2026年07月01日
毎度のピストン割れです
筑波の裏ストレートで急激なパワーダウンと発煙。その時の周囲の状況が許したのでそのままピットロードへ進入して帰還。パドックで試しにエンジン始動を試みると、エンジン始動はするもののエアインテークダクトからもくもくと煙がでます。オーナー様は慣れたもので特に驚愕することもなく、「この前のオーバーホールで費用をケチってピストン交換をしなかったらピストンが割れました!」と連絡がありました。
ピストンを取り外したコンロッドですが、割れたピストンの割れ目から吹き抜けた燃焼ガスがコンロッド小端を直撃しています。本来ならコンロッドも交換したいところですが、経験上機能的に問題が出ることは無いのでこのまま再使用します。ピストンは2個とも新品に交換で対応しました。無事な方のピストンも同じ条件で使用されてきたものですから、壊れた方だけ交換、は全くお奨めできません。 取り外したピストンの状態です。こういった壊れ方は考え方にもよりますが、自分としてはどちらかと言えば好ましい壊れ方だと考えます。何故なら壊れたことがすぐに判るのでそのまま使い続けて致命傷になることがありませんし、たいていの場合ピストンのみの交換でエンジンは復活するからです。勿論割れたりしなければ良いに決まっていますが、サーキット走行専用車であればノーマルピストンでも割れますからね。

ちなみにこの2点は999Rのノーマルピストンで、それぞれは異なる車両の別個体のピストンです。しかし双方とも割れ方は同じような印象を受けます。両者ともこの時点では体感的にエンジンの違和感は感じられず、定期的なオーバーホールで問題が発覚しました。 この状態が進行するとどのような状況になるかを予想すると、ピストンが砕けて最終的にコンロッド小端がフリーな状態になるのではないでしょうか。するとフリーになったコンロッド小端が周囲を叩き壊すということになります。エンジンへのダメージは計り知れません。そういった例も何件か見ています。
Posted by cpiblog00738 at
14:10
2026年06月21日
バルブトラブル

オーバーホール中のエンジンにバルブのトラブルが見つかりました。テスタストレッタエンジンのエキゾーストバルブですが、バルブの傘にクラックが発生しています。エンジンから取り外した状態ではカーボンで覆われているので判別できませんが、カーボンを落として研磨したところクラックが露呈しました。
逆側の燃焼室側から見るとクラックは1本だけではなく複数本存在していることが判ります。よく観察するとクラックは微細なものも含めて放射状に6本確認できます。めったにない事ではありますが、初めての経験ではありません。過去に数回目にしています。今迄の経験ではクラックが入ったのは全てエキゾーストバルブでした。やはり高温の排気ガスに直接さらされるストレスが原因だと思います。もう少し症状が悪化して、バルブの傘が部分的に包丁で切り分けたピザとかチーズケーキみたいな形状に割れ落ちて圧縮が無くなったエンジンにも遭遇した経験があります。 とりあえず交換しておきます。
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14:57
リアサスのオーバーホール
最近更新が滞っていて申し訳ありません。久しぶりの更新となります。オーリンズのリアサスをオーバーホールしています。リアサスのタイプとしては1990年代初頭のモデルなのでかなり古いモデルです。
世の中に販売された数が多い、性能が良い、部品の供給に問題が無い、輸入元のサービス体制が整っている、輸入元以外のショップでもメンテナンスが可能。これだけの条件が整えばオーリンズの天下はなかなか揺ぎそうにありません。
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14:38
2026年05月02日
エンジントラブルの続き

シリンダーヘッドを分解しました。ステムが曲がって動かなくなっていたバルブもちょっと叩いたところ苦労せずに取り外すことが出来ました。
今回2本のバルブが曲がっていましたが、驚いたことにガイドにはほぼダメージがありません。このままバルブを交換すればそのまま行けそうです。とは言ってもヘッドの屋根に穴が開いているので、それを塞がないといけませんが。
このエンジンは以前オーバーホールをした際にガイドの交換を行いましたが、ノーマルのガイドのままだったらこうはいかなかったでしょう。焼結の材料のガイドであれば100%割れていますし、そうでなくてもガイドが長穴になってしまうことが多いです。
ダメージを受けた部品です。ロッカーアームのスリッパー面のダメージが大きいです。メッキの剥離が無い他のロッカーアームにダメージはありません。一旦メッキの剥離が発生すると、その下の本体の材料はどんどん摩耗が進みます。ここまで摩耗が進んでバルブクリアランスが過大になると、エンジンの空ぶかしでチリチリ音が聞こえるようになると思われます。何かおかしいと思ったら大事になる前に点検するのが良いと思います。Posted by cpiblog00738 at
22:39
エンジントラブル
筑波サーキット走行中の出来事です。1コーナー進入時にブレーキをかけようとしたタイミングでバイクが失速。立ち上がりで加速しようとしたところエンジンが片肺状態となり、そのままグリーンに退避。その日のうちにTFDに入庫しました。
ひとまずエンジンの始動を試みると、かろうじて始動はするものの明らかに片肺でどちらかの気筒が機能していません。すぐにエンジンを止めてエキパイを触ってみると前バンクのエキパイが冷たいままです。つまり前バンクに問題が発生していることが判明しました。
前側のヘッドを観察するとプラグキャップの周りにオイルが出ています。プラグトラブルか?と思い、プラグキャップを外してみたところ、プラグホールの内部にオイルは存在せず、プラグキャップにもオイルの付着がありません。
ヘッドは振ると中で部品が踊ってカラカラと音がしていましたが、カバーを開けてみるとこれらが出て来ました。バルブアジャストシム、コッター溝から折損したバルブのコッター溝から上の部分、折れたクローズ側ロッカーアームのスリッパー面、折損したバルブコッターの一部、です。これだけ見るとまず最初にバルブの折損が発生したように思えます。
ヘッドの内部を覗いてみるとこんな眺めです。コッター溝で折損したバルブが見えますが、その上にあるオープニングロッカーアームのスリッパー面が激しく摩耗しているのがわかります。これはトラブルの瞬間にこうなったわけではなく、それなりの長い時間をかけて削れて行ったと思われます。相手のカム山も同様に摩耗が発生しており、この状態だとオープン側のバルブクリアランスはかなり大きい値になっていたと思われます。 正常であればバルブの開閉は静止状態からの動き出しの加速度は小さく、ある程度リフトしたところからの加速度が大きくなるように動作するようになっていますが、この状態だとそうはいきませんね。最初から叩き付けられて大きな衝撃を常に受けていたと思われます。根本的な原因はその衝撃と振動ではないでしょうか?
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08:39
2026年04月12日
ピストンが割れました
筑波走行中、シケインの立ち上がりでちょっとした違和感。そして2ヘアを立ち上がったところでパワーダウンと失速感。焼けたオイルの臭いと白煙に気付き、そのままピットロードへ。パドックでエンジン始動を試みるとエンジンは始動するもののカウルの中と排気口から猛烈な白煙。それに加えてエアインテークダクトから白煙が逆流して立ち昇ります。そこで外装を取り外し確認しましたが、カウルやベリーパンにはオイルの気配無し。
ということで、これはピストンが割れていると判断しました。ピストンの割れ目から燃焼ガスがクランクケース内に吹き抜け、それが白煙となってブリーザーからオイルキャッチタンク、エアボックス、エアダクトを逆流、という顛末です。

