2022年09月03日

バルブ

DSC00166 先日ブローしたエンジンのヘッドからバルブを取り外しました。そのままゴミ箱へと思ったのですが、その曲がり方にちょっと芸術を感じたので写真を撮ってみました。
  

Posted by cpiblog00738 at 14:22

2022年08月29日

エンジンブロー

 お客様のエンジンが筑波サーキット走行中にブローアップ。私もその場所に居合わせており、急遽バイクを持ち帰り修理となりました。パッと見てオイル受けのカウルに冷却水が溜まっていて、ふとエンジンの下から上を見上げると前側気筒のシリンダーが割れている、、、。出場予定の筑波TTのレースまで約2週間ちょっと。果たしてエンジンの中はいかなる状態になっているのでしょうか?

DSC00139 エンジンを降ろしてスタンドに載せ、まずはベルトカバーを外すとこんな状態です。前側気筒のカムシャフトがロックして回らなくなったようで、タイミングシャフト周辺のベルトの山が無くなってしまっています。カムプーリーの上にベルトの破片が乗っかっています。



DSC00141 前側気筒のヘッドを外すと燃焼室はこんな感じです。ピストンが派手に当たってバルブは4本とも曲がっているようです。






DSC00143 ピストン側はこんなです。







DSC00146 シリンダーを取り外すとシリンダーにピストンが付いてきてしまいました。ピストンがピストンピン穴から上下に分かれてしまったようです。






DSC00149 クランクケースの方を覗くと、コンロッドにピストンピンが付いたままです。






DSC00150 シリンダーは縦に割れています。







DSC00153 シリンダーの内壁です。結構派手にやられちゃってますね。中央のキズはコンロッド小端部によるもの、左右はピストンピンの両端によるものでしょう。その衝撃でシリンダーが縦に割れてしまったということです。





DSC00163 ピストンです。クランクケース内に散乱していた主な破片も集めてみました。






 状況が判明したところでどのような方向性でレースに間に合わせるのかを検討したところ、部品取りのエンジン部品を使用してこのエンジンを修理することになりました。この時代のドゥカティエンジンの凄いところはこんな壊れ方をしても結構使える部分が多いということです。自分はそれが当たり前だと認識しているのですが、他メーカーのエンジンの事情を聞くとどうもそうでも無いようで、こんな壊れ方をしたらエンジンは全損で何も使えないのが普通らしいです。
 で、概要ですがクランクは計測したところ特に問題無いので再使用。前側気筒のコンロッドは流石に曲がりがあるので中古品に交換。壊れたピストンとシリンダーは中古品に交換。前側気筒のシリンダヘッドは丸ごと中古品に交換。そんな感じで作業しました。
 つつがなく作業は終了して、先程シャシダイに載せて10分間ほど検査試運転を行い不安要素も払拭しました。あとはこのエンジンにレースで頑張ってもらうだけです。

  
Posted by cpiblog00738 at 17:38

2022年08月25日

1098Rエンジン修理オーバーホール その2

DSC00111 さて、懸念のクランクピンの状態です。1本のクランクピンに2本のコンロッドが並んで取り付けられているわけですが、画像の左側がトラブルが発生した側、右側が無事だった側です。タラブルが発生した側は無事だった方と比較すると明らかにトラブル発生の痕跡が認められます。磨く程度で何とかなるのでしょうか?


DSC00124 磨いてみたところ何とかなりました!目視で無事だった右側と見分けがつかない状態です。ピン径を計測しても寸法変化は認められません。ちなみに使用した研磨剤は一般に販売されている金属磨きのピカールですから、それでピンが減るようなことは考えにくいです。ピンに焼き付いた汚れが落ちたという感じでした。これでメタルの交換のみで対応できそうです。良かったです。


 ちなみにこれだけの軽傷で済んだのはとにかく異常を感じた瞬間にエンジンを止めたからにほかなりません。あと1周の走行が致命傷になっていた可能性は非常に高いです。
 以前実際にあったTFDのベテランのお客様の事例ですが、筑波の最終コーナーの立ち上がりで全開にしたら一瞬だけどエンジンブレーキがかかったような感触があったので即走行を中止し、エンジンを開けてくれ、とリクエストされたことがありました。エンジンを開けた結果、今回と全く同様な結果でクランクピンを磨いてメタルの交換をしたのみでエンジンが復活しました。
 それとは逆に、走行中に違和感を感じたにもかかわらず、確認のためと称して次の走行枠に出走してエンジンに止めを刺した方もいらっしゃいます。
 確かにエンジン損傷の復旧には高額な費用が必要になりますから、感じた違和感は気のせいでエンジンに問題は無いと信じたい気持ちは非常に良く判ります。実際にその違和感は気のせいであることもありますしそうでないこともあります。本当にトラブルが発生していればそのまま走らせるとエンジンに止めを刺すことになりますが、実際はただの気のせいだった場合は無駄な出費だったということになります。正しい判断は難しいです。
 そう考えてみると何となくサーキット走行のリスク管理にも似ていますね。あそこでもう少し無理をすればタイムアップしそうと思える場合、それを実行して上手く行けばタイムアップ、上手く行かなければ転倒してバイクが壊れる。結局は自己責任ということになりますが、自分の場合は違和感を感じたら即走行中止です。走りの方は結構転ぶのでそうでは無いみたいですが。(笑)ちなみにどのようなものを違和感と感じるかというと、自分の場合は「いつもと違う何か」です。

DSC00096 ちなみにこれは同じく1098Rのクランクですが、エンジンがガラガラ音を発するまで走らせてしまったものです。画像の左側は正常、右側がトラブルが発生した方です。ピンの直径を計測するとトラブルが発生した側は部分的に0.09mm程度削れて小さくなってしまっていますから完全にNGです。0.09mmという値はとても小さいものと感じるかもしれませんが、本来のメタルクリアランスは0.05〜0.06mmですから、そう考えると理解していただけると思います。こうなってしまったらもう飾り物にするしかありません。もしくはゴミ箱行きです。何らかの方法で再生も可能な場合もあるでしょうが、サーキット走行やレースでの使用には全くお奨めできません。それをやって派手にブローして莫大な出費の追い打ちを食らった例を見たことがあります。自分的にはミュージアム展示してあるようなバイクでたまに観客の前でエンジン始動のデモンストレーションを行う程度であればそれもアリかなと思いますが。

IMG_2136 ちなみにメタルってこんなになってしまいます。左手前に写っているものが本来の姿ですが、それと比較してみて下さい。
  
Posted by cpiblog00738 at 07:50

2022年08月23日

1098Rエンジン修理オーバーホール その1

 自分がレースで使用している996RS01の車体に1098Rのエンジンを載せた車両のお話です。今年のレースもこの車両を使用する予定でしたが、今年(2022年)のシーズンが始まった3月の筑波サーキット初走行時にエンジントラブルが発生し、それからしばらくの間放置状態になっていました。
 その時の状況ですが、コースインして13周目の最終コーナーをスロットル全開で立ち上がったところ通常と異なる違和感のある振動を一瞬だけですがエンジンから感じました。しかしその後1コーナーに侵入しインフィールドを走行すると何の違和感もありません。その時は先程の症状は単なる気のせいかとも思いましたが、そのまま2ヘアをクリアして立ち上がりでスロットルを全開にしたところ、先程と全く同じ違和感を感じました。その時点で即走行を中止しピットイン。持ち帰ったバイクは仕事のスケジュール上触ることも出来ずそのまま保管状態となりました。
 それから半年近く経過し、やっと仕事が落ち着いてきて時間が取れるようになったので、お盆休みを利用して原因究明と修理オーバーホールを行うこととなりました。

