2023年11月30日
DUCATI SUPERMONO 筑波TTレース参戦
先日の11月18日、DUCATI SUPERMONOで筑波TTレースに出場しました。出場クラスはMS-1でしたが、このカテゴリーへのエントリーは私1台のみ。昔は隆盛を誇ったシングルクラスも今やそんな状況に陥っています。もちろん他のクラスと混走のレースとなりますが、流石に出走が1台では最初から賞典外扱いです。しかし自分としてはこのスーパーモノがレディー・トゥー・レースの状態であることを世界にお披露目したかったのがレースエントリーの動機でしたから、賞典外云々は全く気にしていませんでした。
レースから無事に帰還したところの画像です。転倒等の最悪に事態に備えてカウル類はオリジナルでは無いものを装着してありますが、この後はオリジナルの状態に戻して保管する予定です。次回の走行予定は・・・・未定です。絶対に壊してはいけないバイクでレースをするとあまり楽しめないことを痛感したので、次のレース出場は無いかな、というのが現在の心境です。もちろん気が変わる可能性はありますが。2023年10月17日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その17
さて、2023年の2月、今までの懸念だった空燃比の改善を試みました。シャーシダイナモに載せてスロットル開度ごとの空燃比を測定し、フューエルマップを書き換えて対応します。シャーシダイナモ上で走らせ、空燃比を測定し、それによって得られた空燃比データを頼りにマップを書き換え、もう一度走らせて結果を確認する。この作業を何度か繰り返します。測定1回、書き替え1回で決まるほど作業は甘くはありません。同じ作業を何度か繰り返す必要があります。
空燃比を計測するためにはエキパイに空燃比センサー取り付けますが、そのためにはエキパイに取り付け用のボスが必要です。しかしオリジナルのエキパイにそのようなボスは存在しません。その場合、通常はボスをエキパイに溶接して取り付けることになりますが、何せ相手はスーパーモノです。オリジナル状態をモディファイしてボスを取り付けることはしたくありません。
まずは1回走らせて測定してみました。今迄はこの状態で走行していたということです。測定したスロットル開度は11.4度から82度までの11段階です。ちなみにここではスロットル開度82度が全開です。%表示ではなく角度表示なのでここで100の数字は出て来ません。
何度かフューエルマップを書き換えた結果のグラフです。本音を言えばもう少し詰めたかったところはありますが、経験上これ以上セッティングを詰めてもその結果を実走行で体感できない場合が多いです。それに加えて将来的にもエンジンに負担をかけたくないという思惑もあり、ちょっと濃い目の空燃比でOKとしました。
パワーチェックのグラフです。計測された最高出力は8,760rpmの時に64.3馬力でした。エンジンはまだアタリが付いた状態とは言えないので、暫く走行して慣らしが進めば5%程度の出力アップが期待できると思います。グラフをチェックするとかなりフラットな印象です。参考のために発生しているトルクを計算してみました。計算してみた結果、6,500rpm〜8,500rpmの広い範囲でトルクは5.4kgm前後をキープしています。トルク特性はかなりフラットと言えます。
何はともあれ空燃比セッティングが終了したのでエンジンのパフォーマンスはかなり改善されたと予想されます。次の目標としてはこの状態で筑波サーキットでのレースに出場したいと考えております。勿論いたずらに走行距離を延ばすのは避けたいと思っておりますが、もう1〜2回くらいはレースで走らせてください、という感じです。
今回のレポートはひとまずこれで終了です。何かご不明な点やご興味がある点があればメール等にてお問い合わせください。解る範囲で、ですが真摯に対応させていただきます。
前にも書きましたが、あと数回レースで走らせた後にこのバイクは売却を考えております。価格は応談となりますが、今のご時世ですから勿論安くはありません。それでもご興味がある方いらっしゃいましたら、ご連絡をお待ちしております。
チーム・ファンデーション代表 名越公一 2023年10月 記
2023年10月08日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その16
グリッドは後ろの方ですが、ストレートが遅いのでスタート直後に後ろから突っ込まれる可能性を考えるとかえって良かったかもしれません。予選タイムは2分7秒台。決勝でも6秒台でした。2分は切れるだろうと思っていたのですが、全くお話になりませんでしたね。以前748Rで1分55秒、空冷DS1100エンジンを748の車体に載せたバイクで1分54秒、くらいのタイムは出ていたので2分は切れるだろうとタカをくくっていたのですが…。FISCOの場合は少なくともエンジン出力が90馬力くらい出ていないと2分は切れないのでしょうか。そのあたりにしきい値があるのかもしれません。2023年09月30日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その15

