筑波TTのレースまでそんなに時間が無いのでせっせとエンジンを修復しています。時間的なことと費用的なことを考えて、部品はTFDに在るもので何とかします。ということでクランク、コンロッド、ピストンは1098Rのノーマル部品になりました。要するに1098Rのノーマルエンジンになるということです。

クランクシャフトです。ノーマル部品としては歴代ドゥカティのストリートバイクの中でダントツに過激でお金がかかっているクランクでしょう。

コンロッドは削りではなく型物のチタンコンロッドですが、通常のタイプよりも2点間がちょっと短いです。1198系はロングストロークなので各部の寸法合わせのしわ寄せがコンロッドの長さということになっています。数的に希少なのでなかなか中古部品として市場に出回りません。

クランクとコンロッドのAssyです。

こちらはシリンダヘッドです。メンテナンス作業をしていつも思うのですが、チタンバルブのヘッドはバルブ周りのダメージが少ないです。バルブの大きさが半端ではないのでバルブの重量によって動弁系の負担にかなり差があるようです。

話は飛びますが、エンジンは出来上がって車体に搭載され、現在燃調のセッティング中です。今の季節だとベンチ室の中の気温は30度を超えますから冷却が厳しいです。夏場でなければ車載のラジエーターに送風ファンの風を当てれば特に問題は起きませんが、今の季節だとそうはいきません。
で、写真を見るとラジエーターが装着してありません。

どうなっているかというと、冷却水は外部からの供給です。ベンチ室の外の地中にある水タンクからベンチ室内のタンクにポンプで水を循環させ、その水をエンジン冷却に使用しています。地中の温度というのは安定しているようで、今の季節だと供給される水は冷たく感じます。夏に井戸水が冷たく感じられるのと一緒でしょうか?

勿論水温はサーモスタットで管理しています。使用しているのはドゥカティ純正の部品です。このシステムの恩恵で長時間エンジンを回し続けても水温は非常に安定しています。今回のセッティング中でも水温は71±2度の範囲から外れることは皆無でした。ちなみにベンチ室内の気温は32度です。