2025年01月01日
998Rレストア-7
シリンダヘッドの組み立て作業に取り掛かりました。まず気になるのがカムシャフト軸受けに残された痕跡で、カムシャフトとの当たりの強さが気になります。この痕跡はカムプーリー側の軸受けに散見されます。理由は明白で、タイミングベルトのテンションで2本のカムシャフトが内側に引っ張られてその結果軸受けに強く押し付けられるからです。ベルトの張り過ぎ?とも言えますが、メーカーの指定値で張り調整するとだいたいこんな感じになりますから、メーカーとしては想定内なのかもしれません。これが原因となって壊れてしまうことは無いと思われます。しかし軸受けの状態を目の当たりにしている自分としてはやはり気持ち悪いので、ベルトのテンションはかなり弱めに調整することが多いです。
テスタストレッタエンジンの場合はカムが軸受けに直接載っていますが、デスモクアトロエンジンの場合はカムをボールベアリングで支持しています。この場合でもカムを支持しているベアリングが内側に押し付けられて、その結果ベアリングのハウジングの内側の当たりが強く、ヘッド側のアルミがツルツルピカピカになっている場合が多いです。そうなるとおそらくハウジングの真円度も崩れていると思われます。
シリンダヘッド組み立て中です。この眺めは随分昔にフェラーリのエンジンの写真で見た記憶があります。何のエンジンだったかは記憶にありませんが、もしかするとプロトタイプで実際に車体に載って公道を走ることは無かったエンジンなのかもしれません。フェラーリの場合は片バンク6発ですから、これが6連装ということでかなり凄い眺めだった記憶があります。要するにテスタストレッタは元々フェラーリのテクノロジーだったということになるのでしょうか?
シリンダヘッドが完成しました。組み立てにかかる時間はデスモクアトロヘッドよりもこちらの方が短時間で済むことが多いです。それは構造上テスタストレッタヘッドの方がバルブクリアランスの調整がやりやすいからだと思います。
エンジンの腰上を組み立てます。シリンダスタッドボルトの溝にはオーリングが取り付けられてエンジンオイルがスタッドの穴に侵入しないような構造です。しかし稀な例ですが、クランクケース内の内圧でエンジンオイルがこのオーリングのシールを突破してスタッドボルト内に侵入し、結果としてヘッドナットの周りからオイルが漏れることがあります。
使用されている純正のオーリングの規格はAS568-011で内径φ7.65mm、線径1.78mmです。似たような大きさのオーリングでP8という規格のものが存在していて(こちらの方が一般に良く知られていると思います)、こちらは内径7.8mm、線径1.9mmです。こちらの方がちょっと太い感じですよね。ちょっときついかな?くらいのフィーリングで普通に組めるので、自分の場合はこのオーリング(材質はFKM-70、所謂バイトン)を使って組み立てることが多いです。随分長い事使っていますが、効果は有るみたいでヘッドナット迄オイルが上がって来るトラブルは今のところ皆無です。勿論オーリングが収まる場所に異物が入り込まないように気を使って組みたてるのが大切なのは言うまでもありません。
ということで漸くエンジンが完成しました。外観も綺麗になってレストア前と比較すると見違えるほどです。ウォーターポンプのホースユニオンはアルミ製のものに交換済みです。オリジナルはスチール製で錆びるのが早く、何時も何とかしたいと思っていましたが、2000年代後半からアルミ製の純正部品が入手可能になり、それからはデフォルトでアルミ製部品に交換するようにしています。
早速エンジンを車体に載せています。冷却水のホースはサムコのシリコンホースです。デフォルトの色は青ですが、やはり黒の方が雰囲気が良いと思います。高価なホースではありますが、今や純正部品だと廃番で入手不可なものも混在しますし、有ったとしても価格は税込みで6万円を超えますから選択肢としてはサムコをはじめとする社外部品とならざるを得ません。
写真ではエアボックス無しの状態でファンネルやインジェクターが装着されていますが、この状態でとりあえずエンジンの始動を試みます。この状態であれば調整ともし不具合が出現した場合への対処が容易であるからです。
そして先程外部の燃料タンクを接続してエンジンの始動を試みましたが、やはり初期トラブルは出現しました。想定内のトラブルでしたが、前側気筒のインジェクターが燃料を噴きません。目視できる状態で作業しているので一目瞭然です。もしエアボックスとタンク等が装着された状態であれば不具合の原因の特定にかなり余計な時間を費やすことになったでしょう。トラブルの原因は長期間放置されたことにより燃料通路内部に残留していたガソリンがガム化してインジェクターノズルが固着したことによるものです。重症の場合はインジェクターを取り外して清掃することになりますが、今回は無理やり片肺のままエンジンを始動させるとエンジン始動とともに眠っていたインジェクターの方も目を覚ましました。クランキング時のインジェクターへの開弁信号の数はたかが知れいていますが、エンジンが始動すれば送られる信号の数が桁違いに多くなるのでびっくりして目覚めるんでしょうね。(笑)
ところで申し遅れましたが、
皆様、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。
今日は午後イチからエンジン始動に向けていろいろと作業をしておりました。スロットルボディーの初期セッティング中にスロポジの不具合が発覚し、部品を交換したりと想定外の事態もありましたが結果的に無事にエンジンの始動と調整を終えることが出来ました。
作業が遅れてお待たせしてしまっている仕事が多々あり、お客様にご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。遅れを取り戻すのがとりあえず年初の目標となります。何卒宜しくお願い申し上げます。
さ〜て、酒、酒、と。
Posted by cpiblog00738 at 18:13