フューエルタンクのマウロ・ルッキアリのサインですが、タンクにマーカーペンで記してあるだけなのでこのまま放置すると消滅してしまうことは明らかです。パーツクリーナーで拭いたりワックスをかけたりすれば簡単に消えてしまうでしょう。このままという訳にはいきません。それにしてもこのフューエルタンク、斬新というか何というか、かなり独特は形状ですね。

このデザイン、本当のところは誰の作品なのでしょうか?このデザインの流れでインジェクション仕様になった900/1000SSとか749/999系に変遷していくのですが、一般的にスーパーモノとこのシリーズは同一デザイナーの作品と言われていますよね。私にはどうしてもそうは思えません。スーパーモノに関しては、実はタンブリーニさんが関わっていて、監修等を担当していたとすれば納得できるのですが。2023年09月23日
DUCATI SUPERNOMO スーパーモノ・レストア記 その14
リアホイールですが、こちらの箱入りの方は何と新品です。この純正のリアホイールサイズは5.00x17です。もう1本、5.25x17というサイズもありまして、こちらはリペイント済みです。当時の指定タイヤサイズは155/60-17というサイズですが、それに近いサイズは現在では160/60サイズとなります。この160/60サイズのタイヤを5.00と5.25のホイールで履き比べてみて、その違いと感触を試してみるということになりますね。
これはリアブレーキマスターのホルダーです。本来、純正部品はカーボンで製作されているものですが何故かアルミの削り出し部品になっています。削り出しには違いないのですが、どう見てもグラインダーで削り出したと思われる力作?です。これをこのまま使用するのはいくら何でも有り得ない感じです。とはいえ代替え部品はありませんから、何かしらの解決策を考えなければなりません。
いろいろ考えた結果、グラインダー削り出しのこの部品をフライスで仕上げて使用することにしました。かなり時間と手間がかかって苦労しましたが、これなら及第点という仕上がりになったのでこれを使用することにしました。
冷却水ホース、ブリーザーホースです。ここに写っているものは純正部品の新品です。しかし新品を用意できなかったホースもあります。それは既存品を使用するか、似たようなサイズのホースの代替品を探して使用するしかありません。2023年09月16日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その13

エンジンにオイルクーラーを始めとするその他の部品を取り付け、何とかエンジンは完成にこぎつけました。しかしここで一点気になることが見つかりました。エンジンとオイルクーラーを往復している純正のオイルホースです。経年劣化していて見れば見るほどヤバそうな雰囲気が漂ってきます。最初の方でご紹介した、フィッティングが割れたブレーキホースのイメージが重なります。
そこでホースは新たに作り直すことにしました。色が純正と同じ青と金ということで、今回はPro Goldというブランドのものを使用しました。改めて、これでエンジンの作業はめでたく終了ということになりました。2023年09月10日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その12
シリンダーヘッド、ピストン、シリンダー等を仮組して、バルブタイミングの計測と調整を行っています。バルブタイミングを指定値に調整してからバルブとピストンのクリアランスをチェックするので、今のところはあくまで仮組です。
バルブタイミングが決まった状態になったところで、一旦シリンダーヘッドを取り外し、バルブリセスに粘土を置いて再び組み立て、クランキングさせます。そうすると画像のようにバルブリセスの中にバルブが入った痕跡が残ります。粘土の厚さがバルブとピストン間のクリアランスということになります。ミニマムクリアランスはINTAKEが2.5mm、EXHAUSTが2.6mmと指定されています。今回は特に問題無い範囲に収まっていました。全てが純正部品で、バルブタイミングも指定値の通りになっていますから、当たり前と言えば当たり前です。しかしパフォーマンスアップを狙って社外ピストンや社外のカムシャフト等を使用した場合は特に注意が必要ですね。
今迄エンジンは仮組でスキッシュクリアランスの調整やバルブタイミングの調整を行っていたので、ヘッドガスケットは今迄使用していた中古品を使用していました。しかし最終的には当然ですが新品のヘッドガスケットを使用します。