エンジンを開けてみると予想通りでピストンはこんな状態でした。週末がレースなので対応作業の優先順位の1番はDNSを避けること。新品ピストンの在庫は無かったのですが、幸い同じピストンの中古があったのでそれに交換することで対応しました。
事件が起きたのは水曜日でしたが、当日にバイク入庫、翌日納車、という対応で土曜日のレースには余裕で間に合いました。金曜日の走行も可能ではありましたが、天候の問題でそれはキャンセル。そして土曜日のレースも無事に走り切り、表彰台獲得。何よりの結果で良かったです。 当然ですが、次のレースまでにはピストンは2個とも新品に交換します。たまにピストンが割れるということは出力が出ていることの裏返しですから、このエンジンはレース用として上手く出来上がっていると判断できます。頻繁に割れるのであればそれはそれで何かが正しくないと判断せざるを得ませんが…。
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09:26
2026年01月17日
ミッショントラブル
ミッショントラブルで去年の秋から放置されていたTFD998R号ですが、突貫工事で復旧させました。開ける前から3速ギアが壊れたことは理解していたのですが、実際に壊れた部品をチェックしてみました。
実際に壊れたのはカウンターシャフト(スプロケットが付くシャフト)側の3速ギアでした。破片が2個足りないように見えますが、その2ヶ所の歯は相手側(メインシャフト側)のギアに少しずつ削られて、無数の針状の破片となって存在していました。
使用していたこのミッションは999RSの純正部品だったのですが、角度を変えて壊れたギアをチェックするとかなり肉薄な造りで、想定された伝達トルクに対して結構ギリギリの余裕で製作されたもののように見えます。このあたりが純粋なレース用部品たる所以ですね。エンジンを載せ替えて想定よりも1割以上出力が上乗せされたために起こったトラブルだと思われます。Posted by cpiblog00738 at
08:50
2025年08月28日
リアハブ修理

エンジンは元気がいいのにバイクが前に進まなくなった、というトラブルです。リアハブのピンが4本とも折損していました。直接の原因はホイールナットの緩みだと思われます。本来ホイール側に刺さるようになる4本のピンは駆動トルクの全てを受け止めるものではありません。ハブとホイールがナットによって締め付けられたことによって生じる摩擦力でホイールは固定されています。ナットが緩むとピンが駆動トルクの全てを受け持つようになるので、駆動トルクや加減速の衝撃などが原因でピンの折損が発生します。
スピンドルのハブに関してはピンを交換すれば済むので大したことではありませんが、ホイール側がえらいことになっています。空回りさせてしまった結果、ハブの当たり面が削れてしまいました。こうなるとこのホイールは使用不可です。スペアのホイールに交換です。
作業の途中で発覚したスプロケットダンパーの不具合です。中と外が完全に分離してしまっています。外れた部分が運良くスイングアーム側ではなくスプロケットフランジ側の方向に動いたために、エキセントリックハブを削らずに済んでいました。おそらく新車時から使っていたものなのではないかと推測します。新品に交換して事なきを得ました。Posted by cpiblog00738 at
18:16
2025年08月06日
クランクシャフトトラブル


あって欲しくない事ではありますが、サーキット専用車でレースを目的としているとたまにはこんなことが起こります。クランクシャフトは定期交換部品ではないので、クランクシャフトが折損するタイミングは予想がつきません。運が悪かったと思うしかないのですが、折れない個体は折れないのでクランクシャフトそのものが何かの問題を抱えていた可能性も否定できません。でもそれは目視では判別できません。
このような折損のしかただと、クランクシャフトがクランクケースを内部から外側に押し広げることになります。その結果、クランクケースにも致命的なダメージが及びます。こうなると被害は甚大です。クランクシャフトとクランクケース以外の部品が使用可能な状態であることを祈るばかりです。Posted by cpiblog00738 at
19:21
2025年08月04日
こんなのは初めて見ました
お客様がヤフオクで落札したエンジンがTFDに直送されてきました。ヤフオク落札エンジン直送というパターンは結構あって、その頻度は高いです。
届いたエンジンを早速分解しましたが、シリンダーヘッドを外したところピストンの真ん中に何か見慣れないマークが付いています。どう見てもスパークプラグのマークですね。(笑)前後シリンダー共に同じマークが付いています。プラグの位置をこのような視点から確認したのは初めてなので妙に新鮮で、本当にピストンのまん中なんだと感心しました。
それでシリンダーヘッド側はどうなっているのかと確認したところ、こんなになってました。プラグの先端は完全につぶれているというか、真っ平になっています。接地電極が2つあるタイプなので純正なのかな、と思いましたが、純正プラグでこんなことが起きるわけはないですね。それにこの位置にあるプラグの先端がピストンに干渉することはありません。
どんなプラグが付いているのか確認しようと、プラグホールの中を覗いてみました。すると見たことのないようなプラグが装着されています。工具がかかる部分は普通は6角なのですが、これは12角ですね。少なくとも純正ではありませんし、NGKやデンソーといったメジャーなものでもなさそうです。プラグの正体を確かめたくて、緩めて取り外そうとしましたが、緩める方向には回りません。
それでは、と逆に締め込んでみるとちゃんと回ります。プラグのシートが当たったと思われるところまで絞め込むと、こんなことになりました。(爆)この状態でクランキングさせたら当然ピストンと当たりますわな。要するにプラグのネジサイズが長いということですね。このエンジンにはネジ部の長さが19mmのプラグが採用されていますが、そこにロングリーチと呼ばれるネジ部の長さが26.5mmのプラグを装着してしまったようです。 良かれと思ってプラグを交換した後にセルを回したらカンカン音がしてエンジンは始動せず。交換したプラグに問題があると判断してプラグを取り外そうとしたところ、プラグの先端が潰れてリベット化してしまっていて途中からプラグは回らず取り外しは不可。その結果悩んだ挙句バイクは丸ごと解体屋行き、という悲しいことになったと思われます。
でも写真の状態のようにプラグ先端の潰れた部分を燃焼室から突き出した状態にして、潰れた部分をグラインダーか何かで削ってしまえばプラグは回るようになるので取り外すことは容易です。ピストンの方も大したダメージではないのでそのまま使用してOKでしょう。そうすればそんなに費用は掛からずにエンジンは復活して、バイクは乗れるようになったと思われますが‥‥。そんなにこのバイクに思い入れが無かった、もしくは好きではなかった、ということなのでしょうか?ちょっと悲しいです。
Posted by cpiblog00738 at
17:36
2025年06月08日
プラグトラブル

