2019年07月03日

916SPS 1997

IMG_3526 1997年型916SPSです。TFDの倉庫に長い間(10年以上)眠っていました。走行距離は実走行で2,000km未満です。長期間TFDに仕舞い込んであったとは言え、元々は何処かからか縁あってやってきたバイクで私が携わっていたバイクではありません。走行距離が少ないとはいえ、TFDに来るまでにどこの誰に何をされているかわかりませんし、年代物なのは確かなのでレストア作業に着手しました。ちなみにこのバイクの行き先は既に決まっていますので悪しからず。
 1997年型は996になった最初のモデルです。この年式はまだチタンコンロッドは採用されておらず、コンロッドはPANKL製の削り出しH断面スチールコンロッドが使われています。チタンコンロッドが採用されるのは翌1998年型からです。チタンコンロッドではない代わりにと言っては何ですが、97年型のクランクにはヘビーウェイトが打ち込まれた状態でバランス取りされています。コルサやRSのクランクには普通にヘビーウェイトは使われていますが、市販街乗りバイクでこの916SPS1997以外にヘビーウェイト入りのクランクが使われているのは私の記憶では888SPS、888SP5、748R2002、それと1098R、1198Rくらいではないでしょうか。(他にもあったかもしれませんが今は思い出せません。それとパニガーレ以降は私は門外漢で知識がないため除きます)
 1996年の全日本のレースシーズンが終わった頃にドゥカティコルセから来年のコルサは996ccになるというインフォメーションが来ました。レースレギュレーションではスーパーバイクのホモロゲモデルも同じ排気量であることが求められるので、来年は996の街乗り市販車が出るんだ、とピンときて、すぐに当時の輸入元の村山モータースに97年に出る996のバイクを注文した思い出が有ります。その時はまだ発表も何もされておらず、輸入元の人も半信半疑だったのですけれどね。購入したTFDのそのバイクはまず最初にエンジンを組みなおし(と言ってもチューニングはせずにノーマル状態のままでちゃんと組みなおしたというレベルです)、そして黄色く塗られて当時のバイク雑誌にたびたび登場したので記憶にある方も多いかもしれません。
 当時某雑誌でゼロヨン&最高速という有名な連載記事があって、そのバイクでFISCOで行われた最高速チャレンジに出場した覚えがあります。その時にFISCOのストレートで記録した最高速は270km/hだった記憶が有ります。メーター読みではなく光電管もしくはスピードガンによる計測だったので実速です。今のレベルで考えてもなかなか立派な記録だと思います。

IMG_1166 作業していて今更ながらに感心するのは、例えばこのインテークポートの仕上げです。ガイドは新品に交換してありますがそれ以外はドノーマル。工場出荷時のままです。中央の仕切りは鋭利な刃物状態で下手をすると手が切れます。何かの拍子に虫とかが吸い込まれたりしたら虫の体が真っ二つになりそうです。常識では考えられませんよね、この仕上げ。デスモクアトロ系のエンジンのポートはおしなべてこんな感じになっていますが、特にこの97年型SPSは気合が入っているように感じます。

IMG_1168 こちらはエキゾーストポート。同様にガイドは新品になっていますがその他は工場出荷時のままです。エキゾーストポートなんてちょっと走ればカーボンが付着して真っ黒になってしまうのに・・・・。




IMG_1170 こちらはヘッドのロッカーピンを塞ぐ蓋で、ドゥカティがセントラルカバーと呼んでいる部品です。ガスケットではなくオーリングでシールしています。916レーシング95からコルサにはもれなくこの部品が使われていて私的には見慣れた部品だったのですが、市販街乗りバイクでこの部品が使われたのはこの916SPS97のみです。今後ここは全部のモデルでオーリング式になるんだろうなあと当時思った記憶が有りますが、なぜか街乗りバイクで採用されたのはこのバイクだけでそれ以降は普通のガスケット仕様のままでした。

 まあポートがどうとか、なんだかんだ言っても結局馬力が出てる方が偉いでしょ!という言い分もありますが(特に最近世の中がこのような風潮になってきている気がします)、これは趣味の世界の話ですから。趣味の世界は結局自己満足に帰結すると私は考えます。これを仕事にしている私でさえ、普段はエンジンの奥に有って見えない部分をエンジンを開けたときに目の当たりにして、改めて凄いと思ったり感心したり良いなと思ったりすることは多いです。

 続きはまた後で。
 

Posted by cpiblog00738 at 19:46