クラッチ関係の部品です。クラッチディスクは摩材が焼結タイプの現行モデルの純正部品で、使用する枚数を減らし、全体の厚さを調整して使用します。クラッチドラムは専用品ですが、既存のものを再使用します。クラッチスプリングは新品で996RS等と共通部品。クラッチプレッシャープレート等は888/926Racingと共通部品で、これも新品を使用します。
こちらはオイルクーラーからシリンダーヘッド、クランクケースへと続くオイルラインです。これも新品です。シリンダーヘッドにオイルをデリバリーするのと、その先はクランクケースに繋がっていて、そこではダミーコンロッドのエンジン側のピボットにオイルを供給するようになっています。2023年09月03日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その11
こちらはエンジン左側です。発電機とフライホイールが乾式になっているので、この状態でエンジン左側カバーを取り付け、その外側に発電機のローターやコイル等を取り付けます。シフトコントロールアーム周りですが、シフトペダルが付くシャフトと軽量穴あきのアームの部分は専用設計、その先のシフトドラムをひっかけて回すアームの部分は市販車と共通部品です。
ピストンとシリンダーを仮組しています。これからスキッシュクリアランスの測定と調整を行います。スキッシュクリアランスの調整は厚さの異なるシリンダーベースガスケットを使用し、その中から丁度良い暑さのものを選択するという方法で行います。2023年08月28日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その10
メタル合わせが終了しました。記してある数字は実測したメタルクリアランスです。例えば手前のコンロッドでは垂直方向のクリアランスが0.054mm、斜め45度方向のクリアランスが0.074mmと0.078mmということです。メタルクリアランスの指定値は0.040〜0.068mmとなっていますが、この値は垂直方向のクリアランスで判定します。
クランクシャフトにコンロッドを取り付けました。このタイプのコンロッドボルトの締め付け方法は以下の通りです。・締め付け前のボルトの全長を計測する。
・最初に15Nmで締め付ける。
・次に角度で38度締め付ける。
・次に再び38度締め付ける。
・締め付け後のボルトの伸びは0.13〜0.17mmの範囲に入っていること。
シフトドラムです。こちらもスーパーモノ専用部品です。他のエンジンとの互換性はありません。画像はありませんが、シフトフォークは他車種と互換性があります。空冷400とか600のギアボックスの2軸間が狭いタイプ用のシフトフォークと共通です。2023年08月21日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その9
次はギアボックスのメンテナンスに取り掛かります。画像はカウンターシャフト(スプロケットが付くシャフト)を分解したところです。見慣れた景色に見えますが、実は主要部品のほとんどがスーパーモノ専用部品です。ギアの厚さが狭かったりして他のモデルとの互換性がありません。さすがにサークリップやニードルケージは共通部品ですが、その他の唯一の共通部品はシャフト本体のみです。このシャフト本体だけはベルトドライブの900SS等に使用されているものと同一です。
ギアボックスカウンターシャフトのメンテナンスが終了しました。主要部品の状態は、ギアの歯の当たり面、ドッグの状態等を含めて非常に良好で問題ありません。今となっては入手不可能な部品なので非常に安堵しました。外れている部品は新品に交換した際に取り外した部品です。
ギアボックスのメインシャフト(クラッチが付くシャフト)を分解したところです。こちらの場合、シャフトとギア類の全てはスーパーモノの専用部品で、他車種の部品との互換性はありません。幸いなことにこちらも程度は良好だったので安堵しました。サークリップ、クラッチロッド用のニードルケージ、オイルシール等は新品に交換します。2023年08月13日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その8

シリンダーヘッドの組み立て中です。懸念であるロッカーアームのメッキ剥離等の問題はありませんでした。また組まれているバルブスプリングですが、ストリートバイクと同じ部品となっています。一般的にコルサの場合は線径の細い反力の弱いスプリングが用いられていることが殆どなのですが、スーパーモノの場合は何故かストリートバイクと同じ部品が組まれています。この件はパーツリストでも確認済みです。とりあえず今回はオリジナルに忠実に、ストリートバイクと同じ部品で組み立てました。
エキゾースト側のカムシャフトホルダーの形状が特殊ですが、ここにウォーターポンプが取り付けられることになります。ところが作業を進めていくとこの部分に問題があることが発覚しました。画像ではまだオイルシールが取り付けてありませんが‥‥。