エンジン不調の原因はこれでした。NGKのレーシングプラグですが、左が新品、それ以外の2本が今迄使用していたものです。本来スラントタイプの外側電極が存在するレーシングプラグですが、2本とも外側電極が折損して無くなっています。
天下のNG製レーシングプラグですが、やはりこういったことは起こるのですね。使用距離は1,000km未満ですが、500km位で不調の兆候が発生し始めたことを考えると、その時点でトラブルが発生していたと思われます。電極が燃焼室に突き出しているものほど着火性能が優れているということで最近はこのタイプを使う場合があるのですが、次からは元々使用していたセミ沿面タイプに戻します。
Posted by cpiblog00738 at
11:05
2025年02月19日
作業場の床張り替え
ここ2週間ほど作業場の床の張替え工事を行っていました。既存の床はもともとの工事がずさんだったために平らではなく、おまけに脆弱で最近は痛みも激しく、我慢の限界を超えてしまったので思い切って張替えを敢行しました。この部屋に存在していたモノは全て隣の部屋に運び出し、隣の部屋は立錐の余地もありません。おかげで仕事はこの期間中完全にストップしてしまいました。お客様に多大なご迷惑をおかけして申し訳ありませんでしたが、この度やっと工事が終了し、通常通りの営業に戻りました。これから仕事の遅れを取り戻すように精進します。しかし何もない部屋は広いですね。モノが運び込まれてまた狭くなってしまうのは残念な感じがします。 Posted by cpiblog00738 at
11:55
2025年01月01日
998Rレストア-7

シリンダヘッドの組み立て作業に取り掛かりました。まず気になるのがカムシャフト軸受けに残された痕跡で、カムシャフトとの当たりの強さが気になります。この痕跡はカムプーリー側の軸受けに散見されます。理由は明白で、タイミングベルトのテンションで2本のカムシャフトが内側に引っ張られてその結果軸受けに強く押し付けられるからです。ベルトの張り過ぎ?とも言えますが、メーカーの指定値で張り調整するとだいたいこんな感じになりますから、メーカーとしては想定内なのかもしれません。これが原因となって壊れてしまうことは無いと思われます。しかし軸受けの状態を目の当たりにしている自分としてはやはり気持ち悪いので、ベルトのテンションはかなり弱めに調整することが多いです。
テスタストレッタエンジンの場合はカムが軸受けに直接載っていますが、デスモクアトロエンジンの場合はカムをボールベアリングで支持しています。この場合でもカムを支持しているベアリングが内側に押し付けられて、その結果ベアリングのハウジングの内側の当たりが強く、ヘッド側のアルミがツルツルピカピカになっている場合が多いです。そうなるとおそらくハウジングの真円度も崩れていると思われます。

シリンダヘッド組み立て中です。この眺めは随分昔にフェラーリのエンジンの写真で見た記憶があります。何のエンジンだったかは記憶にありませんが、もしかするとプロトタイプで実際に車体に載って公道を走ることは無かったエンジンなのかもしれません。フェラーリの場合は片バンク6発ですから、これが6連装ということでかなり凄い眺めだった記憶があります。要するにテスタストレッタは元々フェラーリのテクノロジーだったということになるのでしょうか?
シリンダヘッドが完成しました。組み立てにかかる時間はデスモクアトロヘッドよりもこちらの方が短時間で済むことが多いです。それは構造上テスタストレッタヘッドの方がバルブクリアランスの調整がやりやすいからだと思います。
エンジンの腰上を組み立てます。シリンダスタッドボルトの溝にはオーリングが取り付けられてエンジンオイルがスタッドの穴に侵入しないような構造です。しかし稀な例ですが、クランクケース内の内圧でエンジンオイルがこのオーリングのシールを突破してスタッドボルト内に侵入し、結果としてヘッドナットの周りからオイルが漏れることがあります。 使用されている純正のオーリングの規格はAS568-011で内径φ7.65mm、線径1.78mmです。似たような大きさのオーリングでP8という規格のものが存在していて(こちらの方が一般に良く知られていると思います)、こちらは内径7.8mm、線径1.9mmです。こちらの方がちょっと太い感じですよね。ちょっときついかな?くらいのフィーリングで普通に組めるので、自分の場合はこのオーリング(材質はFKM-70、所謂バイトン)を使って組み立てることが多いです。随分長い事使っていますが、効果は有るみたいでヘッドナット迄オイルが上がって来るトラブルは今のところ皆無です。勿論オーリングが収まる場所に異物が入り込まないように気を使って組みたてるのが大切なのは言うまでもありません。

ということで漸くエンジンが完成しました。外観も綺麗になってレストア前と比較すると見違えるほどです。ウォーターポンプのホースユニオンはアルミ製のものに交換済みです。オリジナルはスチール製で錆びるのが早く、何時も何とかしたいと思っていましたが、2000年代後半からアルミ製の純正部品が入手可能になり、それからはデフォルトでアルミ製部品に交換するようにしています。
早速エンジンを車体に載せています。冷却水のホースはサムコのシリコンホースです。デフォルトの色は青ですが、やはり黒の方が雰囲気が良いと思います。高価なホースではありますが、今や純正部品だと廃番で入手不可なものも混在しますし、有ったとしても価格は税込みで6万円を超えますから選択肢としてはサムコをはじめとする社外部品とならざるを得ません。 写真ではエアボックス無しの状態でファンネルやインジェクターが装着されていますが、この状態でとりあえずエンジンの始動を試みます。この状態であれば調整ともし不具合が出現した場合への対処が容易であるからです。
そして先程外部の燃料タンクを接続してエンジンの始動を試みましたが、やはり初期トラブルは出現しました。想定内のトラブルでしたが、前側気筒のインジェクターが燃料を噴きません。目視できる状態で作業しているので一目瞭然です。もしエアボックスとタンク等が装着された状態であれば不具合の原因の特定にかなり余計な時間を費やすことになったでしょう。トラブルの原因は長期間放置されたことにより燃料通路内部に残留していたガソリンがガム化してインジェクターノズルが固着したことによるものです。重症の場合はインジェクターを取り外して清掃することになりますが、今回は無理やり片肺のままエンジンを始動させるとエンジン始動とともに眠っていたインジェクターの方も目を覚ましました。クランキング時のインジェクターへの開弁信号の数はたかが知れいていますが、エンジンが始動すれば送られる信号の数が桁違いに多くなるのでびっくりして目覚めるんでしょうね。(笑)
ところで申し遅れましたが、
皆様、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。
今日は午後イチからエンジン始動に向けていろいろと作業をしておりました。スロットルボディーの初期セッティング中にスロポジの不具合が発覚し、部品を交換したりと想定外の事態もありましたが結果的に無事にエンジンの始動と調整を終えることが出来ました。
作業が遅れてお待たせしてしまっている仕事が多々あり、お客様にご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。遅れを取り戻すのがとりあえず年初の目標となります。何卒宜しくお願い申し上げます。
さ〜て、酒、酒、と。
Posted by cpiblog00738 at
18:13
2024年12月29日
998Rレストア-6

