2023年06月09日
エンジンオーバーホール中 その5
シリンダー、ピストン、シリンダーヘッドを仮組してスキッシュクリアランスの計測を行っています。クリアランスの調整はシリンダーベースガスケットの厚さで行います。厚みが異なるベースガスケットを用意できないと調整は不可能ということになりますが…。
スキッシュクリアランスの調整が終了した後エンジンを組み立て、次はバルブタイミングの計測と調整を行っています。一度バルタイをちゃんと合わせたエンジンは、全バラにして再び組み直してもバルタイがそんなに大きく狂うことは少ないです。
Posted by cpiblog00738 at
20:37
2023年06月08日
エンジンオーバーホール中 その4
途中をちょっとはしょりましたが、バルブです。バルブシートとのすり合わせと当たりの確認は済んでいます。バルブフェースの白っぽく見える場所が当たり面です。左のバルブは当たりの確認が済んだところ、右のバルブはその状態から当たり面の内側に30度の角度で研磨を施したものです。違いが分かりますか?バルブの当たりは可能な限りの外当たりにしてあります。バルブフェース面は45度ですが、実際に当たっている部分の内側に45度面が無駄に残っているのでその部分に30度の角度でカットを入れたということです。最近のエンジンでは最初からこの加工が施してある場合も目にすることが多いですね。
それと可能な限りの外当たりについてですが、当たり面の外側の際を実質的なバルブ径と考えると、そうする理由がお判りになると思います。もし当たり面がもっと内側にあったとすると、それは実質的にはバルブの小径化ということになってしまいますよね。
シリンダーヘッドの組み立て中です。このタイプのヘッドは設計が丁寧というか過剰品質の印象を受けます。このエンジンの次世代の1098系はこれの発展型ですが、このエンジンを使用して来て過剰品質と判断したところや無駄と判断したところが刷新されているように見えます。自分としてはこのタイプのヘッドは好きですね。
今回使用するピストンです。ピスタルレーシング製のハイコンプレッションピストンですが、今まで使用していたものと全く同じものの新品です。ピストンは寿命が来ると割れますから、今回はそれなりの走行距離だったために念のため新品に交換します。ちなみにピスタル製だから割れるという訳ではありません。純正ノーマルピストンでもサーキット走行を続けていると同じように割れます。
ピストンヘッドに記してある数字は重量です。0.1グラム単位まで揃っています。ピスタルレーシングの品質管理は非常に行き届いていると言って良いでしょう。おそらく重量の近いものを選別して2個セットにして出荷していると思われますが、メーカーとしての誠意、良心を感じます。
続きはまた後程です。
Posted by cpiblog00738 at
20:41
2023年06月07日
エンジンオーバーホール中 その3
更新が滞っていましたが続きです。
ミッションの点検中です。こちらはカウンターシャフト、スプロケットが付く方のシャフトです。サーキット走行が主となるとどうしても何かの拍子にガリガリとやってしまうのは避けられませんから、ドッグにダメージが見受けられるギアが見受けられます。今回はスペアの部品取り用ミッションが持ち込まれていますので、2個イチで良い状態のミッションを組み立てています。
こちらはミッションのメインシャフト、クラッチが付く方のシャフトです。ミッションには全部で6個のサークリップが使用されていますが、これらは全て新品に交換します。ツメが付いたグルーブワッシャーに関しては目視でダメージが見受けられるものを交換します。
クランクケースの内部部品を仮組しています。各部品の位置決めは両端に存在するシムによって決定されます。例えばクランクシャフトに関してはピストンがシリンダーのセンターに位置するように左右の位置決めを行います。シリンダーの位置は動かしようがないですから、クランクシャフトの位置を左右のシムを調整することで変化させて丁度良いところにするということです。
ミッション関係に関しては、ギアが入った時のドッグのかかりしろを調整するために左右のシムを調整します。6速あるギアの全てのドッグのかかりしろが同じようになるように調整します。このような目的で調整が終わると実走行でのシフトフィーリングは非常に良いものとなりますが、派手なシフトミスでシフトフォークを曲げてしまうと一発で台無しになってしまいます。自分にとっては砂上の楼閣のイメージがあります。
昔全日本をやっていた時の事に話はそれますが、当時は毎回レースの前にエンジンをオーバーホールして考えられる中で最高の状態にしてレースに持っていっていました。そしてレースから帰ってくると当然ながらエンジンや車体は例外なく消耗しています。それをまた最高の状態になるようにオーバーホールして次のレースに持っていきます。この繰り返しがレースです。当時の全日本は年間11戦とかでしたから、物凄いストレスです。一生懸命積み木を積んで、やっと積み終わったところでそれを崩され、また最初から積み直す、の繰り返し。ある意味拷問とも言えます。
こちらはエンジン左側です。タイミングギア、フライホイール等を組んでいきます。スターターのワンウェイクラッチは特に要チェックですね。せっかく組み上がったエンジンなのにエンジン始動時にワンウェイが滑って始動不良ではシャレにもなりません。
問うことで今回はここまで。続きはまた後程です。
Posted by cpiblog00738 at
09:06