DSC00106 エンジンを降ろして分解しています。この時点まではクランクケースにクラック発生を疑っていました。エンジンから振動が発生した場合、そのパターンの頻度は非常に高いです。ところが点検してもそれらしいものは発見できません。こんな筈では、、、という感じなのですが。



DSC00113 そこで何気なく取り外したエンジン右側のクラッチカバーを見ると、おかしなことになっているのを発見しました。クランクシャフトの右端を支持しているメタルブッシュが手前に飛び出してきています。この場所はクランクシャフトへオイルを供給するオイルラインになっている肝心要の部分です。ブッシュの状態は欠損部分も有り、ボロボロです。画像は既にオイルシールを取り外した状態ですが、ブッシュがオイルシールを突き破って手前に飛び出していました。当然オイルシールも状態はボロボロです。クランクケース側のクランクシャフトを支持しているボールベアリングに問題が発生してクランクシャフトに振れが発生したのが原因ではないかと考え、各部を点検しました。しかし意外ですが特に問題はありません。

 そこでとりあえずクランクケースを分解してクランクシャフトを取り出しました。クランクにコンロッドを組んだままの状態でコンロッドを動かしてみると縦方向、横方向共に過大なガタも無く違和感はありません。そこでコンロッドを取り外そうとコンロッドボルトを緩めると、片側のコンロッドの動きが悪くなりました。

DSC00108 コンロッドを取り外してみるとこのような状況になっていました。動きが悪くなった方(前側気筒)のメタルにトラブルが発生しています。コンロッドボルトが締まっている状態ではコンロッド大端部の締め付けによってメタルの内径は新円を保っていたのですが、ボルトを緩めてそのタガが外された瞬間にメタルが焼けた内側に反ってコンロッドの動きが悪くなったということです。


DSC00109 メタルを観察すると大きめの異物の混入がトラブルの原因ではないかと疑われます。異物は先述のクラッチカバーのブッシュもしくはオイルシールの破片でしょう。問題無いもう片方のコンロッドのメタルの状態は特に問題ありません。
 こうなるとトラブルが発生した方のコンロッドが再使用可能かどうかが問題ですが、今回は問題無いと判断しました。経験上メタルがコンロッド大端の中で回転してしまうとコンロッド側も摩耗してしまいNGですが、今回はそうなっていませんでした。

 そして何より一番の懸念はクランクシャフトのクランクピン部分です。1098Rのクランクシャフトは既に入手不可という状況になっていますので、既にお金で解決できる問題ではありません。
  
Posted by cpiblog00738 at 10:19

2022年08月15日

工具

DSC00104 たまには工具の話です。これは片目片口スパナ、コンビネーションスパナなどと呼ばれているもので、サイズは10mmです。Snap-on製のOEXM10というモデルです。現在においては所謂旧ロゴと呼ばれるようになっている旧タイプですが、私が入手した当時の新品はこのタイプでした。少しでも自分でバイクを触る人であれば、このタイプのこのサイズは非常に使用頻度が高い工具であると解りますね。


DSC00105 全ての工具にという訳ではないですが、スナップオンの工具には製造年が記されている場合があります。この2本のスパナの場合、文字列の中央に上のスパナには「2」、下には「4」という数字が見えます。これの意味するところは1982年製と1984年製ということです。年代によって数字の字体が決まっていて、画像のこの数字の場合は1980年代の数字ということになります。例えば1990年代であればまた別の字体で数字が記されているのでそれと判別できます。ネットで調べてみると詳しい解説を目にすることが出来ると思います。
 例えば「2」の方は自分がこの業界に入ったばかりの時に購入した工具のうちの一つです。値段も覚えていますが、確か1本¥5,500-だったと記憶しています。今考えても非常に高価ですね。当時のスナップオンのスパナは小さいサイズでも¥5,000-くらい、大きいサイズだと大雑把に言って1万円くらいというイメージでした。10mmサイズは使用頻度が非常に高いのでスペアが必要と考えて2年後に追加購入したのが「4」の方です。
 使用し始めてから40年、そう考えると凄いですね。このサイズは仕事をしていればほぼ毎日必ず使用します。ピカピカだったメッキもそれなりに曇り始めてはいますが機能的に全く問題無いままですし、メッキの剥がれなどは皆無です。この頃のメッキは材質が良いのでしょうね。裏を返せば非常に環境に対して悪影響を及ぼすようなメッキ処理が許されていた時代だったということもあるのでしょうか?自分的にはこういった類のものが本当に良いモノ、本物と呼べるもの、だと思います。面白いのはこの時代のスパナに関して言えば同じ品番でも一つ一つ微妙に形状が異なります。職人さんが一つ一つを手作業で削って整形していたのだと思われます。手持ちの中にも中央のバーの部分が極端に薄く仕上げられていてやたら細身でスマートな個体等もあり、とても興味深いです。
  
Posted by cpiblog00738 at 13:50

2022年06月08日

チタンバルブ

 先日エンジンブローしたエンジンはチタン製のバルブを使用しています。一般的にチタンバルブをリフェースするのはNGということになっていますが、その理由は硬質な酸化被膜がリフェースにより除去されてしまい、その結果バルブフェースの摩耗が著しく進行するからだと理解しています。

IMG_5018 このバルブはこのエンジンに使用していたものです。リフェースして使用していました。しかしバルブフェースの状態は良好で、少なくとも異常な摩耗は発生していません。自分の経験上ドゥカティのチタンバルブはリフェースして使用しても短時間で問題が発生することは無いと認識しています。個人的な推測ですが、燃焼ガスその他にさらされる影響で何らかの酸化被膜のようなものが構成され、その効果摩耗が抑えられるのではないかと思っています。それに加えてデスモドロミック機構なのでバルブをバルブシートに強い力で押し付けることが無いのも要因の一つのような気がします。

IMG_4492 ところがこんな事例も経験しています。これもリフェースして使用していたチタンバルブですが、ある時を境にエンジン始動が困難になり、分解してみたところバルブフェースが画像のような状態になっていました。私としてはリフェースして使用して問題は起こらないと認識していたので非常に意外だったのですが、巷で言われている異常摩耗というのはこれですね。
 私がリフェースしたチタンバルブを使用して組んだエンジンの数は相当数ありますが、この状況は初めての経験です。いろいろと原因を調べたところ、今まで問題無かったエンジンの使用状況と一つだけ明らかに異なる条件でこのエンジンは使用されていました。それはガソリン添加剤の使用です。おそらく添加剤の優秀な洗浄作用でバルブフェースが常にクリーンな状態に保たれ、その結果酸化被膜のようなものが生成されなかったのではないでしょうか。
 ところで私がチタンバルブまでリフェースしてしまう理由ですが、それはあくまでバルブフェースとバルブシートの当たりを最優先しているからです。新品バルブを使用すれば良いじゃないかという声も聞こえますが、例えば999Rのチタンバルブの価格は1本約5万円、1098Rであれば約8万円です。8本全部交換したらと考えると、全く現実的では無いと思います。それに加えて私の経験上、新品バルブといえども全数が完全無欠の状態であるとは言えないのです。新品なのにセンターが出ていなくて振れがあるバルブも実際に存在します。新品バルブを使用する場合、それがスチール製であれば私はたいていの場合まず最初にバルブリフェーサーでリフェースしてしまいます。チタンの新品の場合は流石に躊躇して考えに考えた末にどうするか決定しますが。言えることは優先されるのはバルブとシートの当たりが正しく出ているかで、バルブフェースに荒れや振れが有る場合にそのまま再使用する選択肢は有り得ない、というのが私の認識です。あ、それはあくまで使用目的がレースの場合で、バルブとシートの当たりが多少おかしくてもバイクはそれなりに走りますから街乗りの場合は持ち主の考え方次第ではあります。

