2015年11月21日

先日のオイル漏れの続きです

先日オイル漏れの修理で後気筒の腰上をバラしてみたものの、はっきりした原因が見つからなかったエンジンの続報です。
オーナー様に一度バイクを引き取ってもらい、実際にサーキットを走行してオイル漏れの症状がいまだに存在するかどうかを確認してもらいました。
走行の目的はオイル漏れの有無を確認することで、もしオイル漏れが発生した場合は何処から漏れたのかを確認することが必要です。
走行開始後もしオイル漏れがあった場合は、ずっと走り続けてしまうと漏れたオイルの量が多くなり、走行の風圧でオイルがいろいろなところへ拡散してしまい、オイル漏れの場所が確認できなくなってしまいます。
そこで走行時はコースインしても1周ごとにピットインして、オイル漏れの確認をしていただくようにお願いしました。
オイルが漏れ始めたところを観察できるようにです。
で、その通りに走行してもらった結果、やはりオイル漏れは発生しました。
前回の修理では問題が発覚しなかったので、予想通りの結果ではありますが。
でも今回はオイル漏れの場所をある程度特定することが出来ました。

オイル漏れは左側のケースカバー周りからでした。
腰上ではなかったのですね。
漏れたオイルはそのうち風圧でエンジンの上に回って行き、ヘッド周りをオイルだらけにした後、リアシリンダ後側の窪みに溜まります。
だいたいオイル漏れを発見するのはこの状態になった時です。
どこから漏れているのしても、最終的にはだいたい同じような状況になります。

004で、ケースカバーのどこから漏っているのか、確認する作業を行いました。
ケースカバーを外して洗浄し観察しましたが、今回はかなり手強く目視ではなかなか見つけることが出来ません。
そこでスプレー式のクラックチェッカーを使用しました。
流石にクラックチェッカーと言うだけの事はあり、見事にクラックを見つけることが出来ました。


003クラック部分の拡大画像です。

 





005今回はなんとなくケースカバーの内側からチェックを開始しましたが、勿論 外側もクラックチェッカーに活躍してもらいました。
ちゃんとクラックが確認できます。





006拡大画像です。

今回のクラックは比較的珍しいケースです。
というのは、ケースカバーにクラックが入る場合はたいていケースカバーを外側から見て窪みの部分に発生することが多いのです。
今回は逆ですね。 内側から見ての窪み部分、外側から見ると出っ張りの部分に発生しています。

今回の修理は部品交換ではなく、クラックの部分をエポキシ系樹脂で覆うことで対応します。
エポキシで 大丈夫なのか?という疑問を持つ方も沢山いらっしゃると思いますが、大丈夫なエポキシを使います。
エポキシにもいろいろありまして、今回のようなケースで使用するのは2液性で硬化しても有る程度柔軟性を持ったままになるものです。
デスモクアトロの時代のエンジンカバーはレースで使用すると頻繁にクラックが入りましたが、いちいち部品交換しているとお金がかかってしょうがないので当時思いついた苦肉の策です。 
90年代に全日本のレースに参戦している時にこのエポキシで修理したケースカバーが、自分のエンジンやお客さんのエンジンに現在でも何の問題もなく使われています。 
少なくとも15年以上は経過しているのに!
ちなみに今でもそのケースカバーのエポキシ部分を爪で押すと、爪の痕が大きく残るほどの柔軟性を保っています。
そのために振動や熱歪みにも耐えるのですね。
そのような実績があるので、この修理方法にはかなりの自信を持っています。
それにこのケースカバー、さっき価格を調べたら税込で約10万円しますしね。
 

Posted by cpiblog00738 at 21:02