2022年02月05日

996F00エンジン-2

 こういったレース専用エンジンの場合、セルフスターターは最初から装着されていません。エンジンスタートは押し掛けもしくはリアホイールスターターを使用するのが前提です。そのためにこのクランクにはストリートバイクのクランクシャフトにはもれなく存在しているセルフスターター用ワンウェイクラッチを潤滑するためのオイル通路がありません。今回このエンジンはセルフスターターを取り付けて使用するのでオイル通路を設ける加工が必要となります。

IMG_4752 半月型キー溝の横に開けた穴が今回追加加工したオイル通路です。クランクシャフトのような硬い部品に穴を開けるのはなかなか骨が折れます。画像で見える穴の直径はφ2.5mmですがその径で空いているのは途中までで、穴の奥の穴はφ0.8mmの穴になっています。そのようにオイルの流量を規制しているということです。超硬のドリルで深さ8mm程度まで穴を開け、その先の残り2mmに0.8mmの穴を貫通させる作業はとてつもなく緊張します。失敗してドリルの歯を折ってしまったりしたらエライ事になりますからね。幸いなことに今迄かなりの数をこなしてきましたが、今のところ失敗は皆無ではあります。

 IMG_4753メタル合わせを行った後にクランクにコンロッドを組み付けたところです。このコンロッドは使用するメタルの厚さが一般のストリートバイクと異なります。ストリートバイクに使われているメタルの厚さは呼びで1.5mmなのですが、このコンロッドに使用されているメタルの厚さは呼びで2.0mmです。クランクピンの直径はストリートバイクと同じくφ42mmなので、何が違うかというとコンロッド大端の直径です。実際に使用してみると良く判りますが、過酷な使用状況下では2.0mmのメタルの方が明らかにストレスに対して余裕が有るように感じられます。



Posted by cpiblog00738 at 22:58