2024年12月16日

998Rレストア-2

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 車体周りもとりあえずは全バラで行きます。スイングアームピボットのベアリングはエンジンを降ろした状態でないと出現しませんのでこの機会を逃すわけにはいきません。それととにかく掃除して磨いて綺麗にしないと。




DSC02142 DSC02143スイングアームです。チェーンスライダーはお約束の加水分解で跡形もありません。 
 ベアリングこそ取り外しませんが、まずは分解して綺麗にします。走行距離が少ないので個々の部品の消耗は殆どありません。


DSC02144 スイングアームの作業はひとまず終了です。さすがにいくら磨いても除去できない汚れはありますが、これは致し方ないですね。ここには写っていませんが、リアサスリンクのロッドも分解しました。上下にピローボールのロッドエンドが付いた部品ですが、やはり錆て固着しており、バーナーで加熱したりと結構手間がかかります。取り外した後はタップとダイスでネジ山をリフレッシュしてからグリスを塗布して組み立てました。

DSC02145 リアショックユニットです。走行距離が少ないので内部のダメージは少ないと予想されますが、バンプラバーを見るとさすがに朽ち果てかけています。ということでリアサスはオーバーホールします。





DSC02147 こちらはフロント周りの整備中の様子です。ステアリングヘッドのベアリングの分解点検、フロントフォークのオーバーホールを行います。
 ステムベアリングは新車時から締め付け過多の場合が多いのですが、この個体は以前に分解整備された形跡があり、前作業者の適切な整備の施工によって非常に良い状態であったことが確認できました。でも使用していたグリスは少なくとも15年以上前のものですから、洗浄して古いグリスを除去し、新たにグリスアップして組み立てました。


DSC02148 フロントフォークのオーバーホールが終了したので、再び車体を組み立てました。フォークは走行距離が少ない割にはオイルの汚れが著しい印象を受けました。もしかすると使用していたオイルによる影響かもしれません。





DSC02154 車体周りがひと段落したので次はエンジンに取り掛かります。とりあえず分解です。エンジンの外見は綺麗ではありませんが、内部は走行距離が少ないのでさすがに綺麗です。内部の状態が良好であるなら外側だけ掃除して綺麗にすれば?というのもアリかもしれませんが、今回は内部もちゃんとやり直します。何しろ15年以上固まっていたエンジンですから。
 それと、新車時のエンジンが状態として一番良い状態である、と今の時代の人達は認識している場合が殆どだと思いますが、少なくとも約20年前の当時はそんなことも無かったのです。(今もそうかもしれませんが)
 新車のエンジンを分解た経験から、新車のエンジンでも何かしらの不具合を抱えた状態のままであることが少なくありません。もちろん多いとは言いませんが。
 何故新車のエンジンを分解したことがあるかというと、例えば90年代後半に新車のコルサが納車された時には、実際に走らせる前に一度分解して状態を確認するのが常識でした。新車のコルサのエンジンでさえ、バラしてみたら部品が足りなかったり組み付けの不良があったという経験があります。
 また街乗りバイクに於いても、当時は新車が納車されたらまずはエンジン、車体、ともにオーバーホール、という志の高いお客様も何人かおられました。お客様曰く、「調子が良いのか悪いのか判らないバイクを最初のオーバーホール時期まで、少なくとも2万キロとか乗るのはイヤだ。俺は最初から調子の良い設計者が目指した本来の状態のバイクに乗りたい」
 現在の電気仕掛けの塊のバイクではこういう話にはならないと思います。バイクとしてどっちが優れているかはオーナーが何を望むかにより異なりますが、エンドユーザーにとっての評価基準が、新しい、古い、とか、速い、遅い、では無いのがバイクの面白いところだと思います。


                                                                         


Posted by cpiblog00738 at 16:56