2010年03月05日
動力計の上で回してみました
2010年02月13日
再び999のエンジンが動力計に設置されました
いったん終了した999エンジンの動力計による試験を再開します。今回はフルエキを今までの999用φ57から998用φ50のものに交換し、どのような差があるのかを確かめようと思います。フルエキ以外は何も換えていないので、有意差が出現した場合それは単純にフルエキによるものと判断できます。また、マッピングの数字がどのように変化するかも興味深いところです。
2010年01月27日
エンジン様ご苦労様でした
動力計から降ろしたエンジンをエンジンスタンドに載せました。今回どのくらいエンジンを使ったかという目安として、どのくらいガソリンを使ったかということから判断する事にしました。全部で約50リッター弱です。多めに見積もっても走行500kmというところでしょうか?
今回改めて思った事があります。同じ仕様のエンジンでも個々のエンジンやスロットル関係の補機類にはかなりの個体差が有り、そのため、あるエンジンと補機類の組み合わせのマネージメントを詰めてゆくと、その組み合わせ専用とも言えるマネージメントが出来上がります。そう考えると、不特定多数の同じ仕様のエンジンなら何にでも過不足なく使えてしまうメーカー純正のマネージメントというのは本当に素晴らしいもので、ある意味驚異的だと思います。
このままこのエンジンを身請けしてくれる方がいらっしゃればそれはそれで結構なことですが、そうならない場合は引き続きいろいろな事を試してゆこうと思います(時間とお金の余裕があればですが)。どなたかこのエンジンの今後を引き受けていただける方はいらっしゃいませんか?エンジン下取りも歓迎です。いずれにせよこのエンジンは今回のタイミングで腰上を分解点検して内部のチェックを行います。
いったん後片付けです
まだ試したい事は山積みなのですが、動力計に載せるエンジンが後につっかえているのでいったん撤収です。
今回点火時期は触りませんでしたが、次はそこも詰めてみたいです。それには排気温度計とノックセンサーが必要ですね。排気温度計は持っているのであとは取り付け座を排気管に溶接すれば良いのですが、ノックの音を聞く設備はそれを扱う人間ごと借りてくるしかないですね。そんなに神経質にならないで適当にいじっても大丈夫だよ、という人もいますが、私は昔の人間なので何の根拠もなく点火時期を触るのが怖いのです。燃調が外れてもエンジンは壊れませんが、点火時期が外れるとエンジンは一発で壊れるというイメージが頭の中にあります。何しろドゥカティのエンジンは部品が高いので絶対に壊したくないですしね。
2010年01月26日
全負荷状態です
スロットル開度全開、エンジン回転数10,500rpmの全負荷状態を数十秒続けるとこんな状態になります。別にコンピューターグラフィックでエキパイに色をつけたわけではありません。この画像を撮るために動力計室の中に入りましたが、一言では言い表せない環境です。何か事故が起こったら死んじゃうかもしれない、という感じです。でもこの桃色はいつ見ても美しいと思います。
この時に得られた出力はスプロケット軸出力で修正係数を加え、145.5馬力でした。以前行った999Sエンジン+モーテック制御の場合とほぼ同等です。
ついでといっては何ですが、インジェクターをノーマルから749R等に使われている12穴のタイプに交換してどうなるかも試験してみました。双方のインジェクターは容量が異なるのでインジェクターだけ交換してそのままのマップでエンジンをかけるとゲロゲロに濃くなってエンジンにそのパフォーマンスを発揮させる事は不可能ですが、全域にわたってマッピングをやり直し、このインジェクター用のマップも作成しました。パワーチェックも行いましたが、全負荷時の出力はノーマルインジェクターと比較して特に有意差はありませんでした。おそらく動力計でははっきり計測できない中低速域において性能差があるものと思われます。スロットル全開の最高出力付近では、空燃比が合っていれば供給される燃料の霧化状態等に出力は左右されないのでしょうね。
マッピング作業中
動力計の上でエンジンを回しながらマッピングを行っている様子です。EVR-3にはオートマッピングという、指定した空燃比になるように自動的にマップを作成する機能もありますが、とりあえず今回は手堅く手動操作によるマニュアルマッピングで作業を行っています。
マッピングは元々製品にインストールされているマップを元に行っていますが、表示画面の色が赤くなっているところが既に変更された部分です。本来空燃比はパソコン画面上に表示されますが、表示を読み取りにくいので今回は外付けの空燃比計を2個使用しています。テスタストレッタエンジンの場合、テスタグランデのエンジンと比較すると空燃比は薄めの方が調子が良いようです。燃焼室やそれに付随する部分の設計が新しいので、燃焼状態が良いということなのでしょうか?
