2022年05月08日

エンジンブローその2

IMG_4967 シリンダーヘッドを外しました。こちらは後方気筒ですが、ピストンのバルブリセスの周辺にバルブが干渉した痕跡があります。スキッシュエリアもヘッドと接触しています。ピストンが回転して角度がずれてバルブと干渉し、それに加えてピストンが本来の位置よりも上がって来てしまったということですね。



IMG_4968 前方気筒です。やはりスキッシュエリアがヘッドと接触し、ピストンの角度はずれなかったようですがエキゾーストバルブがリセスの中でピストンと接触しています。




IMG_4970 前側のシリンダーとピストンを外して内部を覗いてみました。う〜ん、何かが思いっきり壊れていますね。






IMG_4972 後方気筒側から覗いてみました。壊れているのはクランクシャフトですね。割れているというか折れているというか、、、、。






IMG_4973 クランクケースを分解してクランクシャフトを取り出しました。こんなの初めて、という訳でもありませんが、何年かぶりに見ました。ごく稀にですがこんなことも起きます。
 この手のエンジンのクランクシャフトは基本的に非常に丈夫に出来ていて、例えば走行500kmごとに多種類の部品交換が指定されているコルサやRSに於いてもクランクシャフトは定期交換部品に指定されていませんでした。そんな部品がこのような状況に陥るということは製造時に何かの問題が発生していたのでしょうね。
  

Posted by cpiblog00738 at 08:46

2022年05月06日

エンジンブローその1

IMG_4962 筑波サーキット決勝レース中に発生したエンジンブローです。その瞬間までエンジンは快調に回っていました。発生した場所は裏直の中間あたりでしたが、ライダーはこの緊急事態に冷静かつ的確な判断で対応し、安全にそのままピットロードへ進入して惰性でピットまで戻ってきました。
 何かの原因でクランクシャフトが振れてエンジン左側カバーを破壊したと思われますが、いったい何が起ったのでしょうか?

IMG_4963 まずケースカバーを取り外しました。本来ケースカバー側に取り付けてある発電機のコイルがローターの中に残ったままです。ケバケバしているのは粉砕された発電機からのハーネスです。





IMG_4964 取り外したカバーです。発電機のハーネスは引きちぎられています。







IMG_4965 フライホイール側です。銅色の破片は削られた発電機コイルです。







IMG_4966 フライホイールその他のエンジン左側部品を取り外しました。中央のクランクシャフトを支持しているボールベアリングが壊れ、そのためにクランクシャフトが振れてこのような事態になったのでは、と分解前は予想していましたが、どうもそうではなさそうです。ベアリングは原形を保っています。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:27