風合いと上記の圧縮比の件からそう思っています。
さて、エンジンが完成し、車体にも載った状態になったのでシャシダイを使用してマッピングに取り掛かります。ニューエンジンのマッピングをイチから始める場合、通常はまずエンジンが始動するまでに高いハードルがあります。初爆を得るまでが大変で、一旦エンジンがかかるようになってしまえば一安心なのです。特にドゥカティの場合はエンジンがかかりにくい状態でいろいろトライしているとスターターのワンウェイクラッチがすぐに壊れてしまいます。この件を当初からかなり不安に思っていたので、エンジンのかかりが良さそうなマップを製作したりして用意周到な状態でエンジンの始動にチャレンジしました。とりあえずは今迄使用していたマップを基に作業開始しましたが、幸運なことにあっけなくエンジンの始動に成功し、マッピングを順調にこなすことが出来ました。
シャシダイセッティングのグラフですが、3段あるうちの上段が馬力、中段が1番シリンダの空燃比、下段が2番シリンダの空燃比です。このグラフはこんなもんだろうという最初に作成したフューエルマップでの結果です。%の表示はスロットル開度です。もっとひどい結果になると予想していましたが意外とちゃんとしています。このままでも走れそうです。スロットル開度によっては馬力のグラフの線が鋸歯のようにギザギザしていますが、これはシャシダイが自動で負荷をかけたり抜いたりして回転上昇をコントロールしているためにこういった表示になります。当然ですが馬力を正しく表示していません。
何度かマップに修正を施した後に計測したグラフです。空燃比はかなり揃ってきています。
最後にスロットル全開のグラフです。去年まで使用していたエンジンと今回のエンジンの比較です。青線が去年まで使っていたエンジン、赤線が今回製作したエンジンです。表示されている馬力の数字が本当に正確かどうかはさておき、単純に言えることは去年のエンジンよりも最高出力が15馬力増えた、ということです。この後はとりあえず実走して詰めていくことになります。
ここで新たな不安が頭をもたげてきました。最新バイクと違ってトラクションコントロールややウイリーコントロールなんかは存在しない野獣のようなバイクです。果たして俺にちゃんと扱えるのだろうか?
Posted by cpiblog00738 at
16:23