これがこの部分に使用する純正のオイルシールです。オイルシールにサイズが記されていますが、φ17.46xφ28.58x6.3となっています。かなり特殊なサイズではないでしょうか?これをカムシャフトホルダーに取り付けてみたところ、全く勘合締め代がありません。つまり固定されないということです。ガバガバで容易に脱落します。ホルダー側の内径を計測したところφ28.8mmです。何をどう間違えてこうなってしまったのかは不明ですが、とにかく完全にこれはNGです。ホルダー側のハウジングの内径を間違えて仕上げてしまったのでしょうか?内側に通るカムシャフトのシャフト外径はφ17.5mmなので、本当に必要とされるオイルシールのサイズは呼びでφ17.5xφ28.8x6.0というサイズとなります。しかしそのサイズのオイルシールはどう考えても入手不可と考えられます。とにかく何らかの解決策を講じる必要があります。
いろいろ考えた末に講じた解決策がこれです。φ17xφ30x6というサイズの国産オイルシールを利用し、30mmの外径を29mmに加工しました。加工は取引先の試作屋さんにお願いしました。MHSAタイプのオイルシールは外側部分もゴムで覆われていますが、経験上この手のものは上手く加工すれば外径を1mm程度削り落として使用することが可能であると分かっていました。この程度の研削であれば外側のゴム部分はまだ残ります。φ28.8mmの穴に外径29.0mmのオイルシールですから、締め代は0.2mmでOKです。
さて、シリンダーヘッドの組み立てが終了しましたので次はクランクケース周りの作業を開始します。これはコンロッド大端のメタルではなく、クランクシャフト両端を支持するクランクケース側のメタルです。当時のドゥカティエンジンの場合、レーサー、ストリートバイクを問わず、この場所はボールベアリングが使用されていましたが、スーパーモノのみがハーフメタルを使用していました。(その昔に存在したパラレルツインの500/350GTエンジン等の例外はあった模様ですが)その後この方式が登場するのは2013年のパニガーレエンジンまで待たねばなりません。
クランクケースは新品を使用します。何故なら今回のレストアの一番の目的は、このバイクをレースで走らせることだからです。オリジナルのエンジンナンバーが入っているクランクケースはかなり使い込まれており、状態は悪いと認識していますから使用せずに保管しておきます。しかしこのオリジナルクランクケースはエンジン番号がフレーム番号とマッチングしていますから、このバイクと常にセットということになりますね。
ハーフベアリングの取り付けが終了しました。マーカーで数字が記してありますが、0.052がメタルクリアランス、1.995と1.998が使用したハーフベアリングの厚さです。ちなみにメタルクリアランスの規定値は0.031〜0.065mmと指定されています。
こちらはクランクシャフトの両側に使用されるスライドメタルです。クランクケースにクランクシャフトを組んだ状態でのクランクシャフトの左右のクリアランスは0.07〜0.17mmと指定されていますから、その範囲に収まるように厚さを調整します。2023年08月05日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その7

今回バルブは新品に交換します。インテークバルブは1994〜1998年型のコルサと、エキゾーストバルブは1993〜1999年型のコルサと共通部品です。材質は耐熱性に優れたナイモニック合金製。ステムエンドにC.MENONの刻印があります。当時この刻印はホンモノの証として認識されていました。このバルブは高価だったので社外品のバルブに交換されている場合も多く見受けられたのです。
バルブのステム径に合わせてバルブガイドの内径をリーマで仕上げています。TFDで製作するすべてのガイドは穴径をステム径よりも小さく仕上げてあるため、そのままではバルブステムが通りません。使用する個々のバルブのステム径に合わせてガイドの穴径を仕上げます。TFDで使用しているベリリウム銅合金製のガイドとこのバルブの組み合わせの場合、通すリーマの径を0.01mmずつ大きくしていって、実際に使用するバルブのステムが通るようになったところでOKとしています。ということは言い方を変えればクリアランスは0.01mmということになるでしょうか。感覚的にはちょっと狭すぎる印象を与えるかもしれませんが、実際問題としてはこの方法が適しているようです。おそらくベリリウム銅合金とバルブ材質の相性が良いのだと思いますが、焼き付きや抱き付きの発生は今迄皆無です。次回のオーバーホール時にクリアランスをチェックしても状態は良好で、その後何度かのエンジンオーバーホール歴を経てもガイドの交換が必要になるケースは非常に稀です。
バルブシートをリフェース中です。バルブガイドを交換した場合は必須です。何故なら新たに装着したガイドの角度は以前とは少なからず異なるからです。そのためそのままではバルブフェースとバルブシートは正しく当たりません。2023年07月30日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その6