EVR-3
他の仕事に時間を取られてなかなか進まなかったEVR-3の動力計による試験ですが、やっと作業を進展させる事が出来ました。
エンジンの仕様は完全ノーマルで、排気系はテルミφ57mmのフルエキ。スロットルボディーもノーマルで、エアボックスのみ取り付け、ダクトとエアクリーナーは無しです。実際の走行とはいろいろと条件が違いますが、まず動力試験で得られたマップを基本マップとして全ての基準とし、そこから実走行で必要とされるいろいろな補正を加えて行くのがまっとうな方法だと考えています。
しかし今までの経験では、動力試験で得られたマップそのままでサーキットを走行した場合、特に不都合が生じたことはありません。そのままで十分のような気がします。そこから細かく詰めてゆけばかなりの改善の余地はあることも勿論承知しています。でもそこまでやる事を求めるかどうか、それが必須であるかどうかはその人次第だと思います。それに加えてそうした改善を行う場合は、運転手が何を求めていて、その結果何をどうして欲しいのか、ということを正しく伝えてくれないと、どう手を付けて良いのか決定できないということもあります。
2009年11月26日
やっと始まりそうです
やっと準備が整って来ました。フルエキも調達し、ワイヤーハーネスもOK。EVR-3も届き、モノは全て揃いました。
でも作業を進めるごとにいろいろな問題が発生し、それを一つ一つクリアしながらなのでなかなか進みません。一応エンジンはかかったのですが、例えば、ベンチ室の外にPCを置くのでUSBケーブルを延長したら、ノイズを拾うのかPCとの接続が頻繁に途切れます。いろいろと対策を考えたのですが、結局ワイヤーハーネスの方を出来るだけ外の方へ引っ張って、何とか延長ケーブル無しでPCに接続できるようにしました。その他にも、EVR-3のディスプレイにはラムダが表示されるのに、PCの画面にはそれが表示されないとか、いろいろ面倒な事が起こります。
でもそれらの問題も一応クリアし、何とかマッピングが出来る状態にやっと辿り着きました。果たしてこの商品の売りである自動的にマッピングする機能とかはちゃんと機能するのでしょうか。興味のあるところです。それでは続報をお楽しみに。
2009年11月21日
2009年11月12日
エンジンが完成しました
作業の合間を縫って進めていたためにずいぶんと時間がかかってしまいましたが、やっとエンジンが完成しました。次はこのエンジンを動力計に載せ、EVR3のフルコンを使ってマッピングを行う作業になります。
そのためにはフルエキやワイヤリングハーネス等が必要になるのですが、現状ではそれらがまだ揃っていません。部品の調達から始めないといけませんね。
2009年10月24日
バルブガイド交換
2009年10月04日
バルブ
2009年09月29日
シリンダーを仮組み
シフトコントロールアーム
2009年09月27日
クランク
クランクケースは
ミッションメインシャフト
ミッションカウンターシャフト
ピストンリングについて
画像はピストンリングのシリンダーと擦れ合っている部分です。判りやすいように2ndリングの画像にしました。画像の上半分が黒色、下半分が金属の地肌が出て銀色になっているのがお判りいただけると思います。新品は全て黒色で、シリンダー壁と馴染んでアタリが付いたところが金属の色になります。この金属の色の部分が一周しないとリングは本来の性能を発揮しません。そしてこのまま使い続けるとアタリがついた部分がどんどん広がり、全面が金属の地肌になってベタ当り状態になります。組んだばかりの状態では全体が黒色で、その状態ではリングが本来のシーリング性能を発揮しないので、はっきり言ってエンジンは遅いです。慣らしが進むに従って当たりがついた部分が細い金属色の線となって現れます。新品のピストンリングを使用すると、アタリがつくまで結構な時間がかかります。丁度画像のような状態が、アタリがついた旬の状態と言えるでしょうか。
という訳で、アタリのついたリングはなかなか交換する気になれません。(少なくても合口隙間がリミットを越えるまでは)新品にすると少なくとも500kmくらい走行しなければリングは本来の性能を発揮しないのです。(これはドゥカティのスーパーバイクの場合です。他の車種の場合はどうだか知りません)全日本をやっている頃、黙ってリングを新品にすると、必ずライダーから「今回のエンジンは遅い!」とクレームがついたものです。ピストンの交換が必要な走行距離になって、でも遅くなるのがどうしても許されない場合は、しょうがないのでピストン本体だけ交換してリングは再使用、なんてこともずいぶんやりました。つまりここだけの話、レース直前にピストンリングを新品にするなんてことは・・・・・。お判りですね?
ピストンです
洗浄が終わったピストンです。状態は良好です。2個ともクラス「C」なので外径は普通より大きめです。99.95mmと99.96mmでした。
ピストンリングの合口隙間も初期値の範囲内に収まっていますので、当然ながらそのまま使用します。
2009年09月24日
クランクが組み上がりました
コンロッドボルト
コンロッド
こちらはコンロッド、洗浄済みです。チタンコンロッドは使用してゆくに従ってメタルとの接触面に剥離が発生し、それが進行してゆきますが、このコンロッドはまだ剥離も殆ど発生していません。やはり走行距離の少ないエンジンの部品のようですね。
ちなみにボルトとメタルまで含んだ総重量は404.2gと404.4gで殆ど同じです。一般的にチタンコンロッドの場合は切削したりしての重量合わせをしないので、本気で重量合わせをしようとすると、大量のコンロッドを用意してその中から重量の同じものを選出するという方法になります。非現実的です。という訳で、このエンジンの場合は非常にラッキー、良いエンジンになりそうですね。