分解したシリンダヘッドを点検していてちょっとした問題が発覚しました。写真には穴が5個写っていますが、左右両端はスタッドボルト用の穴で、それ以外の3個の穴は冷却水の通路となる穴です。相手側のシリンダーに設けてある水穴の位置が冷却水による変色ではっきり認識できます。中央の穴以外は明らかに穴位置が合っていません。
特にこの穴は完全に塞がれている状態です。998Rの場合、ヘッドガスケットは溝にはまったウイルスリングでシリンダーとヘッドの面はアルミが直接接触していますからこのように冷却水が触れていた痕跡が明白に残ります。穴がずれているとはいえ、かろうじてシリンダー側の溝に存在しているオーリングの内側に位置しているので水漏れが発生していないのは何よりですけど。
対策として水穴のとば口を削って広げ、冷却水の通路を確保しました。実は998Rの場合このトラブルの頻度は高く、同様な例を幾つか見ています。前述した、新車のエンジンでも幾つかのトラブルを抱えたまま組み上がっている場合があります、というのは例えばこういったことなのです。
カーボン等の汚れを落とし、ヘッド面もすり合わせをしたシリンダヘッドです。ちなみに水穴の大きさですが、インテーク側の3個は小さくエキゾースト側の3個は大きいのが判ります。インテーク側は燃焼前の混合気で冷やされ、エキゾースト側は燃焼ガスで熱せられるのでこのように水穴の径を変えることで冷却水の流量を調節し、ヘッドの温度が均一になるように調整しています。とはいえ穴が塞がっていたらダメですけど。
バルブステムシールを取り外しましたが、ステムシールの一部のゴムががる部ガイドに焼き付いています。わざわざステムシールを取り外したのはガイドを抜く時にガイドを燃焼室側に抜きたかったからです。ステムシールが付いた状態だと燃焼室側に抜くことが出来ません。何故燃焼室側に抜きたいかというと、特にエキゾーストガイドの排気ポート部分にはカーボン等が付着していてそれを完全に除去するのは困難で、その状態でガイドをカムシャフト側に抜くとシリンダヘッドのガイド穴にガイドに固着したカーボンによるキズが発生する可能性があるからです。
こちらはバルブです。カーボン等の汚れを磨いて落とし、バルブフェースをバルブグラインダーでリフェース済みです。バルブの単価が安ければ新品バルブを使用するのが妥当ですが、バルブの新品価格は万単位ですから、バルブステムが明らかに痩せているとか曲がりがあって首を振っている等の不具合が無ければリフェースしての再使用が妥当です。
新しいバルブガイドを取り付け、ガイドの穴径をバルブステムの径に合わせてリーマで広げて合わせます。リーマは6.95mmから初めて、次に6.96mm、6.97mmと0.01mmずつ大きくして行ってバルブが通って自由に動くようになったところで終了します。ということでバルブガイドとバルブステムのクリアランスは0.01mmと言って良いと思います。実際にはもう少し大きい感じがしますが。 この狭いクリアランスを確保できるのはバルブガイドがベリリウム銅合金で製作されているからです。この材料はクリアランスが小さくても焼き付いたりせずにスムーズにバルブが摺動します。他の材料でこのクリアランスは危険かもしれません。
そしてその後にバルブシートをリフェースします。ガイドを交換してバルブの角度がそれまでとは多少なりとも異なるので、そのままではバルブフェースとバルブシートが密着せず、圧縮を確保できません。写真のリフェース中以外の3ヶ所は既にリフェースとすり合わせが終了して、バルブフェースとバルブシートの当たりが良好であることを確認済みです。

ガイド交換、シートのリフェース、すり合わせ等の一連の作業が終了したシリンダヘッドです。ノーマル状態のままだとインテークバルブシートのポート側はポートの内側に出っ張っている状態なので、混合気の流れを阻害しないようにその部分を修正してあります。これでヘッドの組み立て準備が完了です。Posted by cpiblog00738 at
09:58
2024年12月28日
998Rレストア-5

さて、これはクランクシャフトギアを取り付けているM24のナットです。こういったナットの表裏って考えたことがありますか?一見表裏の区別は無く見えますし、ぶっちゃけどっちから組み付けても大差ないと言えばその通りです。
おそらくこうしたナットは元々はとても長いナットで、それを切り落として製作しているのだと思います。端面を仕上げて突っ切りの刃物で切り落とし、端面を仕上げて突っ切りで切り落とし、の繰り返しなのではないでしょうか。端面を仕上げた面が綺麗に仕上がっていて、反対側は切り落としたままの状態、ということではないかと思います。
何はともあれ、自分の場合はナットの平滑な面を対象物に向けて組みようにしています。実際問題としてはどっちの面を対象物に向けて締めても大差ないと言えば大差ないと思いますし、気持ちの問題と言えばそれまでですけど。
エンジンの右側です。1次ギア、オイルポンプ等が存在します。クランクシャフトギアはクランクシャフトのスプラインに挿入して固定されています。昔のタイプのエンジンはシャフトとギアの穴がお互いテーパーになっていて、ギアを取り付けてナットを締め付ければ勝手にセンターが出ますが、スプラインだとシャフトとギアの間に隙間というかガタがあるので、何も気にせずにナットを締め付けるとギアのセンターが出ません。その結果1次ギア(クランクシャフトギアとその相手側ギア)のバックラッシュが狭いところと広いところが出現してしまい、極端な場合はクランクを回転させると一か所だけ回転が重く回りにくくなる場所が出現します。なのでクランクシャフトギアを締め付ける時はギアのセンターが出ているかどうかを気にしながら作業することになります。
こちらはセルモーターです。走行距離が少ないので問題は無いと思いましたが、念のため分解してチェックします。その結果、ブラシの残りも十分で特に問題はありませんでした。コミュテーターは研磨仕上げ、断面が潰れてきし麺状態になってしまったオーリング類は交換します。
スターターのフリーホイール、ワンウェイクラッチとも呼ばれている部品です。こちらも走行距離が少ないので大したダメージはありませんが、予防整備の観点から新品に交換することにしました。右側が新車時に組まれて今迄使用していたもの、左側が現在の新品です。仕様は時とともに進化していて、形状が異なります。最新の部品の方が性能的にも進歩していると思われる点も、あえて交換する理由です。
シリンダーヘッドを分解しました。特に問題らしき要素はありません。ただやはりバルブガイド、特にエキゾースト側は低走行にもかかわらずかなり消耗しており、ガイドとバルブステムのクリアランスは大きくなっていました。Posted by cpiblog00738 at
23:39
2024年12月27日
998Rレストア-4

こちらはクラッチ関係の部品です。スリッパークラッチではなく、ノーマルクラッチです。ノーマルクラッチはクラッチドラムの内部に12個のゴム製ダンパーが存在し、それらによって加減速のショックを吸収する構造になっています。これはこれで優秀です。
ミッションのメインシャフト(クラッチが付くシャフト)です。こちらも特に問題はありません。同様にサークリップと痛んだグルーブワッシャーは交換します。このシャフトのセンターは穴が貫通していてその中をクラッチのプッシュロッドが通ります。そのプッシュロッド用のニードルベアリングとオイルシールも交換です。
クランクシャフトからコンロッドを取り外しました。コンロッドに問題は無く、状態は良好です。しかし大端メタルの状態を確認したところ、こちらはそれなりの消耗具合です。走行距離にしてはメタルの状態は良くありません。原因は不明ですが、使用していたオイルが原因でしょうか?それともメタルクリアランスが正しくなかったのでしょうか?今となっては原因は不明です。
メタル合わせを行い、適正なメタルクリアランスでコンロッドをクランクシャフトに組み付けました。今回のメタルクリアランスは0.051mmと0.050mmでした。レース専用車の場合は0.055〜0.060mmにとりますが、街乗りメインであればこのくらいが適正だと考えています。スチールのコンロッドであればもう少しクリアランスを狭く取りますが、チタンコンロッドの場合は熱膨張が少ないので数値は大きめです。
クランクケースに内部部品を仮組して各シャフトの位置をシム調整によって決定します。どのように調整するかと言いますと、クランクシャフトの場合は適正なイニシャルプリロードがかかった状態でコンロッドがシリンダーの中央に位置するように、ギアシャフトの場合は各ギアのシフト時にドッグの嵌り具合が適切になるようにです。ミッション関係はシフトフォークの曲がりが無いか、曲がっていてもシム調整の範囲で正しく機能させることが出来るかどうか、この辺は経験値がモノを言います。Posted by cpiblog00738 at
12:14
2024年12月21日
998Rレストア-3

