2024年10月02日

888コルサエンジン再生-4

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 今迄使用されていた純正オリジナルのクランクケースです。クランクシャフト支持のベアリングは通常のボールベアリングではなくローラーベアリングが採用されています。この頃の数年間、コルサとスーパーバイクにこのタイプのベアリングが採用されていました。ボールベアリングだと点接触ですがローラーなら線接触なので、大きな荷重を受け止めるのにはローラーベアリングの方が適しているのではないかという考えのもとにそうなったのだと考えられます。ストリートバイクだと888SPS、SP5も同じローラーベアリングが採用されました。しかし翌年の1994年型926レーシングからもとのボールベアリングに戻ってしまいました。おそらくメリットがあまりなかったのだと思います。ローラーベアリングの場合はクランクシャフトにイニシャルプリロードがかけられませんしね。

DSC01912 そして今回はこのクランクケースを使用して組み立てることになりました。これはST4のクランクケースです。クランクケースにスイングアームが取り付けてあるタイプでシリンダースタッドボルトのピッチが共通の部品を探すとこのタイプになります。年式的に新しいため、当時の部品と比較して材質と鋳造方法がアップグレードされていて強度的に優位性があるのが一番大きな理由です。このクランクケースを使用する場合はそれなりに対応が必要な項目が幾つもありますが、そのほぼ全ての対応した結果はアップグレードになるので、今回の使用目的がレースということを鑑みてこのクランクケースの採用となりました。

DSC01923 まず最初に、ST4にはオイルクーラーが無いのでオイルフィルター取り付け部を覗くとこんな眺めになっています。このままオイルフィルターを取り付けただけで使用すると、オイルポンプから圧送されたオイルはバイパス通路を通ってしまってオイルクーラーにオイルが回らないということになります。中央のオイルフィルター取り付けニップルの横にある丸い穴がバイパスです。


DSC01944 そのためにここにはバルブを取り付ける必要があります。スプリングの板状のバルブでバイパスをふさぐことになります。何かのトラブルでオイルクーラーへのホースが詰まったりしてオイルの行き場がなくなると、油圧でこのバルブが押し開けられてオイルがオイルクーラーをバイパスするようになっています。
 話は変わりますが、新車時にオイルクーラーが無いタイプのこの手のバイクにオイルクーラーを後付けした場合、この作業を行わないとオイルは殆どオイルクーラーを通過しないことになるので、せっかくオイルクーラーを後付けしても油温は下がらない、という事態が発生します。



Posted by cpiblog00738 at 20:47