シリンダーヘッドの分解中です。状態は特に問題無く一安心です。構造的には基本的に888/926/955系のレーシングエンジンの派生です。シリンダーヘッドの刻印は「A」ですね。1992年の製造です。ということは888SP5あたりと同年代ですね。でもこの年式でエキゾースト側のヘッドの天井がフロントタイヤとの干渉を避ける目的で斜めになっていますね。この仕様を目にするようになるのはレーシングバイクだと955コルサから、ストリートバイクだと996になってからだと記憶していますから、かなり先行して開発されていたことは確かです。
バルブガイドの交換のため、まずは既存のガイドを取り外しました。通常はヘッドを温めた状態で専用工具のポンチを使用してガイドを叩いて打ち抜くのですが、今回は慎重を期して打ち抜く方法を取らずに、ガイド穴にタップでネジを切り、そこにネジを切ったシャフトを取り付けてスライディングハンマーでガイドを引き抜くという方法を取りました。2023年07月26日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その5
これはスイングアームに付属しているチェーン引き機構周りの部品です。材質はマグネシウムです。もともと緑色の陽極酸化処理が施されている部品ですが、やはり腐食が進行しないように改めて陽極酸化処理を施しました。この緑色の表面処理は数ある陽極酸化処理の中では特に耐食性が優れているとのことですが、施工を引き受けてくれるところは少ないと思います。なんでもこの処理を行うと工場内にシアンガスが発生するとのことで、処理中は工場内が無人になるというようなことを聞きました。2023年07月24日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その4
作業を開始するにあたって、まずは手を付けられるところから始めようということで、リアサスのオーバーホールを行いました。シリンダーも取り外し、表面処理をやり直しました。内部の仕様は特に変更せずノーマルのままです。
こちらはオリジナルのブレーキホースですが、経年劣化でブレーキホースのフィッティングが割れてしまっています。
そこでブレーキとクラッチのホースは新品を用意しました。イタリアのFREN TUBO製です。純正部品とは言えませんが、FREN TUBO社の製品ラインナップ中にドゥカティのスーパーモノ用という製品が存在するので、それを取り寄せました。
ここまで進捗した時点で本業が忙しくなり、暫く作業は中断ということになりました。そして3年ほど経った2014年、このまま放置はまずいということで本業の合間を縫って作業再開しました。
2023年07月16日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その3
さて、このバイクのレストア作業で一番のネックとなっていたことがあります。それは何と致命的なことに、クランクシャフトが無い、ということです。箱詰めの部品の中に2本のクランクシャフトが存在してはいたのですが、その両方が使い物になりません。画像はそのうちの1本で、焼き付いたクランクピンを溶接で盛って仕上げてありますが、肉盛りの溶接が足りずに表面を既定の寸法に仕上げても溶接のビードが残ってしまっています。また、左右のクランクを支持するジャーナル部も偏摩耗しており、真円度が保たれていません。計測場所によって直径が異なり、そのバラツキは0.09mmあります。ちなみにこのエンジンのクランク支持はこの時代のドゥカティとしては一般的なボールベアリングではなく、コンロッドの大端部と同じ構造のハーフベアリングです。0.09mmというこの数字は正規のメタルクリアランスのほぼ2倍程度ありますから、このまま組んで使用したら秒殺でエンジンが逝ってしまうのは確実です。
正直に申し上げてレストア作業が滞った一番の要因はこのクランクシャフトでした。当然ですが新品のクランクシャフトなどというものは既に廃番で入手不可です。いくら探し回っても中古部品すら出て来ません。ドゥカティの他車種の部品の流用を一瞬考えましたが、軸受けの径がまるで異なるのでそれは一見して不可能なことが判ります。そこで残された手は新造、ということになり、国内のクランクシャフトを製造してくれそうなところにこの画像を送って、製造可能かを問い合わせました。これは2011年のことだったと記憶しています。
何社かに問い合わせをしたのですが、返答は殆どが無しの礫でした。しかしその中で1社だけ真摯な対応をしてくれた会社がありました。モータースポーツ関係ではかなり有名な四国にある会社です。二輪四輪問わずメーカーの仕事も請け負っていて、その技術力もピカイチという評判で、流石だなと感心しました。正確な数字は覚えていませんが、見積金額は確か200万円だったと記憶しています。ただし1本ではなく、最低ロットの4〜5本の価格だったと記憶しています。