  
Posted by cpiblog00738 at 11:33

2022年05月08日

エンジンブローその2

IMG_4967 シリンダーヘッドを外しました。こちらは後方気筒ですが、ピストンのバルブリセスの周辺にバルブが干渉した痕跡があります。スキッシュエリアもヘッドと接触しています。ピストンが回転して角度がずれてバルブと干渉し、それに加えてピストンが本来の位置よりも上がって来てしまったということですね。



IMG_4968 前方気筒です。やはりスキッシュエリアがヘッドと接触し、ピストンの角度はずれなかったようですがエキゾーストバルブがリセスの中でピストンと接触しています。




IMG_4970 前側のシリンダーとピストンを外して内部を覗いてみました。う〜ん、何かが思いっきり壊れていますね。






IMG_4972 後方気筒側から覗いてみました。壊れているのはクランクシャフトですね。割れているというか折れているというか、、、、。






IMG_4973 クランクケースを分解してクランクシャフトを取り出しました。こんなの初めて、という訳でもありませんが、何年かぶりに見ました。ごく稀にですがこんなことも起きます。
 この手のエンジンのクランクシャフトは基本的に非常に丈夫に出来ていて、例えば走行500kmごとに多種類の部品交換が指定されているコルサやRSに於いてもクランクシャフトは定期交換部品に指定されていませんでした。そんな部品がこのような状況に陥るということは製造時に何かの問題が発生していたのでしょうね。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:46

2022年05月06日

エンジンブローその1

IMG_4962 筑波サーキット決勝レース中に発生したエンジンブローです。その瞬間までエンジンは快調に回っていました。発生した場所は裏直の中間あたりでしたが、ライダーはこの緊急事態に冷静かつ的確な判断で対応し、安全にそのままピットロードへ進入して惰性でピットまで戻ってきました。
 何かの原因でクランクシャフトが振れてエンジン左側カバーを破壊したと思われますが、いったい何が起ったのでしょうか?

IMG_4963 まずケースカバーを取り外しました。本来ケースカバー側に取り付けてある発電機のコイルがローターの中に残ったままです。ケバケバしているのは粉砕された発電機からのハーネスです。





IMG_4964 取り外したカバーです。発電機のハーネスは引きちぎられています。







IMG_4965 フライホイール側です。銅色の破片は削られた発電機コイルです。







IMG_4966 フライホイールその他のエンジン左側部品を取り外しました。中央のクランクシャフトを支持しているボールベアリングが壊れ、そのためにクランクシャフトが振れてこのような事態になったのでは、と分解前は予想していましたが、どうもそうではなさそうです。ベアリングは原形を保っています。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:27

2022年04月03日

748Sエンジンオーバーホールその5

IMG_4912 エンジン腰下がひと段落したのでシリンダーヘッドの作業を開始しました。カーボンを落として綺麗にしたところですが、ヘッド面の腐食が気になります。腐食している部分から鑑みると冷却水による腐食と思われますが、はっきりとした原因は不明です。腐食が発生していない個体も見受けられますから、クーラントとのマッチングの問題なのでしょうか?


IMG_4913 ヘッド面を研磨しました。機械加工ではなく手作業で、定盤上でのすり合わせです。機械加工でも良いと思いますが、研磨の取り代が大きくなることと機械をセットする手間を考えると摺合わせが妥当な場合が多いです。すり合わせでは取り切れない深度の腐食であれば機械加工で対処するしかありませんが。  
 まだちょっと腐食跡が散見されますが、機能的と精神衛生的に問題無い範囲なので深追いはしません。


IMG_4914 シリンダーヘッド内部部品です。カムシャフト支持はプーリー側がボールベアリングで反対側がローラーベアリングです。プーリー側のボールベアリングとオイルシールは交換しますが、反対側のローラーベアリングとオイルシールは再使用します。主な理由は部品の価格で、ベアリングとオイルシールで1セット¥7,000-位します。オイルシールだけでも交換したいところですが、オイルシールを取り出すためにはベアリングを取り外す必要があり、その場合はベアリングの内輪にプーラーをかけて引き抜くのでベアリングの再使用は避けたいです。すると必然的にベアリングとオイルシールの両方を交換することになります。経験的にこの部分は非常に余裕を持った造りなので問題が起こる可能性は非常に低いです。逆にプーリー側はベルトのテンションがかかるのでストレスが大きいです。それとロッカーアームのメッキの剥離は要チェックです。この個体の場合でも数本発覚しています。こればっかりは交換で対応するしかありません。


IMG_4915 バルブガイドを取り外しました。バルブガイドを取り外す場合、TFDではガイドを燃焼室側に抜いて取り外す場合が多いです。その理由は特にエキゾーストガイドに関してですが、カーボンが強固に固着したガイドをカムシャフト側に抜くとカーボンが固着した部分がガイド穴を通り抜けるのでガイド穴の内壁にキズが付く可能性が高いからです。


IMG_4916 インテーク側です。







IMG_4917 エキゾースト側です。







IMG_4918 こちらはバルブです。カーボンを落として磨いた状態です。一見綺麗です。







IMG_4919 しかしよく観察するとバルブシートと接触するバルブフェース部分の状態は芳しくありません。この個体の状態が特に悪いという訳ではなく、ある程度以上の距離を走行したエンジンとしては平均的な状態です。




IMG_4921 こちらはエキゾーストバルブで、バルブフェースの荒れというか凹みはカーボン等の異物を噛みこんだためと考えられていますが、インテークバルブの方も程度の差こそあれ同じような状態なので噛みこむのはカーボンだけとは限らないようです。



IMG_4924 バルブフェースをリフェースしました。作業の前後を比較するとその差が歴然です。


  
Posted by cpiblog00738 at 09:17

2022年03月31日

748Sエンジンオーバーホールその4

 諸事情によりちょっと間が開きましたが作業再開しました。

IMG_4892 オイルポンプの内部を点検中です。今迄オイルポンプに問題があったという記憶は殆どありません。本体と蓋の間には位置決めのノックピンが存在しません。従って蓋を適当に取り付けてボルトを締めてしまうとシャフトとシャフト穴がせってしまって摺動抵抗でシャフトの回転が重くなります。蓋を取り付ける時にはシャフトの回転がスムーズな場所を探してボルトを締める配慮が必要です。


IMG_4893 エンジン右側です。1次ギア、オイルポンプ等を取り付けています。  







IMG_4896 セルモーターを分解しています。現状で問題はありませんが、予防整備の意味でブラシセットやオイルシールを交換します。コミュテーターは研磨してリフレッシュします。




