2021年04月12日
開けられた履歴があるエンジン
2018年の12月に「開けられたことのないエンジン」という記事をアップしましたが、今回は「開けられたことがあるエンジン」です。開けられた履歴が有って何かをやらかしちゃってるエンジンは雰囲気が怪しいので何となくわかります。そうしたエンジンの場合はそこかしこに罠が仕掛けてあるので、作業の際には特に注意が必要です。
以前に某ショップで腰上オーバーホールの履歴があるという情報はオーナーの方から聞いていましたが、オーバーホール直後にエンジンから異音が発生したりといろいろあったらしく、それを聞いて作業開始するにあたっては特に慎重を期する必要があると判断しました。
で、エンジンの分解を開始しましたが、腰上はシリコンガスケットがてんこ盛りです。ここまで塗りたくるんだったらオーリングは無しでも大丈夫ですね、(笑)という感じです。それはさておき、まず最初の問題はカムからタイミングベルトプーリーが外れない、抜けない、という問題です。固定ナットのみでなく、カムシャフトとプーリーの間もロックタイトで固められている模様です。それも4本ともでロックタイト648とかの超強力な永久固定用が使われています。
手の力ではどうしようもないので、結局温めた上でプレスを使って抜きました。そうしたらその部分はこんなになっていました。ロックタイト漬けになっていてキーがプーリー側に固定されてしまい、抜いた時にキーがネジ山を乗り越えてしまいました。痛んだネジ部はダイスで修正することになります。
ロックタイトのカスを取り除くとこんな感じです。キー溝が広がってしまっていますね。プーリー固定ナットを締めないでしばらく走行していたのでこんなことになってしまったのでしょう。事の経緯は今となっては不明ですが、だからと言って何もロックタイトでこんなに固めなくても.......。
それとカムシャフトのうちの1本ですが、山の頂上が平らになってしまっています。これはバルブとピストンが当たったためにこうなってしまったのですね。こんな状態のカムでも通常の走行では特に支障を感じることは無いと思われますが、やはり気持ちが悪いということでこのカムは交換します。
幸いピストン、バルブ、ロッカーアーム等にダメージは見受けられないので、これらの部品は既に交換済みであると思われます。
とりあえず今回はここまでですが、何とかベストな状態にエンジンが仕上がるように誠意努力中です。
Posted by cpiblog00738 at
10:14