クランクケースを洗浄して点検しています。何も問題はありません。通常モデルの金型のクランクケースと比較すると、砂型のクランクケースは無骨な印象です。
こちらはエンジンの右側に付く部品群です。既にメンテナンス済みで、交換する消耗部品は取り外されています。左下の部品はオイルポンプ本体とカバーですが、カバーの取り付けに問題がありました。それ以外は特に問題はありませんでした。
オイルポンプ本体とそのカバーですが、この個体はカバーの取り付けボルト6本の締め付けが異常に弱かったです。ボルトを緩めた時に受けた印象だと、おそらく締め付けトルクは3Nmくらいだったのではないでしょうか?何が原因でそうなったかは不明ですが、カバーが外れなくて良かったです。カバーが外れかかってオイルがその隙間から逃げるようになると、急激な油圧低下が発生しますから、その結果エンジンに重大なダメージが発生します。
こちらはエンジン左側のカバー類です。特に問題は無く、状態は良いと感じます。冷却水ホースが刺さるスチール製のユニオンはアルミ製の部品に交換します。スチール製の部品は時が経つと必ず腐食して酷い状態になるので苦労が絶えなかったのですが、アルミ製の純正部品が手に入るようになってからは問答無用で交換です。
さて、シリンダーの作業に取り掛かりました。まずはシリンダーヘッドガスケット、というかリング状のシールリングを取り外します。以前の記事で「こういうのはやめてください」みたいなのがあったと思いますが、このガスケットリングをどうやって取り外すかといいますと、私はこのように作業しています。 リングは内部にガスが封入されている状態なので構造としては中空です。そこでドリルで小さな穴を2ヶ所開けて細い針金を通します。
Posted by cpiblog00738 at
23:15
2024年12月15日
998Rレストア-1

現在取り掛かっている大仕事は15〜16年間放置されたバイクのレストアです。そのバイクは998R。オーナー様が仕事の関係で海外を飛び回っているうちに、気付いたらいつの間にかバイクは放置状態になってしまっていたという状況です。海外で活躍されている方の場合、このパターンは多いように感じます。走行距離はたったの7,036km!これは何が何でも綺麗に仕上げないといけません。
入庫したのは数か月前の事でしたが、他の作業はさておき、何よりも優先で行ったのはガソリンタンク内の状態確認です。場合によってはタンク内部に残っていたガソリンが腐って物凄い異臭を発し、内部のホース類は融けて崩壊、ポンプ本体も腐食で再起不能、おまけにタンク内部に施してあるコーティングが腐食して丸ごと剥がれ落ち、と言った悲惨な状態になります。しかし幸運なことに、この個体に関してはそんなに悲惨な状態になってはいませんでした。 純正のプラスチック製フューエルコネクタも金属製に交換します。リアのシリンダーヘッドの上にガソリンが滴った痕跡が明らかなので、燃料漏れが発生していると思われます。
タンクの内部は意外に状態は良好で、安心しました。
リアウインカーの配線もかじられています。どうやら放置期間中にネズミさんが出入りしていたようですね。
Posted by cpiblog00738 at
14:12
2024年10月15日
888コルサエンジン再生-9

エンジン左側のカバーを組み立てます。写真は発電機のコイルです。クランクシャフトに取り付けてある発電機のローターはコルサ専用の幅が狭い軽量タイプなので、本来であればカバー側にもそれ専用の幅の狭い専用のコイルが使用するべきなのですが、今回はあえて幅の広いストリート用のコイルを組み合わせることにします。コルサ純正の発電機の出力は180Wということになっていて、現在においては若干出力が不足している印象が否めません。メーター、ラップタイマー、シフター、等の装備を後付けするのが一般的になっています。最近使われることが多いリチウムバッテリーも鉛バッテリーと比較して高めの充電電圧を要求してきます。180Wの発電量だと発電不足で、例えばコースインゲートでアイドリングさせながらコースインを待っていたらバッテリーが上がってエンジンが止まってしまった、というような実例も幾つか見ています。かといってローターまでストリート用にしてしまうのは気分的に躊躇してしまうので、今回はコイルのみ大型にしてみました。少しは発電量が多くなると期待しています。使用する916系アルミ製のカバーもストリートバイクの部品なのでそのままコイルが取り付け出来るのも都合が良いです。コイルからのケーブルは新たに引き直しました。
組み立てが終了したエンジン左側カバーです。ウォーターポンプのローターとカバーは916系のものを使用しています。それ以前のモデルの部品からローターの翅の形状が改善されて特にエンジン回転が低めの時の冷却水圧送効率が上がっているということです。翅の形状が変わったのでウォーターポンプカバー内部の形状もそれに合わせて変更が施されています。 それとお伝えし忘れていましたが、エンジンマウントボルトの太さが888はφ10mm、S4は12mmです。ということでこのエンジンのクランクケースに開いている穴の大きさはφ12mmです。性能の事だけ考えるとフレーム側の穴をφ12mmに広げてφ12mmのエンジンマウントボルトを使用するのが良いと私は認識しています。経験的に車体剛性がかなり上がる効果があるようで、888系レースバイクの持病であるストレートでの振られ等も明らかに改善されます。しかしまず今回はオリジナルのコルサフレームに改造はしない方向性で進めたいので、クランクケースの穴にカラーを挿入することでオリジナルのφ10mmのマウントボルトを使用することにします。
以上で今回のレポートは終了です。次はまた別の話題性のある?バイクについてのレポートを掲載する予定です。
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10:09
2024年10月11日
888コルサエンジン再生-8

こちらはクランクケースのシリンダー取り付け面に存在するオイル通路です。実際には使用されていないのですが、何故か2001年前後のエンジンには車種によってはこのオイル通路が存在している場合があります。実際にこのオイルラインは生きていて油圧がかかる場所となっており、そしてここに取り付けられるシリンダー側にはオイル通路が存在せず、オイル通路はここで行き止まりとなっています。しかしシリンダーベースガスケットに塗布された液体ガスケットのみでシールしてあるためにオイル漏れのトラブルが頻発します。そのトラブルの原因をつぶしておくためにこの穴にネジを切ってボルトで封印しました。
シリンダーヘッドガスケットです。シリンダー径がφ94mm用ですが、右が当時モノ(当然ですが現在は廃番)、左が現行品です。ご覧になるとわかりますが、厚さが異なります。旧タイプの厚さは約1.2mm、現行品は約0.45mmです。オリジナルを優先するのであれば旧タイプを使用するべきなのでしょうが、今回は実際にレースで走らせようというエンジンですから信頼性が高いメタルガスケットの現行品を使用します。
現行品を使用するとヘッドガスケットの厚さが約0.75mm程度薄くなり、その結果スキッシュクリアランスに問題が発生します。それに対応する調整はシリンダーベースガスケットの厚さを変更して対応します。写真のようにシリンダーベースガスケットには数種類の厚さが異なるものが存在します。コルサの純正部品にはこの他にも0.25mm、0.35mm、というものが存在しましたが、現在は廃番になっています。目指すスキッシュクリアランスを得るためには複数枚を重ねて使用することもあります。この手のベースガスケットはガスケットというよりはスキッシュ調整用のシムとして認識した方が正しいかもしれません。
今回は厚さ1.0mm(正確には0.99mm)のベースガスケットを組んでスキッシュクリアランスが約1.03mmとなりました。これに関しては実際に組んでスキッシュクリアランスを実測しながらの調整が必要で、結構手間がかかります。今回は前後とも同じベースガスケットとなりましたが、前後で異なる厚さのガスケットが必要になることの方が実は多いです。
タイミングベルト周りの部品を取り付けて、バルブタイミングの計測と調整を行っています。この手のバイクの場合、バルブタイミングはカムシャフトとタイミングプーリーの位置決めを行う特殊な形状のキーを使用します。スタンダードのストレートなキーを使用することもありますが、段差が設けられていてプーリーの取り付け位置を故意に変化させるオフセットキーというものを使用する場合が多いです。Posted by cpiblog00738 at
12:16
2024年10月10日
888コルサエンジン再生-7