IMG_4899 フライホイールを分解しました。スターターのワンウェイクラッチを交換します。これも予防整備です。






IMG_4900 シフトコントロールアームAssyを分解しています。2種類のリターンスプリングを交換します。スプリングの折損はたまに見かけます。太い方のスプリングが折損するとペダルが中立の位置に戻らなくなりますし、細い方が折損すると何かの拍子にアームがドラムから浮いた状態になってシフト操作をしても空振りになってしまうことがあります。


IMG_4901 シフトコントロールアームの調整を行った後、エンジン左側を組み立てています。調整はナットで固定してあるエキセントリックピンの取り付け角度を変更することによって、シフトアップとダウンのペダルのストロークが同じになるように行います。特に太い方のリターンスプリングを交換した場合はこの調整を行わないとシフト操作に支障をきたすことになる場合があります。
 エンジン左側にはフライホイール、タイミングギア、ギアチェンジ機構、等が存在します。

IMG_4902 シリンダーとピストンを仮組した状態です。






IMG_4904








IMG_4905 クラッチドラムです。左が旧タイプの既存の部品、右が現行の新しいタイプです。旧タイプはオールアルミ製で、ワッシャーと接触している中央の穴の回りが摩耗して凹んでいます。現行部品はその部分にスチールが鋳込んであって摩耗しにくい構造となっています。この部品は現行の新品に交換します。



IMG_4906 クラッチを組み立てました。このエンジンには社外の部品が使用されています。この手のタイプのクラッチの場合、純正のクラッチプレートセットが使用できなくなるので部品の供給が滞ることが無ければ良いのですが、その点が心配です。

  
Posted by cpiblog00738 at 20:29

2022年03月21日

748Sエンジンオーバーホールその3

IMG_4857 さて、クランクです。プラグを外してクランクピン内部その他も洗浄済みです。特に問題無い状態です。クランクギア取り付けのテーパーになっているシャフト部分(奥側)は磨いて綺麗にしてあります。テーパーで嵌めこむギアの場合、ここが荒れている個体が多く、それがギアの取り外しに苦労する原因となります。


IMG_4861 気になるコンロッドメタルの状態ですが、まあまあ標準的なコンディションです。ドゥカティのこの手のエンジンの場合、コンロッド本体側のメタルの方がキャップ側のそれよりもダメージが大きいです。




IMG_4863 メタル合わせ中です。メタルクリアランスは2本とも0.048mmに揃いました。使用メタルの厚さは1.485mmとか1.479mmとか、写真で見える数字の通りです。千分の一単位の計測値が本当に正しいのかという意見もありますが全くその通りで、温度によって千分の一単位の数値はコロコロ変化しますのであくまで目安ということになります。


IMG_4865 クランクにコンロッドを組み付けました。コンロッドボルトは使い捨て部品なのでメタル合わせを行う時は今迄使用していたボルトを使用します。メタル合わせ終了後にコンロッドをクランクに組む際に新品ボルトを使用します。





IMG_4866 こちらはミッションのカウンターシャフト(スプロケットが付くシャフト)です。特に問題ありません。街乗りで丁寧に乗られていたミッションは非常に程度が良いです。いつもサーキットで酷使されていた部品ばかり見ているのでなおさらそう感じるのかもしれませんが。一度外したサークリップは新品に交換します。


IMG_4867 こちらはミッションのメインシャフト(クラッチが付くシャフト)です。こちらも問題ありません。非常に綺麗な状態です。サークリップに加え、クラッチプッシュロッド用のニードルケージとオイルシールは交換します。ここには写っていませんがシフトフォークの状態も同様に良好です。



IMG_4868 ミッションのシム調整を行っています。ミッションシャフト2本とシフトドラムの左右(この写真では上下になります)にはシムが存在していて、そのシムを変更することによってシャフトとドラムの位置を変更できます。例えばドラムのシム変更は行わずにシフトフォークの可動範囲が一定であるとすると、各ギアのドッグの勘合深さの調整はミッションシャフトの位置に依存します。写真のメインシャフトを例にとると、下側のシムを薄く、その分上側のシムを厚くしたとします。するとシム厚の変更分だけシャフトは下に下がります。その結果シフトフォークで動かされているギアの上側のドッグはその分深く勘合するようになり、逆に下側のドッグの勘合は浅くなります。この方法で全てのギアのドッグの噛み合い具合が良好になる状態を探します。実際には妥協点を探す感じですが。こうして良好な状態に調整したミッションも走行中に無理なシフト等を行った結果シフトフォークを曲げてしまえば一発で台無しになってしまうんですねどね。


IMG_4869 クランクシャフトも同様なシム調整を行います。クランクの場合はコンロッド位置がシリンダーの中央に来るようにする調整と、クランクケースを閉じた時にクランクシャフトにかかるプリロードの調整です。写真は全ての調整が終了してクランクケースを合わせて組み立てる直前の状態です。




IMG_4871 クランクケースの左右を合わせて腰下を組み立てた状態です。

  
Posted by cpiblog00738 at 08:33

2022年03月18日

748Sエンジンオーバーホールその1

IMG_4843 今回は街乗りエンジンのオーバーホールをご紹介します。車種は748S、結構レアです。正直に申し上げてこのエンジンは初めてです。ノーマル状態ではご覧のようにオイルクーラーも装着されていません。ある意味実用本位に徹した仕様とも言えます。オイルクーラーに関して言えば追加で取り付けは容易ですが。



IMG_4844 とりあえず分解しました。そこそこバラバラですがまだ中途半端な状態です。これから各部品をさらに分解洗浄、状態を確認し作業を進めていきます。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:41

2022年03月09日

目指せFISCO1分45秒エンジン-1

 富士スピードウェイで1分45秒のラップタイムを目指してエンジンの仕様変更を行っています。(運転手は私ではありません)何とかしてあと2秒タイムを詰めたいという訳です。ちなみに私も今年はFISCOでの走行の機会を増やそうと思っていますが、私の場合の目標はひとまず50秒切からです。

 IMG_4820で、まずはクランクシャフトです。純正のストリートバイク用チタンコンロッドと1098のノーマルピストンに合わせてバランスを取りました。






IMG_4821 クランクにチタンコンロッドを組み付けたところです。







IMG_4825 これはエンジンのパワーアップとは直接関係がありませんが、4速ギアのドッグの状態が芳しくないのでこのギアは交換しました。相手方のドッグのダメージはそんなに酷くなかったのでそれは再使用ということにしました。




IMG_4827 クランクケースに内部部品を仮組したところです。各部品のシム調整を行って部品の位置とケースとのクリアランスを調整します。






IMG_4830 ケースの左右を合わせて組み立てたところです。とりあえず今回はここまでです。





  
Posted by cpiblog00738 at 00:00

2022年02月15日

996F00エンジン-5

IMG_4767 燃焼室です。デスモクアトロエンジンなのでバルブ挟み角はIN、EX、ともに20度で合わせて40度です。バルブ径は39mmと32mmです。現在の最新エンジンと比較すると燃焼室形状は一時代前の印象がありますが、スーパーバイクレギュレーションの中で製作されたものですからノーマルストリートバイクのヘッドの改造品と言う事を鑑みると凄い造りだと思います。
 バルブシートはすり合わせとシートカットによりバルブとの当たりを取り直してあります。このエンジンは走行時間が進むと特にインテークバルブの当たりが悪くなるので頻繁にその確認と修正を行っています。具体的に言うとインテーク側のスパークプラグの傍とスタッドボルト穴の傍の2ヶ所でバルブとシートが当たらなくなります。あくまで冷間で部品単体での確認ですから、実際にエンジンが稼動している状態でどうなっているのかは知る由もありませんが、さりとてそのまま組むわけにもいきませんのでバルブとシートがちゃんと当たるように修正を行っています。
 バルブシートを追い込みたくないのでシートカットを行わずにすり合わせのみで対応出来れば理想的なのですが、なかなかそうはいきません。今回はEX側はすり合わせでの確認のみで済みました。しかしIN側はすり合わせで何とかアタリを付けることは出来ましたが、すり合わせ量が多かったために当たり幅が広くなってしまいました。そこで当たり面の内側と外側に適量のシートカットを施すことによって当たり幅を是正しました。

