2022年03月09日

目指せFISCO1分45秒エンジン-2

IMG_4832 これは作業中に発覚した部品の破損です。この部品はシフトコントロールアームで、左側が新品、右側が今迄使用していたものです。既存のものは先端のストッパー部分が折れてしまっています。そもそも今回入庫した直接のきっかけはシフト操作がうまく行かないと言う事でした。
 シフトペダルを上げたり下げたりのシフト操作を行うとこのアームがシフトドラムを回転させます。シフトドラムに存在している溝にはシフトフォークが嵌っていて、溝の形状に沿ってシフトフォークが動いてギアシフトが行われます。正しくギアシフトが行われるためにはシフトドラムが1速分づつ回転する必要があり、その役目を担っているのがこの折れてしまった部分です。シフトドラムが1速分回転したところでシフトドラムに設けてあるピンがストッパーに当たってシフトドラムがそれ以上回らないような構造になっています。
 ところがこの部分が折損してしまうとどうなるかというと、勢い良くシフトするとシフトドラムが1速分以上回転してしまうのです。例えば2速から3速にシフトアップした場合であれば、2速から3速を飛び越えていきなり4速に入ってしまったり、3速と4速の間でギアが空回りするような状態になったりします。シフトダウンにおいても同様なことが発生します。
 そもそもストッパー部分が折損するということは常に強い力でピンがストッパー部分に当たっている、つまりペダルを強く上げ下げしているということなので、ストッパーが無くなれば次のギアを飛び越えてしまうのは当然の結果です。しかしサーキット走行では確実なシフト操作が要求されるのでそのためにシフトペダルに強い入力をしてしまうのは致し方ありません。私の場合、何かの機会でエンジンを開けた時にこのストッパー部分にピンの当たった痕跡が強く残っているのを発見した場合は予防的にコントロールアームを交換させていただいています。画像の折れた部分を観察するとピンの当たっている部分が凹んでいるのが判りますね。


IMG_4833 だんだんエンジンが組み上がっていきます。







IMG_4834 ピストンとシリンダーを取り付けました。次はピストンとシリンダヘッドの隙間(スキッシュ)を測定してその値を調整します。目指すところは使用目的にもよりますが、1.0mm〜1.1mmにすることが殆どです。調整は厚み違いのシリンダベースガスケットを用いて行います。



IMG_4835 スキッシュを調整した後にシリンダヘッドを取り付けます。この次はバルブタイミングの計測と調整を行います。






IMG_4837 バルブタイミングの計測と調整を行っています。純正のSSTを使用した簡易的な方法もありますが、私の場合はあくまで原始的な方法で行っています。この作業に限ったことではありませんが、作業者が作業の目的とその目的を達成するプロセスを理解し、その全容を納得したうえで作業することが大切だと考えています。






Posted by cpiblog00738 at 09:15