
これが何だかお判りになりますか?これはセルモーター取り付け部分の穴をふさぐ蓋です。純正の新品部品ですが、何とカーボンの板で出来ています。
このエンジンは様々な専用部品で構成されているのですが、セルモーターの取り付け部が残されているということはやはり公道仕様の開発も少なからず視野に入っていたと考えられます。純粋にレース用バイクとして開発されたのであれば、セルモーターは不要ということでクランクケースにセルモーターの取り付け部分は存在しなかったと思います。

さて、ちょうど916SPS(996cc)のエンジンがバラバラになっていたので、いろいろな部品を比較してみたいと思います。
これは1次減速のクランクシャフトに取り付けられている方のギアです。ギアの厚さが996の3分の2くらいですね。スーパーモノ専用部品です。

こちらは1次減速のクラッチ側、上記のギアの相手側のギアです。こちらもギアの厚さがかなり薄く作られています。レーシングエンジンなので当然ながら軽量穴も開いています。

タイミングシャフト側のタイミングギアです。こちらも同様でかなり薄く作られています。軽量穴も開いていますし、表面は機械加工で仕上げられています。

クランクシャフト側のタイミングギアです。こちらもまるで別部品です。


オイルポンプです。似たような感じですがレイアウトが全く異なる造りです。鋳物なのにわざわざ専用部品を製作していますね。

エンジン右側の1次ギア、オイルポンプ等を取り付けました。ストリートバイクとは似て非なるもの、という印象です。

こちらはエンジン左側です。発電機とフライホイールが乾式になっているので、この状態でエンジン左側カバーを取り付け、その外側に発電機のローターやコイル等を取り付けます。シフトコントロールアーム周りですが、シフトペダルが付くシャフトと軽量穴あきのアームの部分は専用設計、その先のシフトドラムをひっかけて回すアームの部分は市販車と共通部品です。

エンジン左側カバーです。新品の純正部品、マグネシウム製です。中央のオイルシールが特殊なサイズでおそらく今となっては入手不可能な部品です。交換時期が来た時に苦労しそうで、今から心配ではあります。

こちらは使用するピストンです。純正の新品です。

シリンダーです。箱はありませんが、こちらも純正の新品部品です。

ピストンとシリンダーを仮組しています。これからスキッシュクリアランスの測定と調整を行います。スキッシュクリアランスの調整は厚さの異なるシリンダーベースガスケットを使用し、その中から丁度良い暑さのものを選択するという方法で行います。

スキッシュクリアランスの値はインテーク側が1.06mm、エキゾースト側が1.04mmとなりました。良好な数値です。