2015年12月17日

スパークプラグの締め方

今回はスパークプラグの締め付けについてです。
昔からよく言われていることがあります。
「プラグは強く締めてはいけない。手でキュっと締めるくらいが丁度良いんだ!」
そこでプラグを締める時にそんな感じで弱く締めると、それを見ていたベテラン?の人が言います。
「おっ、プラグの締め方を知ってるね!」

はい、以上ははっきり言って大間違いですね。(少なくとも現代においては)
ただの都市伝説?です。
こんな締め方で乗っていて、プラグが緩んでヘッドから飛び出した例を私はいくつか見ています。
プラグがちょっと緩んだ状態になるとプラグとヘッドのネジ山に隙間が出来て微小ながらカタカタ動くようになります。
エンジンが5,000rpmで回っていれば、1分間に5,000回カタカタするわけです。
これが長期間続くと、アルミ製のヘッドのネジ山が少しずつ減って行きます。
そのうちそれがどうなるかというと、最後はネジ山が無くなってプラグがヘッドから飛び出すということになります。
こうなってしまったらヘッドのネジ山が無くなっているのですから、再びプラグを取り付けて締め付けたところでトルクはかかりません。
プラグは空回りをするだけです。
唯一の修正方法はヘリサートの挿入くらいでしょうか?

プラグは指定トルクを守って正しく締めつけてください。

002一昔前のプラグのパッケージにははっきりと締め付け方法が記されていました。
ちゃんと締め付けるようにと回転角度で指定しています。
ただしこれは新品の場合の締め方で、再使用の場合の指定が無いのは落ち度です。





007締め付けの回転角度の意味することは、プラグを締めつける時はちゃんと付属の座金が変形して潰れることが必要だということです。
画像は左が新品、右がそれを指定トルク(12Nm)で締めた後に取り外したものです。
座金がちゃんと潰れているのがよく解ると思います。
この状態になるまで締め付けることで本来の働きをするように設計されています。



一度締めつけた履歴のあるプラグを再使用する時は、既に座金は潰れているので、新品の時と同じトルクで締めても回転する角度が極端に少なくなります。
例えば上の画像の昔のパッケージに書いてある方法を使用履歴があるプラグで行うのは当然ながらNGです。
そんなに締めたらやはりネジ山が壊れます。
そんなことをする人がいたもので、パッケージのあの表示は誤解を招かぬように現在無くなっているのだと思います。

繰り返しますが、プラグは指定トルクを守って締め付けてください。
ドゥカティの場合は、ネジ径12mmの場合は20Nm、10mmの場合は12Nmです。
(一部のマニュアルに10mmの場合は15Nmとなっている場合もありますが、私は12Nmを推奨します)


 

Posted by cpiblog00738 at 18:01