シリンダーヘッドの作業を開始します。分解したシリンダーヘッド構成部品です。緑色の陽極酸化処理が施された部分がある部品はマグネシウム製です。ロッカーアームのスリッパー面のメッキ剥離はありませんでした。ただしロッカーアームに関しては外観の色がまちまちで、メッキの剥離のために後から交換されたであろうものも幾つか混在しています。

バルブです。綺麗に磨いた後にリフェース済みです。この当時のコルサのバルブには「C.MENON」の刻印が入っています。憧れの部品でしたね。材質はニモニックと呼ばれる耐熱鋼で、耐熱温度は900〜1,100度と言われています。そういえば昔エンジンダイナモでコルサエンジンを回していた時に、排気温度をモニターしていたら軽く900度は超えていましたからバルブの焼損を避けようと考えるとこういった材質のものが求められたのだと思います。ちなみにバルブの傘径はINがφ36mm、EXがφ31mmです。
バルブシートのリフェース中です。この写真は一番外側の段差になった部分をなだらかになるように切削しているところです。このエンジンのバルブシートはポートの断面積を広く確保する目的のためだと思いますが、特に当たり面の内側に余裕がなくギリギリです。そのためにガイド交換をしてバルブの角度が少しでも変化すると当たり面の確保が難しかったです。
ピストンリングです。合口のピン角を黒染め?の色が落ちるくらいに軽く耐水ペーパーで磨きました。左側がオリジナルのまま、右が磨きを行った合口です。ごく稀にですが、このピン角が何かのきっかけでリング溝に食い込んでトラブルが発生した経験があるからです。
これは前述したトラブルの写真です。このエンジンではなく別のエンジンに使用していたピストンです。オイルリングの溝に問題が発生しているのが判ると思います。リング合口のピン角がリング溝に食い込んで行って、その結果リングの合口が重なるという結果になりました。そうするとリングの張力は保てませんから盛大なオイル上がりが発生します。Posted by cpiblog00738 at
18:27
2024年10月04日
888コルサエンジン再生-6


左の写真はメンテナンスのためにセルモーターを分解したところです。セルモーターはTFDに在庫がかなりあるので、その中から時代的に合致するもので程度が良さそうなものを選択しました。
右の写真はメンテナンスが終了し、組み立てる直前の写真です。コミュテーターは研磨してリフレッシュしました。オイルシール、ブラシセット、オーリング類は新品に交換です。
エンジン左側の部品は一通りメンテナンスが終了したので組み立てました。タイミングギアが軽量穴も無くコルサっぽくないですが、コルサの純正部品なのでそのまま再使用しています。シフトアームとシフトリターンスプリング2個は新品に交換済みですが、これらに関しては調整に苦労します。特にシフトアームは当時の部品と若干形状が変わっていて、そのまま組むとシフトダウンが上手く作動しない例も見受けられます。それについての調整は現物合わせとなり、苦労します。
オイルポンプです。左がS4、右が888コルサの部品です。取り付けや外観はほぼ同一と言って良いですが、細かい相違もあります。ギアの形状が異なるのは一見して判りますが、矢印で示した穴の大きさが違います。この部分はオイルの吸い込み口で、オイル吸い込みの効率を上げて油量を確保しようという意思が現れています。ちなみに内部の通路も広がっています。
こちらは反対側からの眺めですが、こちら側から見た双方の形状は大きく異なります。左のS4の方は凸部分に新たな機構が追加されています。これは油圧のレギュレーターで、油圧が高い場合にリリーフバルブが開いて油圧を適正値にコントロールするようになっています。888コルサ等の当時のエンジンにもこういった機構は存在していましたが、それはクランクケース左右の合わせ面に存在していました。ポンプ本体にこの機構が備わっていた方がメリットが多いのだと思います。
そして今回使用しているクランクケースはS4の部品なので、クランクケースの合わせ面にリリーフバルブは存在しません。ということで今回使用するポンプは必然的にS4の部品ということになります。ギアの取り付けには互換性がありますから、ギアをスワップして対応します。
クラッチ側のカバーはコルサ純正のマグネシウム製カバーをそのまま使用します。しかしオイルポンプの形状が変わってカバーと干渉する部分が出現するので、その点は対策が必要です。矢印の部分がそれです。リューターでちょっと削って対応します。Posted by cpiblog00738 at
16:51
2024年10月03日
888コルサエンジン再生-5

