2017年08月06日

暖機中にギアが入って・・・。

 エンジンを暖機するために空ぶかしをしていたら突然ギアが入って後輪が空転し、タイヤウォーマーがちぎれ飛ぶ、という光景をサーキットでたまに目にすることがあります。状況によってはチェーンが部分的に伸びてしまったり、酷い時にはスプロケットシャフトまでもが曲がってしまうことさえあります。何故そんなことが起きるのでしょうか?
 勿論暖機中にシフトレバーを何かのはずみで押したりしてしまったとすればそれは論外ですが、そうでない場合の原因はギアが本来のニュートラルではなく、俗に言うハーフニュートラル、というような状態にあるからです。

IMG_2823 ギアシフトはシフトドラムという部品が回転することによってシフトフォークが動作して行われます。例えばこの状態は2速に入った状態です。ドラムの端は画像のような形状になっていて、ローラーがアームによって窪み部分に押し付けられる構造になっており、ドラムがむやみに回転しないようになっています。ドラムが回転して次の窪みがローラーのところにやって来れば、次のギアにシフトされたということになります。窪みと窪みの中間の山の部分にはそれぞれギアがかみ合っていないニュートラルになるところがあります。

IMG_2822 この状態が1速と2速の間にある「ホンモノ」のニュートラルです。ドラムの山はここだけ平らになってローラーが落ち着きやすいようになっています。





IMG_2825 「ホンモノ」のニュートラルの時は、それに加えてドラムの反対側ではこのようにドラムの窪みにスチールのボールがスプリングの力で押し付けられる構造になっています。要するにドラムのニュートラルの位置はしっかり固定されてドラムがむやみに回ったりしないようになっているということです。



IMG_2824 それで例えばこの状態ですが、これは2速と3速の中間のニュートラルになっている状態です。俗にハーフニュートラルとかと呼ばれたりします。確かにこの状態ではギアは全くかみ合っていませんからニュートラルと言えばニュートラルですが、押し付けられているローラーの位置はドラムの山の頂点ですから何かの拍子にドラムがちょっと回ってローラーが窪みの部分に移動しやすいことは理解しやすいと思います。そしてローラーが窪みの部分に来るということはギアが入った状態になるということです。
 つまりこのようなハーフニュートラルと呼ばれる状態で暖機運転をしていると、エンジンの振動等の要因でドラムがちょっと回転してギアが入ってしまうということが非常に起こりやすいと言えます。
 という訳で、暖機する前にギアが「ホンモノ」のニュートラルの位置になっているかどうかを必ず確認することで、この事故は防止することが出来ます。




Posted by cpiblog00738 at 01:14