2022年04月03日

748Sエンジンオーバーホールその5

IMG_4912 エンジン腰下がひと段落したのでシリンダーヘッドの作業を開始しました。カーボンを落として綺麗にしたところですが、ヘッド面の腐食が気になります。腐食している部分から鑑みると冷却水による腐食と思われますが、はっきりとした原因は不明です。腐食が発生していない個体も見受けられますから、クーラントとのマッチングの問題なのでしょうか?


IMG_4913 ヘッド面を研磨しました。機械加工ではなく手作業で、定盤上でのすり合わせです。機械加工でも良いと思いますが、研磨の取り代が大きくなることと機械をセットする手間を考えると摺合わせが妥当な場合が多いです。すり合わせでは取り切れない深度の腐食であれば機械加工で対処するしかありませんが。  
 まだちょっと腐食跡が散見されますが、機能的と精神衛生的に問題無い範囲なので深追いはしません。


IMG_4914 シリンダーヘッド内部部品です。カムシャフト支持はプーリー側がボールベアリングで反対側がローラーベアリングです。プーリー側のボールベアリングとオイルシールは交換しますが、反対側のローラーベアリングとオイルシールは再使用します。主な理由は部品の価格で、ベアリングとオイルシールで1セット¥7,000-位します。オイルシールだけでも交換したいところですが、オイルシールを取り出すためにはベアリングを取り外す必要があり、その場合はベアリングの内輪にプーラーをかけて引き抜くのでベアリングの再使用は避けたいです。すると必然的にベアリングとオイルシールの両方を交換することになります。経験的にこの部分は非常に余裕を持った造りなので問題が起こる可能性は非常に低いです。逆にプーリー側はベルトのテンションがかかるのでストレスが大きいです。それとロッカーアームのメッキの剥離は要チェックです。この個体の場合でも数本発覚しています。こればっかりは交換で対応するしかありません。


IMG_4915 バルブガイドを取り外しました。バルブガイドを取り外す場合、TFDではガイドを燃焼室側に抜いて取り外す場合が多いです。その理由は特にエキゾーストガイドに関してですが、カーボンが強固に固着したガイドをカムシャフト側に抜くとカーボンが固着した部分がガイド穴を通り抜けるのでガイド穴の内壁にキズが付く可能性が高いからです。


IMG_4916 インテーク側です。







IMG_4917 エキゾースト側です。







IMG_4918 こちらはバルブです。カーボンを落として磨いた状態です。一見綺麗です。







IMG_4919 しかしよく観察するとバルブシートと接触するバルブフェース部分の状態は芳しくありません。この個体の状態が特に悪いという訳ではなく、ある程度以上の距離を走行したエンジンとしては平均的な状態です。




IMG_4921 こちらはエキゾーストバルブで、バルブフェースの荒れというか凹みはカーボン等の異物を噛みこんだためと考えられていますが、インテークバルブの方も程度の差こそあれ同じような状態なので噛みこむのはカーボンだけとは限らないようです。



IMG_4924 バルブフェースをリフェースしました。作業の前後を比較するとその差が歴然です。




Posted by cpiblog00738 at 09:17