こちらはシフトドラムです。下から、今迄使用していた888レーシングのオリジナル、ST4に使用されていたST4のオリジナル、999系のオリジナル、です。シフトドラムが回転した時の位置決めストッパーの機構が、888の場合は右端、ST4と999は左端、になります。また、よく観察するとシフトフォークを動かす溝の形状も異なるのが判ります。888とST4は同一形状ですが、999だけ溝の形状がスムーズというか直線的でガクガクしていません。時代が進むにつれて進化しているということです。今回はシフトフィーリングを優先して999系のシフトドラムを採用することにします。
ミッションのカウンターシャフト(スプロケットが付くシャフト)です。写真は888コルサのオリジナルのレーシングミッションです。レースで使用した場合によくみられるシャフトの曲がりは皆無です。ドッグの傷みも非常に少ないです。意外にもかなり状態が良かったのでこのまま使用します。もちろんサークリップや痛んだワッシャー等の消耗品は新品に交換します。
ミッションのメインシャフト(クラッチが付くシャフト)です。こちらも問題ありません。状態は良好です。このシャフトにはクラッチのプッシュロッドが通るので、そのためのニードルベアリングとオイルシールが存在します。サークリップ等と合わせてそれらも新品に交換します。 次にエンジンのセルフスターター機能を取り付ける作業に取り掛かります。前述したようにコルサにその機構は存在しません。この当時は押し掛けがデフォルトです。普通に対応しようと考えると、P7、P8タイプのECUが使われているストリートバイクのフライホイール周りを移植するのが手っ取り早いです。例えば851/888系、916SP/SPS系、等のバイクの部品です。
そして右がストリートバイクのそれです。ストリートバイクの部品の方は鋳肌もむき出しで残っているし、自分の評価としてはレース用部品としてイマイチです。
そこでコルサ純正フライホイールを加工してストリートバイクの純正フランジ等の部品と組み合わせ、格好良いフライホイールAssyを製作することにしました。旋盤でコルサ純正フライホイールを加工しています。そこそこ硬い材質なのでチップを何度か交換しながら、飛散する非常に熱い切粉と格闘しながらの作業です。 右はそれらを組み立てたところです。ちゃんとしたレーシングパーツになりました。
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10:41
2024年09月22日
888コルサエンジン再生-3
こちらはコンロッドです。94年型926レーシングからチタンコンロッドになりますが、この93年型は削り出しH断面のスチール製です。コンロッドボルトも特殊なもので、指定されている締め付け方法は3段階で、15Nm→38度→38度、その際の伸びが0.13〜0.17mm、というものです。チタンコンロッド用のPankl PLB07グリスを使用して上記の締め付けを行ったところ、要したトルクは4本とも75Nm前後でした。
このコンロッドには中心に貫通したオイル穴が存在します。クランクピンを潤滑したオイルがコンロッド大端からオイル穴を通って小端に達してピストンピンを潤滑します。ストリートバイクでも916SP、916SPS’97にこの方式が使われています。いずれもスチール製削り出しH断面のコンロッドです。ハーフメタルに穴が2個開いていて、そこから進入したオイルがコンロッド側の溝を通って穴に入って小端に運ばれる、というシステムです。この方式はその後採用されなくなってしまいましたが、その理由は不明です。チタンコンロッドになると貫通穴を開ける難易度が高いのか、それとも大端から少なからずオイルが逃げるので大端部の油圧低下を避けたいと考えたのか、真相は不明です。
クランクシャフトにコンロッドを取り付けました。ちなみにクランクシャフト両サイドのシムですが、左右シムの厚さを調整してクランクシャフトの位置を決定します。まず最初の目的は、コンロッドがシリンダーの中央に位置するようにするということです。自分の場合はクランクケースのシリンダースカートが入る穴の側端面からクランクシャフトのピン横の立ち上がり面までの距離を計測してその数値を根拠に調整しています。4か所で計測することになりますが、そのうちの2個ずつが同じ数値になるように目指します。しかし理想通りの数値になることはまず皆無で、如何にして妥協するかということになります。それでも誤差は0.1mm程度になるのが普通です。そしてこの説明では何を言っているか判らないという方が殆どだと思うので、ちゃんと理解したいという方は直接お尋ねください。 それに加えてもう一つのシム調整の目的は、クランクケース左右を合わせて組み立てた時にクランクシャフトに0.15mm程度のプリロードがかかるようにするということです。
Posted by cpiblog00738 at
19:03
2024年09月17日
888コルサエンジン再生-2

ピストンは純正新品を使用することになりました。今となっては非常にレアで入手は困難を極める部品です。さすがにTFD在庫ではなかったのですが、かなり以前からその存在は把握していたので今回はお客様にそれを直接購入していただき、TFDに直送してもらいました。
さて、シリンダーヘッドです。ヘッド面を摺合せしてリフレッシュし、バルブガイドは交換のために取り外しました。ヘッド面はかなり荒れていて綺麗ではなかったのですが、定盤の上で擦り合わせを行って対応しました。フライス盤を使用して機械加工での面研も考えましたが、その方法ではどうしても最小限の切削とはならずに削り過ぎてしまう傾向があるのでこの方法を選択しました。定盤の上での擦り合わせであれば消したい傷を確認しながら作業が出来ます。ただし斜めに削ってしまってはまずいので、その辺は経験とカンの世界です。
取り外したバルブガイドです。左側がインテーク、右側がエキゾーストですが、今回は取り外す時にインテーク側4本が異常に容易に抜けてしまいました。抜いたガイドを観察すると、通常通り正しく勘合していたと思われるエキゾーストガイドは勘合部全面に綺麗なアタリが付いているのに対し、インテークガイドには明らかにヘッド側と接触していなかった部分が認められます。勘合しろが少なかったということですね。これに関してはヘッド側の穴径を計測して正しい勘合しろが獲得できる新品ガイドを挿入しますからそれで問題は解決します。
さてこちらはクランクシャフトです。前述のように当時のコルサにはセルフスターター機能が無く、押し掛けがデフォルトであるとお伝えしました。そのためにストリートバイクには当然備わっているスターターワンウェイクラッチ潤滑のためのオイル穴がコルサのクランクシャフトには存在しません。セルモーターを取り付けて機能させるためにはこのオイル穴の加工が必須です。矢印の穴が今回後から加工したオイル穴ですが、これが非常に緊張を伴う作業なのです。軸の中心を通っている穴径は車種により若干異なり、5〜6mm程度です。図面では6.25mmとなっていますが、どうもその数字はその限りでは無いようです。それはともかくとして、φ2.5mmのドリルで残り2mmで貫通するところまで穴を開けます。そして残りの2mmはφ0.8mmの穴を開けます。φ0.8mmというのがオイル流量調整のための大きさです。なのでφ0.8mmのドリルのみで貫通させてもOKなのでしょうが、それは技術的にかなり難しいと思われ、ストリートバイクの純正クランクシャフトも例外なく途中までφ2.5mmでその先がφ0.8mmとなっています。 これがまだ熱処理前の状態なら容易な作業なのでしょうが、後から加工する場合は当然ながらクランクは熱処理後なのでとにかく硬いのです。φ2.5mmのドリルは通常のものでは歯が立たないので超硬タイプを使用します。こういった加工物に対する超硬タイプの切れ味は確かに段違いなのですが、その代償として超硬タイプのドリルは靭性が低いのです。解りやすく言うと折れやすい、欠けやすい、ということです。穴開け時にこじったりして垂直方向以外の力が加わると容易に折れます。折れれば当然ながら折れた先の部分が加工物の中に残ります。何せ超硬ですから、それの除去は非常に困難です。そのためにこのφ2.5mmのドリルでの穴開け作業は異常な緊張感の中で行われます。
残りのφ0.8mmの方はごく普通のドリルを使います。φ0.8mmのドリルは細いので加工物に押し付けると容易に撓み、超硬であればドリルは即折れてしまいます。通常のドリルは多少撓ませたところで折れません。それとクランクシャフトは表面に近いところの硬度が高く、深いところの硬度はそんなでもない、という事実があるからです。これはクランクシャフトも超硬ドリルと同様で、全体を硬くすると靭性が得られず折れやすくなります。剛性と靭性をバランスよく確保するために表面近くは硬く、内部はそこそこ柔らかく、という構造になっているということです。
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10:59
2024年09月14日
888コルサエンジン再生-1
今回は1993年の888コルサエンジンのレストアです。コルサエンジンというふれこみで入手したのですが、実際のところ素性が不明でそれが本当かどうかは開けてみてのお楽しみ?という状況でした。とにかく開けてみないと何も進展しないのでとりあえず分解しました。
一通り分解しましたが、結果としてちゃんと888コルサのエンジンでした。胸をなでおろしました。それじゃどうしましょう?とオーナー様と相談した結果、ちゃんと組み上げて現在走らせているレースバイクのエンジンと載せ替える、ということになりました。
一通り部品をチェックしていくと、この年式だとコンロッドはチタンではなくスチールの削り出しH断面。クラッチカバーは緑色の陽極酸化処理が施されたマグネシウム製。これは純正部品ですね。エンジン左側カバーも茶色の陽極酸化処理が施されたマグネシウム製。これも純正部品ですが、これは当時から1〜2年使用すると冷却水に触れているウォーターポンプ周りに腐食が発生して穴が開き、冷却水がクランクケース内に侵入することになるのは確実なので他の部品に交換することになります。クランクはコルサ純正。ミッションも純正のレーシングミッションで、パッと見たところ状態は悪くなさそうです。ヘッドはまだ分解していませんが、マグネシウム製カバーが取り付けられていて外見としてはコルサです。バルブ径もコルサです。あとはカムシャフトに何が組まれているかが問題ですが。
シリンダーとピストンもコルサ純正です。ただし、特にピストンが結構使い込まれています。裏返して裏面を見るとかなり焼けて茶色くなっています。フライホイールはコルサ純正ですが、オリジナルにはセルフスターター機構が存在しません。当時のエンジンスタートは押し掛けが常識だったのですが、現代においてはスリッパークラッチの存在もあってそれは難しいのでセルモーター等の取り付けが必須です。そうするとフライホイール関係もそれ用の物を用意する必要があります。クランクケースもコルサ純正の部品です。エンジン番号を打たれていないので、スペアパーツとして取りよせたものが使われています。当時ドゥカティコルセより指定されていたクランクケースの交換サイクルは走行500kmでしたから、スペアパーツに交換されていたのは当然の成り行きで、もしエンジン番号が打ってあるオリジナルのクランクケースが使われていたらそれはかえって怪しすぎます。
シリンダーヘッドを分解しました。内部部品もコルサ純正で、カムはIN、EXともにGカムでした。バルブ径はINが36mm、EXが31mm、ステムエンドにC.MENONの刻印があるホンモノです。さすがにロッカーアームはメッキの剥離が頻発するために頻繁に交換されていたようで、見た目の異なるものが混じっています。
ヘッドの上面には鋳型で92とあります。92年製造なので93年式のバイクに使われたということになります。Sの刻印は93年型888レーシング用、という識別です。ちなみに左側の機械加工部分は何のためかというと、フロントタイヤの逃げです。フルブレーキ等でフォークが沈むとフロントタイヤとヘッドが接触するのが当時は当たり前だったので、それを少しでも軽減しようとする試みです。 これから作業を進めていく様子を逐次アップしていきますのでお楽しみに。
Posted by cpiblog00738 at
11:16
2024年07月12日
これもやめてください!
これは998R/999Rの純正シリンダーです。ボア径はφ104mm。今でも入手は可能ではありますが、ピストンとシリンダーのセットでの販売となり、その価格も半端ではありません。入手しようと思うと現実的なのは中古部品となってしまいます。このシリンダーはエンジンAssy でやっとこさ入手したものなのですが、なんと、やらかされていました。 ガスケットリングの溝の脇に何やら穴のようなものが‥‥。
このφ104mmボアのタイプのみ、ヘッドガスケットにウィルスリング(だと思います)が使われております。内部が空洞で加圧されているリングです。確かにこれを交換するために溝から取り外すのはちょっと大変かもしれません。しか〜し!!!これは無いんじゃないですか???かんべんしてください!!!お願いしますよ、ほんとにもう!!! これを取り外す場合はリングに小さい穴を開けて細い針金を通して引っ張れば、自分の経験からすると120%何の問題も無く取り外し出来ます。そのくらいは思いついてくださいよ。
Posted by cpiblog00738 at
20:35
これはやめてください。