IMG_4770 インテークポートです。非常に美しいと思います。


 




IMG_4771 組み上がったシリンダヘッドです。インテークバルブはDel West製です。この時代以降のチタンバルブはこのメーカーがサプライヤーになっているようです。エキゾーストバルブの方はまだスチール(ニッケル合金のナイモニック)で昔からの定番のC.MENON製です。エキゾーストバルブもチタン製になるのは998RSからです。
 インテークバルブ周辺をよく観察すると、バルブの中心とバルブシートの中心が若干ずれていることが判ると思います。バルブシートの見える部分の幅が均一ではないのでそう判断できます。理由は不明ですが、わざわざそうするのですから明らかな理由が有るのでしょう。
  
Posted by cpiblog00738 at 10:13

2022年02月14日

996F00エンジン-4

IMG_4760 エンジン右側です。1次減速、オイルポンプ等があります。1次減速比は59/32です。916Racing96(955cc)迄は62/31でした。916Racing97(996cc)から59/32になりました。999RS以降は27/57とかいろいろと選択肢が増えました。




IMG_4763 エンジン左側です。フライホイール、タイミングギアその他があります。このエンジンはピックアップが2個存在していて、クランクシャフトのトリガー(クランクシャフト1回転に付き信号4つ)とタイミングギアのトリガー(タイミングギア1回転に付き信号1つ)から信号を拾っています。本来セルフスタート機構は存在しないのですが、このエンジンは後付けの機構でセルフスタートできるようになっています。
 AMAのレースレギュレーションでセルフスタートが可能であること、という項目が当時あったため、AMA用としてこうしたキットが一時出回りました。

IMG_4766 ピストンです。さすがにデスモクアトロ最終型だけあって歴代の中では最も過激な形状と言って良いでしょうか。よく見ると品番とシリアル番号が確認できます。RSの部品は部品番号だけではなく固有のシリアル番号が記されており、製造時から部品の管理が行き届いていました。
  
Posted by cpiblog00738 at 14:32

2022年02月13日

996F00エンジン-3

IMG_4754 クランクケース内部部品を仮組したところです。ミッションはレーシングミッションです。この世代のレーシングエンジン特有のオイルインテーク機構が見えます。




IMG_4759 オイルインテーク機構をエンジンの下側から見るとこんな眺めです。奥に見えるアルミのパイプがオイルの吸い込み口です。可能な限りオイルパンの下からオイルを吸い込むようにすることでエア噛みを防止します。それまでの平らなオイルパンの場合、急激な加減速を行った場合にオイルが偏ってオイルの吸い込み口からエアを吸い込んでしまい、それが原因となってエンジントラブルが発生する事例が有ったのです。このシステムが進化してその後テスタストレッタエンジンの逆ピラミッド型のオイルパンが登場するという訳です。

IMG_4758 シリンダ取付穴から内部を覗いたところです。クランクシャフトはその左右に存在する専用のシムによってその位置を決定するのですが、左右に記してある数字はそのために計測した値です。要するにコンロッドが穴の中心に来るように位置決めするということですね。
  
Posted by cpiblog00738 at 09:38

2022年02月05日

996F00エンジン-2

 こういったレース専用エンジンの場合、セルフスターターは最初から装着されていません。エンジンスタートは押し掛けもしくはリアホイールスターターを使用するのが前提です。そのためにこのクランクにはストリートバイクのクランクシャフトにはもれなく存在しているセルフスターター用ワンウェイクラッチを潤滑するためのオイル通路がありません。今回このエンジンはセルフスターターを取り付けて使用するのでオイル通路を設ける加工が必要となります。

IMG_4752 半月型キー溝の横に開けた穴が今回追加加工したオイル通路です。クランクシャフトのような硬い部品に穴を開けるのはなかなか骨が折れます。画像で見える穴の直径はφ2.5mmですがその径で空いているのは途中までで、穴の奥の穴はφ0.8mmの穴になっています。そのようにオイルの流量を規制しているということです。超硬のドリルで深さ8mm程度まで穴を開け、その先の残り2mmに0.8mmの穴を貫通させる作業はとてつもなく緊張します。失敗してドリルの歯を折ってしまったりしたらエライ事になりますからね。幸いなことに今迄かなりの数をこなしてきましたが、今のところ失敗は皆無ではあります。

 IMG_4753メタル合わせを行った後にクランクにコンロッドを組み付けたところです。このコンロッドは使用するメタルの厚さが一般のストリートバイクと異なります。ストリートバイクに使われているメタルの厚さは呼びで1.5mmなのですが、このコンロッドに使用されているメタルの厚さは呼びで2.0mmです。クランクピンの直径はストリートバイクと同じくφ42mmなので、何が違うかというとコンロッド大端の直径です。実際に使用してみると良く判りますが、過酷な使用状況下では2.0mmのメタルの方が明らかにストレスに対して余裕が有るように感じられます。

  
Posted by cpiblog00738 at 22:58

2022年02月04日

996F'00エンジン-1

 996F00エンジンのオーバーホールを行っています。Fはファクトリーの略です。要するに2000年型996ファクトリーエンジン、ワークスエンジンとも言います。TFDでは2002年にF00のエンジンを3基購入しましたが、そのうちの一台です。前回のオーバーホールが2006年の暮れでしたから、約15年ほど眠っていたことになります。今回縁あってこのエンジンを再び走らせることとなり、そのためのオーバーホールです。

IMG_4746 当時のドゥカティの場合、その年のワークスマシンは翌年の市販レーシングマシンとなりますから、このエンジンの仕様としては996RS01のエンジンということになります。しかしワークスエンジンですからそこかしこに手が加えられており、RS01のノーマルエンジンとはずいぶんと趣が異なります。クランクはピカピカに磨かれていますし、コンロッドもRS01のコンロッドとは異なります。
 このエンジンは2000年シーズンの終了後にファクトリーから放出され、2001年シーズンはイギリスのGSEレーシングというチームが使用していました。そのエンジンが2001年シーズン終了後に放出され、それをTFDが入手したという訳です。3基のエンジンはそれぞれ微妙に仕様が異なり、手堅い仕様、イッパツ仕様、その中間、みたいな感じなので、ファクトリーから放出された翌年に手を加えられたのかもしれませんね。いずれにせよGSEレーシングというところはエンジンの管理が常識外れに行き届いていて、それはエンジンを分解してみると直ぐに理解できます。部品の交換はファクトリーの指示通りの走行距離のサイクルで行われていますし、各部品にはそれがどのエンジンの部品なのか識別できるように印が付いています。

