2020年08月29日

こんなのは初めてです!

 先日筑波サーキットのスポーツ走行中に黒旗を振られ、急遽走行を中止してピットに戻るという事件がありました。黒旗というのは「お前のバイク何かヤバいことが起こってるぞ!」という事で、即走行中止です。ピットロードでオフィシャルが点検しましたが、原因がはっきりしません。そこでピットに戻ってカウルを外して点検すると、前側気筒のエキパイにオイルが垂れて燃えた痕跡があり、この時の煙のために黒旗が振られたようです。多少なりともオイル漏れをしていることは確かですが、それが何処なのか判断できない状況です。
 とりあえずバイクを持ち帰り、工場で原因を究明します。街乗りバイクならオイルを脱脂した後その辺を一回り乗りまわしてくればオイル漏れの場所が見つかります。しかし競技専用車両となると公道走行不可ですからその辺で乗り回すわけにもいかず、暖機運転だけでオイルが漏れてくればラッキーですが、なかなかそんな状況は有りません。
 そこでシャシダイの登場です。エンジンを脱脂した状態でシャシダイに載せ、エンジン始動してぶん回せば何処から漏れているか即判明します。で、やってみたところ、どうも漏れているのはセルモーター取り付け部のガスケットからのようです。そんなところからオイルが漏れた経験は今まで無いので、イマイチ腑に落ちません。
 とりあえずオイルを抜いてみます。ドレンボルトを取り外しましたが、出てくるオイルにまるで勢いが無く、まるでドレンの穴が詰まっているイメージです。これは穴の上に何かが居る、と判断して棒を突っ込んでそれをどけると、オイルは通常通り排出されるようになりました。

IMG_3050 で、ドレンの横のオイルサンプの蓋を開けてオイルパンの底を探ってみると、出て来たのはこいつです。セルモーター取り付けのボルトです。それも緩んで落ちたのではなく、折損しています。どういうこと???




IMG_3056 エンジン左側のカバーを開けて確認すると、折れた残りはセルモーターのネジ穴の中です。おまけにもう1本の取り付けボルトも緩んで脱落寸前です。セルモーター側に残っていたボルトの先端部分は特にカジっているわけではなく、針先でつつくとクルクル回って簡単に取り外すことが出来ました。



IMG_3058 緩んでいたもう1本の取り付けボルトです。よく見るとこちらも折損寸前!千切れかけて伸びたので緩んでしまったという事です。パンタエンジンがこの世に登場してから約40年、1198系迄セルモーターの取り付け方法は同じです。今迄こういったトラブルは皆無で、40年やっていて初めての経験です。ボルトは2本とも新品でした。そうすると考えられるのは新品で供給されたボルトが不良品だったという事でしょうか?このボルトは頭に10.9の刻印があるグレードで、強度区分としては上から2番目です。そこで今回はその上の最上位グレードである12.9の刻印があるボルトを使用して取り付け直しました。
 こんな訳のわからないトラブルを経験すると不安になりますね。経験を積めば積むほど、注意すべき事項がどんどん積み重なって増えていきます。


  

Posted by cpiblog00738 at 23:20

2020年08月25日

エンジンカバーのクラック

 自分のレース用バイクのメンテ中にエンジン左側カバーからのオイル漏れを発見しました。見つけたからにはそのままとはいかず、とりあえずカバーを外して確認することに。

IMG_3806 クラックチェッカーで確認作業をすると、こんな感じです。画像はカバー内部の眺めです。発電機のコイル取り付けのボス周りに明らかにクラックが発生していました。このまま放置して乗り続けるとクラックが一周してとんでもないことが起こるんでしょうね。
 仕方が無いので別のカバーを取り付けて修復しました。しかしちょっと不安は残ります。今迄の経験上この手のクラックが発生する場合、原因はクランクケースのクラックやクランクシャフト支持ベアリングのボール破損であることが少なからずあったからです。要するにクランクシャフトエンドの振れが許容範囲を超えた場合にこの部分が破損するという事です。今回カバーを外した際にケースのクラックとベアリングのボールの状態はしつこくチェックしましたし、クランクの先端の振れはダイアルゲージを用いてこちらもしつこくチェックしました。その結果とりあえずおかしなところは見つかりませんでした。実際にサーキットを何回か走行して問題が出なければ単純にケースカバーの寿命だったという事になりますが、是非そうであってほしいです。
  
Posted by cpiblog00738 at 23:06

2020年08月11日

ピックアップ

IMG_2987 916/996SPSやコルサ、RS等に使用されているピックアップが入荷しました。当時モノの新品、所謂NOS(NEW OLD STOCK) です。このピックアップ、なかなか丈夫で壊れたりすることは少ないのですが、やはり壊れる時はちゃんと壊れます。とっくの昔に廃番になっていますから、新品の入荷はある意味奇跡的です。部品番号は55210061A、当時の価格は約7万円と高額でしたが、今回の販売価格は¥28,000-(税別)です。
  
Posted by cpiblog00738 at 14:59

2020年08月02日

ステップ

IMG_2979 コルサタイプと呼ばれているステップキットが装着されたバイクですが、ステップバーがピカピカのツルツルです。こんな状態になるとステップが滑って危ないです。こうなってしまった場合、まずはステップの左右を入れ替えて対応します。そうするとフレッシュな面が上面に来て新品のフィーリングに戻ります。
 でもこのバイクの場合、すでに左右は入れ替え済みです。写真には写っていませんが、ステップの下側も同様な状態です。いったいどんだけ走ったの?ということになりますが、じゅうにまんkmです。今回はステップバーを根本から切り落としてバーのみを付け替えました。未だに順調に距離は伸びています。
  
Posted by cpiblog00738 at 20:23