2023年08月05日

DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その7

IMG_1177IMG_1179 今回バルブは新品に交換します。インテークバルブは1994〜1998年型のコルサと、エキゾーストバルブは1993〜1999年型のコルサと共通部品です。材質は耐熱性に優れたナイモニック合金製。ステムエンドにC.MENONの刻印があります。当時この刻印はホンモノの証として認識されていました。このバルブは高価だったので社外品のバルブに交換されている場合も多く見受けられたのです。

 最初からバフ掛けされていて非常に綺麗な仕上がりになっています。ただし誠に失礼ではありますが、バルブの芯が出ているのかの確認のために使用前にバルブリフェーサーでリフェースを行いました。このバルブに限らず、経験上ですが新品バルブといっても中には振れが出ているものが存在するからです。

IMG_1180 バルブのステム径に合わせてバルブガイドの内径をリーマで仕上げています。TFDで製作するすべてのガイドは穴径をステム径よりも小さく仕上げてあるため、そのままではバルブステムが通りません。使用する個々のバルブのステム径に合わせてガイドの穴径を仕上げます。TFDで使用しているベリリウム銅合金製のガイドとこのバルブの組み合わせの場合、通すリーマの径を0.01mmずつ大きくしていって、実際に使用するバルブのステムが通るようになったところでOKとしています。ということは言い方を変えればクリアランスは0.01mmということになるでしょうか。感覚的にはちょっと狭すぎる印象を与えるかもしれませんが、実際問題としてはこの方法が適しているようです。おそらくベリリウム銅合金とバルブ材質の相性が良いのだと思いますが、焼き付きや抱き付きの発生は今迄皆無です。次回のオーバーホール時にクリアランスをチェックしても状態は良好で、その後何度かのエンジンオーバーホール歴を経てもガイドの交換が必要になるケースは非常に稀です。

 そのくらいクリアランスをきっちり取っていますので、バルブステム径のばらつきによってバルブを他の位置に組んであるものと入れ替えるとクリアランスが狭すぎて組めなくなる場合もあります。

 また、ガイドの内径をわざわざリーマで0.01mmずつ拡大することについてのもう一つのメリットがあります。それはガイド穴の内径を入り口から出口まで均一に揃えることが出来るということです。ガイドはヘッドの中に圧入されていますが、圧入されている部分は圧縮されています。その結果圧入部分の内径が0.01mm程度小さくなっています。ガイドには圧入で圧縮されていない部分も有ります。それは外部から見えている部分ですね。この部分の寸法は変化しませんから、解りやすく表現するとガイドの穴の中には段差が出来ていて製作時のままの内径の部分と0.01mm細くなった部分があることになります。この不均衡を、リーマを通すことによって均一にしたいという訳です。

IMG_1186 バルブシートをリフェース中です。バルブガイドを交換した場合は必須です。何故なら新たに装着したガイドの角度は以前とは少なからず異なるからです。そのためそのままではバルブフェースとバルブシートは正しく当たりません。
 
 左側のシートはシートリフェース終了後バルブとのすり合わせを行って、バルブフェースとシートの当たり具合が良好であることを確認済みです。

IMG_1187IMG_1192 バルブシートのリフェース、バルブフェースとシートの擦り合わせを終えた状態です。この状態からシリンダーヘッドの組み立てを開始します。



IMG_1198IMG_1201 インテークとエキゾーストポートからの眺めです。



Posted by cpiblog00738 at 23:14