IMG_4749 例えばこのクランクにはJT5と記されています。これはジェームス・トスランドというライダー用エンジンの5号機ということです。おそらくかなりの数量のエンジンをハンドリングしていたのでしょう。部品が入れ替わったりしないようにと言う事だと思います。そうしないと距離の管理にも支障が出ますし。でも部品の中にはNHと記されている部品も一つだけ混じっていました。(笑)
今後オーバーホールの様子をかいつまんで紹介していきたいと思います。


  
Posted by cpiblog00738 at 20:09

2022年01月22日

ハーフメタル

IMG_4717 オーバーホール中のエンジンから取り外したコンロッド大端部に使用されていたハーフメタルです。表面の銀色部分が無くなって下地の銅色が見えています。左の2個がコンロッドの本体側に使用されていたもの、右の2個がコンロッドのキャップ側に使用されていたものです。ドゥカティ2気筒エンジンの場合、メタルの負担が大きいのはコンロッド本体側になります。キャップ側の方は本体側と比較するとダメージは少ないことが多いのですが、今回の場合でもキャップ側のメタルにはまだ何となく銀色が残っています。
 この状態でもエンジンは普通に動いていたようです。焼損は発生していませんでした。クランクピンは流石に良好な状態とは言えませんでしたが、再使用が憚れる状態でもなかったので再使用しました。コンロッドも当然ながら再使用しましたが、メタルクリアランスが0.050mmとなるようにメタル合わせを行った結果、使用したメタルの厚さは1.480〜1.488mmとなりました。
 画像のメタルの厚さを計測したところ、本体側が1.408mmと1.410mm、キャップ側が1.463mmと1.464mmでした。取り外したメタルと新品メタルの厚さの差から計算すると、分解前のメタルクリアランスは0.14mm前後であったと考えられ、この数字でもエンジンは機能するのだとちょっと驚きました。とは言え、このまま走行していたらとても近い将来にコンロッド大端部の焼損という事態になったと考えられます。
  
Posted by cpiblog00738 at 09:09

2022年01月07日

クラッチ

IMG_4612 よくぞここまで使いましたね、という状態ですが、これでも走行に支障は無かった?模様です。物凄い打音がしていたと思いますけど。






IMG_4629 取り外してみるとこんな感じです。純正部品のクラッチプレートセットの場合、使用し続けると摩材が減って厚さが減少するよりも先にバスケットと勘合するツメの部分の消耗が進みます。勘合部の隙間が大きくなるほどクラッチの打音が大きくなりますが、いきなり音量が変化するのではなく少しずつ音が大きくなっていくのでオーナーさんはなかなか気づかない場合が多いのでしょうね。
  
Posted by cpiblog00738 at 07:48

2022年01月06日

タイミングベルト

IMG_4610 タイミングベルトのトラブルです。90年代にはこの手のトラブルが多かった印象がありますが、時代とともにベルトの品質が向上し、最近はあまり目にすることがありません。初期においてはベルトの品質の問題で、まず最初にベルトが破断するというパターンが多かった印象ですが、近年においては何らかの原因が有ってそのためにベルトトラブルが起きる場合が多いです。
 このエンジンの場合はテンショナベアリングの破損です。テンションプーリーのベアリングが分解してしまってプーリーが脱落、→それによってバルブタイミングが狂ってバルブとピストンが衝突、→バルブが曲がってカムシャフトの回転が止まってロック、→ベルトが無理に引っ張られて破壊、という順番だと推測されます。もちろんすべては一瞬のうちですけど。

IMG_4611 テンショナベアリングを観察すると、ベルトの張り調整する右側の方はプーリーがどこかへ飛んで行って無くなり、ベアリング内側のレースのみが残っている状態です。左の固定側の方もベアリングが爆発寸前の状態で、元々はシール付きのグリス封入型のベアリングですが、シールが無くなって内部のボールがむき出しです。手で回すとゴリゴリ言いながらかろうじて回転するという状態です。
 一般的にタイミングベルトの交換を行う場合、ベルトとともにテンショナベアリングも同時に交換するのが望ましいですが、ベルトのみの交換で済ませている場合が多いようです。例えばクルマの場合はベルトとテンショナベアリングの交換はセットで行う、というのが常識になっていますが、機構的には全く同様ですからね。
 1990年代のドゥカティの市販レーシングマシンだったコルサの場合、メーカーが指定していたベルトとテンショナベアリングの交換サイクルは共に走行500kmごとでした。ベルトは市販ストリートバイクと同じ部品、ベアリングは同サイズながら値段が何倍もする高級品だったにもかかわらずです。
 ベルト交換を行う時はベアリングに状態も気にしてほしいですね。プーリーを手で回してみれば、その感触でその良否はある程度判別できると思います。また、作業者はその程度のスキルは持っているべきだと思います。
  
Posted by cpiblog00738 at 09:30

2021年12月22日

カムシャフトの軸受け

 これはまた別のエンジンの話ですが、タイミングベルト交換作業中に手でカムシャフトを回してみると、4本のうちの1本だけスムーズに回らないのに気付きました。回転はしますが抵抗感がかなりあります。よくあるパターンとしてはカムの閉じ側の山と閉じ側ロッカーアームのクリアランス不足で、常にカムとロッカーアームが接触したままになっているという状態です。その場合の原因のほとんどはバルブの軽微な曲がりです。

 IMG_4597しかしこのエンジンの場合、原因は別の所に有りました。カムの軸受けに異物が浸入して軸受けの面がかなり痛んでしまっています。前回の記事で紹介したパターンそのもので、カムシャフトの中に存在していた異物がオイル穴から出てきてしまったのが原因です。実はこのエンジンは直近でレースに出場し、無事に走り切っています。軸受けにダメージを受けたのはおそらく新車時に初めてエンジンを始動した時だと思われますから、エンジンって結構タフなんですね。
 完璧な対策を求めるとヘッド交換になってしまいますがそれでは負担が大きすぎるので、今回は半分程度埋没している粉砕された異物の一つ一つを鋭利な刃物の先端で取り除き、表面を綺麗に均してカムシャフトが抵抗なく回転するように対処しました。

  
Posted by cpiblog00738 at 09:59

2021年11月24日

オーバーホール中のエンジン

 オーバーホールのご依頼をいただき、エンジン単体で持ち込まれたテスタストレッタエンジンです。かなり調子が悪かったと思われる個体です。

IMG_4531 取り外したバルブです。取り外したままの状態ですが、カーボンの付き方から一見すると左がエキゾーストバルブに見えます。しかし大きさを見れば判る通り左がインテーク、右がエキゾーストです。エキゾーストバルブにはカーボンが全く付いていません。
 たまにこういったエンジンに出会いますが、こうなる原因は主にバルブタイミングの大幅な狂いです。この手のエンジンはタイミングプーリーが組み立て式になっていてある程度のタイミングの調整しろがあり、適当なところでボルトを締めて固定するような構造になっています。何かの原因で正しくない位置に固定してしまったのでしょうね。バルブとピストンが当たらなかっただけでもラッキーと言えるかもしれません。

IMG_4534 エキゾーストポートもこんな状態です。分解しただけで何も手を付けていませんが、カーボン付着が皆無です。エキゾーストバルブにカーボンが全く付着していないくらいですから、ポートも同様ですね。完璧すぎるクリーン燃焼と言えるかもしれません。エンジンの調子は良くないに決まっていますが、こんなものだと思って乗っていたんでしょうね。


