
TFDでも販売している金属製のフューエルコネクタに発生するトラブルのお話です。純正のプラスチック製のコネクタは長年使用していると経年劣化でクラックが入ったり折れたりして燃料漏れのトラブルを起こします。そのため交換する場合は画像のような金属製のコネクタに交換する場合が多いと思います。
ところがこの部品を購入したまま使用していると、燃料の流路が詰まって燃料が流れなくなりエンジンストップ、始動困難、といったトラブルに見舞われる場合があります。その原因についてお話しします。

このコネクタを分解するとこうなります。矢印で示しているのが問題のオーリングです。この手のコネクタは相手側との結合を解くと自動的にバルブが閉じて流路をシャットアウトします。そのバルブの役目を担うオーリングです。

バルブからオーリングを取り外したところです。このオーリングの材質が問題です。どうも一般に流通しているこの類のコネクタに装着されているオーリングはガソリンの使用を前提としていないものが多いようです。このコネクタのラインナップの中にはガソリン使用に対応するオーリングを使用しているタイプも存在するのだとは思いますが、通常入手できるものの多くはガソリン使用に対応していないものが殆どという印象です。

そこでオーリングの耐ガソリン性について簡単にテストをして見ました。この3個のオーリングは上記のオーリングで、同じ規格の同じサイズです。つまり元々の大きさは全く同じものです。一番右のものはTFDが使用している材質がフッ素系のものの新品。中央はそれを一晩ガソリンに浸け置きしておいたもの。左は元々コネクタに装着されていたものを同じく一晩ガソリンに浸け置きしておいたもので、こちらの材質は不明です。一見して判りますが、左の最初からコネクタに装着されていたものは明らかに膨潤して一回り以上大きくなっています、それと比較してフッ素系材料のものはガソリンに浸け置きしても大きさの変化はありません。
このようにオーリングがガソリンで膨潤して大きくなってしまうため、燃料ポンプが起動して燃圧がかかるとその拍子にオーリングが溝から外れて本来の位置から移動してしまい、そのために燃料の流路を塞いでしまう、というのが事の顛末です。
この手のトラブルに悩んでいる人、心当たりのある人はとりあえずオーリングの交換を試してみてください。ちなみにオーリングを交換する場合、コネクタの分解の必要はありません。もちろんコネクタを単体にすることは必要ですが、相手側のコネクタを差し込んだ状態にしてコネクタの裏側(ネジがある側)から先を曲げた針のようなものでオーリングをひっかけて取り出せます。逆にオーリングを取り外さないとコネクタの分解は出来ません。
Posted by cpiblog00738 at
09:33