1本あたり40〜50万円なら、世の中にはクランクがダメになって走れないスーパーモノがそれなりに存在していると思われるので、それの修理に使えばOKと考え、この会社にお願いしようと半ば決心しました。

ところがこのタイミングで朗報が飛び込んできました。純正新品クランクシャフトが見つかったとの連絡です。見つけてくれたのは親しいイタリア人の友人のルカです。見つけた場所はアメリカでした。以前から探してもらってはいたのですが、それまでは伝手をたどってもなかなか見つからないという連絡が来るばかりでした。
もし新品のクランクシャフトが存在するのであれば、それはレーシングチームやショップではなく、例えばスーパーモノの新車をコレクションしているようなマニアの方が、スペア部品としてストックしているというようなシチュエーションであろうと予測し、そっち方面を当たってみたところで運よく探り当てたという感じです。
価格は1本で7500ドルとのことでした。十分高額ではありましたが、その価格でも躊躇なく購入を決意しました。何しろクランクシャフトが無ければバイクがバイクとして成り立ちませんし、それに加えて純正部品であることの価値はとてつもなく大きいと認識していたからです。この機会を逃したらおそらく新品の純正部品には一生巡り合うことは無かったでしょう。
結局はルカがいろいろと交渉してくれてディスカウントしてもらい、日本円にして70万円くらいで入手することが出来ました。これでヒマラヤよりも高い?ハードルを一つ乗り越えることが出来ました。荷物が届いてモノを確認した時の安堵感は半端では無かったです。
2023年07月09日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その2
このバイクがTFDにやって来た時はほぼバラバラ状態。エンジン等は分解されて箱詰め。その他部品も分解されて単独な状態でした。足りない部品も多々ありそうでしたし、果たして本当に生き返らせることが出来るのか?この時点ではかなり不安に思える状況でした。
しかし、画像のようにフレーム番号は#3番、エンジン番号もマッチングしていて#3番。フューエルタンクには当時このバイクに乗っていたワークスライダーのマウロ・ルッキアリ選手のサイン入りです。以上のことからこのバイクは飛びぬけて貴重な個体であることが窺い知れます。このバイクに関する履歴や書類は所持していませんが、フレーム番号が#3番ということで調べれば容易に素性が明らかになるのではないでしょうか?
また、かなりの量の純正新品部品も付属していました。例えば新品のアッパーカウル、サイドカウル左右、ラジエーター、クランクケース等、枚挙にいとまがありません。レストアに際してはこの他にも膨大な数の新品部品を使用しましたが、その全てをここで紹介することは不可能なのでそれらについてはレストア中の記事の中で紹介させていただきます。
2023年07月02日
DUCATI SUPERMONO スーパーモノ・レストア記 その1
DUCATI SUPERMONO …… 使い古された言葉ですが、宝石のようなバイクです。とある縁があってTFDにこのバイクがやって来たのはもう軽く10年以上前のことです。それが何時のことだったのか、もはや正確な記憶がありません。
TFDにやって来た時このバイクはかなりひどい状態で、とても走行できる状態ではありませんでした。レストレーションを行わなければとずっと思い続けていましたがなかなか手を付けることが出来ませんでした。機会があるごとに少しずつ手を付けていたとはいうものの、作業の進捗は思うようには進みません。
そんな状況の中、ようやくレストアが完了してとりあえずエンジンの始動にたどり着いたのが2020年の5月。初走行をFISCOで行ったのがその年の9月。その後ちょっと間が開いて次の走行を筑波サーキットで行ったのが2021年の11月。その次の走行が2022年の6月に行われたFISCOでのレースへの出場。走行履歴は以上が全てで、この時点までの走行距離は127kmです。
今回はこのバイクがTFDに来た時からの顛末、及びレストアの様子を詳しくご紹介します。今回の記事でこのバイクの素性を洗いざらいご紹介しますのでご期待ください。
また、私は将来的にあと何回かこのバイクでレースに出場しようと考えておりますが、その後は売却を考えております。ご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたらご検討いただけるとありがたく思います。よろしくお願い申し上げます。










































































































