更新が滞っていましたが続きです。

ミッションの点検中です。こちらはカウンターシャフト、スプロケットが付く方のシャフトです。サーキット走行が主となるとどうしても何かの拍子にガリガリとやってしまうのは避けられませんから、ドッグにダメージが見受けられるギアが見受けられます。今回はスペアの部品取り用ミッションが持ち込まれていますので、2個イチで良い状態のミッションを組み立てています。

こちらはミッションのメインシャフト、クラッチが付く方のシャフトです。ミッションには全部で6個のサークリップが使用されていますが、これらは全て新品に交換します。ツメが付いたグルーブワッシャーに関しては目視でダメージが見受けられるものを交換します。

クランクケースの内部部品を仮組しています。各部品の位置決めは両端に存在するシムによって決定されます。例えばクランクシャフトに関してはピストンがシリンダーのセンターに位置するように左右の位置決めを行います。シリンダーの位置は動かしようがないですから、クランクシャフトの位置を左右のシムを調整することで変化させて丁度良いところにするということです。
ミッション関係に関しては、ギアが入った時のドッグのかかりしろを調整するために左右のシムを調整します。6速あるギアの全てのドッグのかかりしろが同じようになるように調整します。このような目的で調整が終わると実走行でのシフトフィーリングは非常に良いものとなりますが、派手なシフトミスでシフトフォークを曲げてしまうと一発で台無しになってしまいます。自分にとっては砂上の楼閣のイメージがあります。
昔全日本をやっていた時の事に話はそれますが、当時は毎回レースの前にエンジンをオーバーホールして考えられる中で最高の状態にしてレースに持っていっていました。そしてレースから帰ってくると当然ながらエンジンや車体は例外なく消耗しています。それをまた最高の状態になるようにオーバーホールして次のレースに持っていきます。この繰り返しがレースです。当時の全日本は年間11戦とかでしたから、物凄いストレスです。一生懸命積み木を積んで、やっと積み終わったところでそれを崩され、また最初から積み直す、の繰り返し。ある意味拷問とも言えます。

さて、シム調整が終わってクランクケースの左右を合わせて組み立てました。エンジン右側の1次減速、オイルポンプ等を取り付けています。

こちらはエンジン左側です。タイミングギア、フライホイール等を組んでいきます。スターターのワンウェイクラッチは特に要チェックですね。せっかく組み上がったエンジンなのにエンジン始動時にワンウェイが滑って始動不良ではシャレにもなりません。

セルモーターも毎回必ず分解して内部の状態を確認します。コミュテーターは必ず磨いて綺麗にしますし、ブラシは必要があると判断すれば交換です。
問うことで今回はここまで。続きはまた後程です。