とある車両の整備を行っておりまして、冷却水周りのホースを外しました。そうしたら全てのホースの差込個所がシリコンガスケットのてんこ盛りです。何じゃこりゃ、と思ってオーナーの方に聞いたところ、ちょっと前に某所でラジエーターホースを全て新品に交換してもらったとのことです。新品ホースにシリコンガスケットをてんこ盛りに塗って差し込む???意味不明です。草臥れ切って水が漏れてくるようなホースに対する応急処置ならまだ理解の範疇ですが。
おかげでホースの中や差込口にこびりついて残ったシリコンガスケットの除去にえらい時間がかかってしまいました。カスをそのまま放置で組み立てたら、ホース内に残ったカスが冷却水通路に回ってしまいます。
今回は純正のゴムホースだったのである意味まだマシでした。もしこのホースが社外のシリコンホースだったら、シリコンホースとシリコンガスケットが同じシリコン同士で癒合してしまってえらい事になります。
繰り返しますが、こういうのはやめてください。
Posted by cpiblog00738 at
08:42
2023年06月09日
エンジンオーバーホール中 その5
シリンダー、ピストン、シリンダーヘッドを仮組してスキッシュクリアランスの計測を行っています。クリアランスの調整はシリンダーベースガスケットの厚さで行います。厚みが異なるベースガスケットを用意できないと調整は不可能ということになりますが…。
スキッシュクリアランスの調整が終了した後エンジンを組み立て、次はバルブタイミングの計測と調整を行っています。一度バルタイをちゃんと合わせたエンジンは、全バラにして再び組み直してもバルタイがそんなに大きく狂うことは少ないです。Posted by cpiblog00738 at
20:37
2023年06月08日
エンジンオーバーホール中 その4
途中をちょっとはしょりましたが、バルブです。バルブシートとのすり合わせと当たりの確認は済んでいます。バルブフェースの白っぽく見える場所が当たり面です。左のバルブは当たりの確認が済んだところ、右のバルブはその状態から当たり面の内側に30度の角度で研磨を施したものです。違いが分かりますか?バルブの当たりは可能な限りの外当たりにしてあります。バルブフェース面は45度ですが、実際に当たっている部分の内側に45度面が無駄に残っているのでその部分に30度の角度でカットを入れたということです。最近のエンジンでは最初からこの加工が施してある場合も目にすることが多いですね。 それと可能な限りの外当たりについてですが、当たり面の外側の際を実質的なバルブ径と考えると、そうする理由がお判りになると思います。もし当たり面がもっと内側にあったとすると、それは実質的にはバルブの小径化ということになってしまいますよね。
シリンダーヘッドの組み立て中です。このタイプのヘッドは設計が丁寧というか過剰品質の印象を受けます。このエンジンの次世代の1098系はこれの発展型ですが、このエンジンを使用して来て過剰品質と判断したところや無駄と判断したところが刷新されているように見えます。自分としてはこのタイプのヘッドは好きですね。
今回使用するピストンです。ピスタルレーシング製のハイコンプレッションピストンですが、今まで使用していたものと全く同じものの新品です。ピストンは寿命が来ると割れますから、今回はそれなりの走行距離だったために念のため新品に交換します。ちなみにピスタル製だから割れるという訳ではありません。純正ノーマルピストンでもサーキット走行を続けていると同じように割れます。 ピストンヘッドに記してある数字は重量です。0.1グラム単位まで揃っています。ピスタルレーシングの品質管理は非常に行き届いていると言って良いでしょう。おそらく重量の近いものを選別して2個セットにして出荷していると思われますが、メーカーとしての誠意、良心を感じます。
続きはまた後程です。
Posted by cpiblog00738 at
20:41














































