2024年09月14日

888コルサエンジン再生-1

 今回は1993年の888コルサエンジンのレストアです。コルサエンジンというふれこみで入手したのですが、実際のところ素性が不明でそれが本当かどうかは開けてみてのお楽しみ?という状況でした。とにかく開けてみないと何も進展しないのでとりあえず分解しました。

DSC01897 一通り分解しましたが、結果としてちゃんと888コルサのエンジンでした。胸をなでおろしました。それじゃどうしましょう?とオーナー様と相談した結果、ちゃんと組み上げて現在走らせているレースバイクのエンジンと載せ替える、ということになりました。



DSC01898 一通り部品をチェックしていくと、この年式だとコンロッドはチタンではなくスチールの削り出しH断面。クラッチカバーは緑色の陽極酸化処理が施されたマグネシウム製。これは純正部品ですね。エンジン左側カバーも茶色の陽極酸化処理が施されたマグネシウム製。これも純正部品ですが、これは当時から1〜2年使用すると冷却水に触れているウォーターポンプ周りに腐食が発生して穴が開き、冷却水がクランクケース内に侵入することになるのは確実なので他の部品に交換することになります。クランクはコルサ純正。ミッションも純正のレーシングミッションで、パッと見たところ状態は悪くなさそうです。ヘッドはまだ分解していませんが、マグネシウム製カバーが取り付けられていて外見としてはコルサです。バルブ径もコルサです。あとはカムシャフトに何が組まれているかが問題ですが。

DSC01899 シリンダーとピストンもコルサ純正です。ただし、特にピストンが結構使い込まれています。裏返して裏面を見るとかなり焼けて茶色くなっています。フライホイールはコルサ純正ですが、オリジナルにはセルフスターター機構が存在しません。当時のエンジンスタートは押し掛けが常識だったのですが、現代においてはスリッパークラッチの存在もあってそれは難しいのでセルモーター等の取り付けが必須です。そうするとフライホイール関係もそれ用の物を用意する必要があります。クランクケースもコルサ純正の部品です。エンジン番号を打たれていないので、スペアパーツとして取りよせたものが使われています。当時ドゥカティコルセより指定されていたクランクケースの交換サイクルは走行500kmでしたから、スペアパーツに交換されていたのは当然の成り行きで、もしエンジン番号が打ってあるオリジナルのクランクケースが使われていたらそれはかえって怪しすぎます。

DSC01900 シリンダーヘッドを分解しました。内部部品もコルサ純正で、カムはIN、EXともにGカムでした。バルブ径はINが36mm、EXが31mm、ステムエンドにC.MENONの刻印があるホンモノです。さすがにロッカーアームはメッキの剥離が頻発するために頻繁に交換されていたようで、見た目の異なるものが混じっています。


DSC01914 ヘッドの上面には鋳型で92とあります。92年製造なので93年式のバイクに使われたということになります。Sの刻印は93年型888レーシング用、という識別です。ちなみに左側の機械加工部分は何のためかというと、フロントタイヤの逃げです。フルブレーキ等でフォークが沈むとフロントタイヤとヘッドが接触するのが当時は当たり前だったので、それを少しでも軽減しようとする試みです。
 これから作業を進めていく様子を逐次アップしていきますのでお楽しみに。




Posted by cpiblog00738 at 11:16