IMG_4530こちらはシリンダヘッドのサイドカバーです。シリコンガスケットのてんこ盛りでした。オイル漏れが止まらないのでこうした処置を施したものと思われます。最近の作業者は何かあるとすぐにシリコンガスケットを塗りたくる傾向が有りますね。私のような古いメカからすると、こうした仕事は自分のスキルの無さを世間に公開しているとしか思えません。自分の組んだエンジンをどこかで誰かが開けたときに、良い仕事をしていると思ってもらえるような仕事をするように毎日精進するべきだと思います。最近の作業環境がとにかく仕事をこなすことに重点を置く場合が多いのかもしれませんが、それでこんなおざなりの仕事が横行するようであればいろいろな意味で悪循環に陥っていると言えるでしょう。

IMG_4535 オイル漏れには必ず原因が有ります。この場合はオーリング溝に存在するバリです。画像のドライバーの先端の部分はバリに引っかかっていて、手で支えていないのにドライバーは固定されて落ちないような状態です。このバリはヘッドのこの面を機械加工した時に刃物の動きの下流側に発生するもので、よく観察するとかなり大きなものです。このバリの存在が原因でオーリングが正しく溝の中に納まらず、それでオイル漏れが発生するというのが事の顛末です。ということでこのバリをリューター等で削って除去すればオイル漏れの症状は改善されます。

IMG_4544 これはカムシャフトのジャーナルですが、中央にある傷というか溝はもちろんですが本来は無いもので、エンジン始動後に発生したものです。原因は異物がこの部分を通り過ぎたということですが、その異物が何処から来たかというとこの場合はおそらくカムシャフトの中です。カムシャフトは中空構造となっていてプラグで蓋をしてあり、内部はオイルラインになっています。つまりオイルラインの中に製造時に異物が入ってしまっていたということでしょう。と言う事なのでこればっかりはいくら気を付けても防ぎようがありません。こういったエンジンに当たってしまった場合は運が悪かったと諦めるしかないのですが、多くの場合これが原因でエンジンが不調になることは無いので目をつぶって良いと思います。







  
Posted by cpiblog00738 at 08:45

2021年11月23日

チェーン切れ

 レーストラックではたまにチェーン切れたという話を聞くことがあります。私個人としては体験したことは無いのですが、それなりの頻度で発生しているような印象です。しかし切れたチェーンはたいていの場合手元に残らないので、どのような状態で切れたのか目にすることは少ないです。

IMG_4529 先日チェーンが切れたバイクが入庫しましたが、チェックするとたまたま切れたチェーンのリンクがベリーパンの中に残っていました。これを観察すると、チェーン切れのきっかけとして最初に起こる事象はピンの破断なのでしょうか?次にリンクプレートが破断し、もう一方のピンがプレートから引き抜かれる、というような順番のように見えます。それともリンクプレートの破断が先なのか?とにかくチェーン切れが発生するとタダでは済まない場合が殆どなので、日ごろのメンテナンスとそれなりの頻度での交換は重要ですね。520サイズのチェーンとスプロケットに150馬力以上のパワーはかなり荷が重いような気がします。
  
Posted by cpiblog00738 at 17:23

2021年11月16日

851系のレストア作業

 最近はこの作業に付きっきりでなかなか他の作業が出来ない状況となってしまい、皆様にご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありませんでした。やっとひと段落したところでオーナー様の許可をいただき、作業の内容をかいつまんでご紹介します。
 このバイクはTFDとは全く関わり合いが無かったバイクで、ずいぶん昔に某ショップが製作したものです。オマケに乗らなくなってから15年ほど経過しています。果たしてどんなサプライズが出現するのか、どんな罠が待ち構えているのか、ちょっと緊張しながらの作業スタートとなりました。

IMG_4187 851SP系のフレームは年月を重ねるとペイントが例外なくこのような状態になってしまいます。これは保管状態云々の問題では無いと思います。ということでフレームは塗り直すということで決定です。




IMG_4190 ペイントでフレーム単体にする前にステッププレートの曲がりを点検中です。このバイクはレースでも使用されていたので転倒歴があり、ステップの取り付けプレートを修正する必要がありました。
 エンジンの外観に目を向けると、こちらもペイントかなり痛んでいます。ということでエンジンの方も塗り直しということになりました。


IMG_4194 15年の時を経たガソリンタンク内部の状況は手を付ける前から一番の懸念材料でした。タンクキャップを開けた瞬間に強烈なガソリンの腐敗臭が.....。内部部品はこんなになっていました。不用意に手を触れるとホース表面は融けたチョコレート状になっていてグチャグチャです。手がとんでもないことになりました。物凄い悪臭を放つのでこれらはビニール袋に包んで速攻で廃棄です。


IMG_4206 この年式迄のウォーターポンプシールはメカニカルシールではなく一般的なオイルシールを使用しています。水漏れ発生の頻度が高く、弱点となっています。オイルシールのサイズが特殊で、今となっては基本的に入手困難な部品となってしまっています。特殊サイズのオイルシールを何とかして入手して、という手もありますが、今回はカバーごとメカニカルシールを使用している後年式の部品に交換することにしました。

IMG_4339 こちらは塗り直したエンジン部品です。全部で37点。かなりの数で、ペイント屋さんにはご苦労をおかけしました。クラッチカバーはマグネシウム製の部品を使用するので塗っていませんが、それを塗ったとすると38点になり、これだけの点数になるとそれなりの費用が発生するのは想像に難くないと思います。
 エンジンのペイントで大変なのは通常のオーバーホールでは取り外さない部品まですべての部品を取り外す必要があるということです。それらの部品の脱着の手間や労力を考えるとかなりの大仕事です。また常識的に考えて取り外したベアリングその他の部品の再使用は憚られますからそれらは新品に交換となります。従って部品代も嵩むこととなります。

IMG_4217 エンジン内部ですが、これが使用していたピストンです。社外のピストンでボア径はφ96mm。ということで実はこのエンジン、排気量は926ccとなっていました。ところが一つ大きな問題がありまして、このピストンはストロークが66mmのクランクシャフト用の955cc用ピストンなんですね。このエンジンのクランクは851系の64mmストロークですから、単純に考えてピストンのピン上高さがストロークの差の半分の1mm足りません。要するにピストンとシリンダヘッドとのクリアランス、つまりスキッシュの隙間が通常よりも1mm広いということになります。低圧縮仕様のエンジンですね。随分中途半端な作業をされています。そしてスロットルボディーは916/996純正の部品が取り付けられ、ECUはオリジナルのP7からP8へと換装されています。使用しているEPRomは996SPS用の#073でした。この仕様のままではどう考えてもマトモに走るとは思えませんが、お情けで、何処かのサブコンみたいなもの、が付いていました。

IMG_4367 勿論今回の作業ではちゃんと走るようにするのが前提なので、クランクは916系の66mmストロークの部品を使用して本物の955cc仕様にします。コンロッドはオリジナルのままですが、この時代からノーマルでもH断面のビレットです。材質はこの時代ですからチタンではなくスチールです。でもこの時代にH断面の削りのコンロッドは国産車では考えもつかない有り得ない仕様だったと思います。もちろんクランクのバランス取りも施しました。

 IMG_4399それでエンジンがいったん組み上がり、バルブタイミングの計測調整を行い、各部のチェックを行いましたがまた問題が発生しました。実際にエンジンをクランキングさせると、インテークバルブとピストンのクリアランスが足りません。このエンジンのインテークカムはGカムが使われていますが、ピストンの方はノーマルカム対応となっているようです。


IMG_4388 仕方がないのでピストンのバルブリセスを加工して対処することにしました。組んでチェックしてバラして対策して組んでチェックして、と大変な手間がかかりますが、後戻りは出来ませんしね。




IMG_20211116_0001 そんなこんなでエンジンは完成し、途中は省略しますがバイクは形が出来上がり、次の難関は燃調のセッティングです。
 セッティングはシャシダイ上でバイクを走らせてモニターした空燃比データに基づいてファイルを書き換えていきます。スロットル開度は全閉のアイドリング状態から全開までを13段階に分け、それぞれのスロットル開度における各エンジン回転数の空燃比を合わせていきます。かなり面倒で時間がかかる作業です。特にこのP8ECUの場合はRom式なのでエンジンを走らせながらのファイルデータ変更が出来ません。作ったファイルで走らせてデータを取り、書き直したファイルで走らせてデータを取る、の繰り返しになります。
 画像はスロットル開度が25度の時のグラフで、赤線が最初の状態、青線が6回書き換えた後の状態です。グラフ中段が1番シリンダ(前側)、下段が2番シリンダ(後ろ側)の空燃比です。セッティングというのは誤解を恐れずに簡単に言えば空燃比を13前後に合わせる作業なので、セッティング前後の差が良く判ると思います。特に街乗りバイクの場合、常用するのは全開域ではなくパーシャル域なので、気持ち良く走るエンジンにするためにはこういったスロットル中開度のセッティングが重要です。

IMG_20211116_0002 こちらはスロットル全開のパワーチェックです。120馬力を超えたので良い数字だと思います。数字はあくまでTFDのシャシダイで計測されたもので、他の計測機で計測したら数値は別のものになるとは思います。何かしらの比較が目的であれば同じ計測器で計測して比較しないと正確なところは判りません。TFDで計測した履歴があるバイクのデータと比較すると完調な996モノポストと同じくらいですね。996SPSが126馬力前後なのでなかなか良い数字だと思います。




  
Posted by cpiblog00738 at 11:55

2021年10月30日

バルブ

IMG_4497 特殊工具として製作した大径バルブです。バルブとシートのすり合わせ用です。例えば1098Rエンジンの場合、インテークバルブの材質はチタン、径はφ44.3mm、ステム径はφ6mmです。新品バルブを組み込む場合でも、バルブシートとの当たりを取るためにはすり合わせが必須だと考えています。しかし材質がチタンの場合は表面の硬質酸化被膜にダメージを与えてしまうので基本的にすり合わせはご法度。ということはすり合わせ専用のバルブを用意する必要が有ります。もちろんそれまで使用していたバルブをリフェースしてすり合わせに使っても良いのですが、すり合わせ専用のスチール製バルブが有ると便利です。画像のものはφ6mmステムの小径バルブに鉄板を溶接して大径化し、バルブリフェーサーで仕上げて製作しました。すり合わせすると当然バルブフェースも減りますからそうなってきたらリフェースを繰り返して使用します。 
 しかし困ったことに稀に新品バルでも芯が出ていなくて振れが有るものが出現することが有るんですよね。そうした場合はリフェースして使用することになります。スチール製の場合はそれで全く問題無いのですが、チタンバルブの場合は困ってしまいます。予算に余裕が有れば新たに新品を取り寄せれば済むことですが、チタンバルブは高額です。時と場合によってはチタンバルブでもリフェースして使用せざるを得ない場合もあるということになります。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:57

2021年07月05日

トラブル発覚の続き

IMG_4079 エンジンを分解したところ、やはり予想通りでした。クランクシャフトの左右をボールベアリングが支持していますが、フライホイール側ベアリングの球が1個壊れています。





IMG_4081 取り外したベアリングです。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、このボールベアリングはパンタエンジンが登場した時からこの部分に使用されているものです。反対側のちょっと大きい方のボールベアリングはもっと昔、ベベルの時代から使われています。その頃のエンジン出力はせいぜい50馬力程度。それがこのベアリングを使用したエンジンの最終型である1098Rになると180馬力。ベアリングってある意味凄いです。

IMG_4083 ベアリング球を取り出してみました。普段あまり気にしていませんが、ベアリングの球ってどうやって造るんだろう?って思いませんか?以前その製造工程が何かで紹介されていましたが、非常に興味深かったですね。
  
Posted by cpiblog00738 at 08:59

2021年07月04日

トラブル発覚

 多忙ゆえ自分の競技車両の整備は恒常的におざなりになりがちなのですが、ふと思いついてオイル交換をしました。ドレンボルトの磁石に付く異物の量はいつも通りで少量だったのですが、よく見るとそこに通常とは異なる見慣れないものを発見していしまいました。

IMG_4077 これです。ボールベアリングの球の破片に見えます。ということで急遽エンジンを降ろして腰下を分解する羽目になりました。経験上ボールベアリングの球が割れるのはクランクシャフト支持ベアリングのフライホイール側、ということになるのですが、果たしてどうなんでしょう?
  
Posted by cpiblog00738 at 12:08

2021年06月02日

ミッションが....。

 競技専用車両のお話ですが、特に乱暴な運転をするわけでもないのですが何故かエンジンが壊れてしまう、そんなパターンが続くことがあります。

IMG_4021 今回はミッションです。外見では判別できない問題を抱えた部品がその人のところに集まって来るのか、一見普通に見える乗り方の奥に実は何か問題が隠れているのか、真相は分かりませんがそんな方は一般的にクラッシャーとか壊し屋さんとか呼ばれたりしますね。



IMG_4024 それにしても見事にギアの歯が無くなっています。乱暴なギアシフトでギアの位置を保持するサークリップが飛んでギアが二重に噛み合ったために起こるミッション粉砕の場合ではなく、単純にギアの歯が折損するトラブルはこの手のエンジンの場合メインシャフト(クラッチが付く方のシャフト)の3速に発生することが多い印象があります。


IMG_4025 また、このギアのドッグは6速を駆動するものですがこのドッグの折損を目にしたこともあります。そう考えると構造的にこのギアの3速側にウイークポイントがあるのでしょうか?すべてのギアのうちこのギアだけが2つのギア(3速と4速)が一体になった構造です。材質的なばらつきは考えにくいので他のギアより複雑な形状のために熱処理が難しいとか、何らかの理由が有るのかもしれません。

  
Posted by cpiblog00738 at 09:20

2021年05月12日

カムシャフトのバリ取り

IMG_3961 デスモクアトロ系のカムシャフトです。ドリルを差し込んでいるのはオイル供給路で、この穴からカムの内部にオイルが入り、カムローブの穴から出てカムとロッカーアームの摺動面を潤滑します。
 ドリルを差し込んでいる目的は穴径を広げるという訳ではなく、穴の内部のバリ取りです。







IMG_3962 カムの山にはオイル吐出穴が開いていますが、この穴は当然ながら外側からドリルで貫通させて開けます。そうすると貫通した穴の内側にバリが残るのですね。小さなベーゴマのような形状のバリが結構取れます。
 ずいぶん昔のことですが何かの拍子にバリの存在を確認し、それからは作業中にカムが単体になる機会があると必ずドリルを通してバリを除去するのが習慣になっています。
  
Posted by cpiblog00738 at 20:33