2018年06月13日

シャシダイセッティング

 シャシダイセッティング、今回はちょっと古めの996デスモクアトロエンジンです。元々のエンジンはベーシックモデルなのでデカいクランクウェブに鉄コンロッド、カムシャフトも普通の大人しいタイプです。そのエンジンにSPSのクランクとチタンコンロッド、カムもSPS、インテークバルブは748RS、バルブスプリングも748RS、そういった部品を組み込んだエンジンです。それに加えてインジェクターを並列接続してツインインジェクターに変更しました。その理由は、元々のスロットルボディーはシングルインジェクターのため出力が上がるとインジェクターの容量不足が発生する懸念があったからです。最初はこんなに大改造してしまってちゃんとセッティングが出せるのか、正直に言ってちょっと不安でした。

S4R いろいろとやり込んだ結果、そこそこ満足のいく結果が出ました。スロットル全開のパワーチェックです。





S4R-1 中低速域もこの通り。勿論これらの結果はあくまでシャシダイ上でのもので、実走となるとまた変わってくることは承知の上です。それにしても実走してみての結果が大いに気になるところです。  

Posted by cpiblog00738 at 17:46

2018年06月09日

クロモリフレーム

先日フレーム交換のご依頼をいただきました。クロモリフレームを入手したのでスタンダードのフレームと操安性がどう違うのかを体験したいとのことでした。サーキット専用車なのでフレームにも大きな負荷をかけて走行しますから、お客様がどういった違いを感じることが出来るのか私も興味があります。自分の経験でもサーキット走行をするとコルサと街乗り車ではフレームの硬さというか剛性感が明らかに異なることが体感できますから、それと似たような印象となるのでしょうか?

IMG_0145 今回使用するクロモリフレームです。7と40の数字は製造時期で1997年の40週ということです。その後のアルファベット「C」がクロモリ製を表します。このフレームは1998年式の916SPSや748SPSに使用されていたものです。一部の1999年式のバイクにも使用されていたとの情報もありますが、それは実物を見ての判断ということになるでしょうか。ノーマルフレームの場合、材料はALS450と表記されていますがそれがどんなものかはよく判りません。450という数字は引張強さ(N/mm2)を表しているのでしょうか?一方クロモリフレームの方の材料は25CrMo4と表記されています。これはドイツのDIN規格での表示です。日本のJIS規格ではSCM420、もしくはSCM430が相当品であるということなので、引張強さは少なくとも830N/mm2以上ということになります。

IMG_0141 試しにフレームの重量を計測してみました。先に計測したのは今迄使用していたノーマルフレームです。10.14kgということで、結構軽量ですね、という印象です。




IMG_0144 で、次はクロモリフレームの方です。何と、8.93kg。9キロを切っています。構造はほぼ等しいので重量の差は肉厚の差ということになります。






 重量の違いだけで判断しても、形が同じだけでモノとしては別物ということになりますでしょうか?フレーム交換作業はもう終わっていますからあとは実走してみるだけです。どんな違いを感じることが出来るのか、楽しみです。  
Posted by cpiblog00738 at 10:15

2018年05月29日

シャシダイセッティング

 某お客様の1098Rですが、イマイチどころかかなり乗り難い、これはエンジンの出力特性がおかしいのではないか?ということでシャシダイ上でセッティングを施すことになりました。エンジンは基本的にノーマルですがDPのカムが組んであります。ECUはマイクロテックのフルコン(M197)を使用しています。エンジンマネージメントのデータファイルはマイクロテックによる御仕着せのものをそのまま使用しています。以前DP製のECUを使用していた時はエンジン特性に唐突なところは無く特に問題なかったのですが、マイクロテックのECUに交換してから問題が発生した印象がありました。

1098R Before まず現状がどんなものなのか、とりあえず測定した結果です。2番シリンダはまあ許せるとして、1番は酷すぎですね。スロットル開け始めから40%開度迄、6,000〜7,500rpmでA/Fは10に張り付いています。測定可能な範囲が10以上なのでこうなっていますが、実際の数値はもっと低いことが窺い知れます。
 それとは別の問題はスロットル開度100%(全開)時の1番シリンダのA/Fです。8,500rpm近辺でA/Fが15を超えて15.6くらいです。とりあえずこうした問題を是正すべくセッティングを行っていきました。
 その結果、A/Fが濃すぎる問題はクリアできたのですが、例の全開域で薄い状態を改善しようとすると新たな問題が発覚しました。適切な空燃比を得るためにインジェクターからの燃料の噴射時間を増加させていくのですが、そうすると適正な空燃比を得るためには燃料が噴きっぱなしになってしまうのです。M197の御仕着せのフューエルマップを見ると1番シリンダの8,500rpmの噴射時間は最初から約16ミリセックです。エンジンが8,500rpmで回っているということは、4ストロークエンジンの場合だと60秒÷4,250で1サイクルは約14ミリセックです。まあいろいろな要素が絡むのでこの数字を比較して即「噴きっぱなしだ」と決めつける気はありませんが、それでもほぼ限界に近いことは確かです。
 噴射時間の数字を増やして空燃比を正常な値に近付けていきましたが、やはりこの条件ではムリがあるようです。M197にはダイアグの中に噴射時間がオーバータイムになった回数を記録する欄があり、シャシダイ上で数回テストしただけでその数字が万の単位になります。経験上このまま走らせていくとM197は壊れてしまう可能性が高いと判断しました。噴射時間のオーバータイムが積み重なると回路のトランジスタが焼けてしまい、その結果インジェクターが閉じなくなって燃料が噴きっぱなしになってしまうのです。こうなってしまった場合ECUの修理は不可で、対策としてはECUの交換しかありません。
 ではどうするか?燃圧を上げるという手段もありますが、今回はインジェクターの交換に踏み切りました。1098Rは1気筒当たり2個のインジェクターが使われています。プライマリー側がIWP162(容量329cc/min)、セカンダリ側がIWP189(容量510cc/min)というタイプです。これを両方とも容量の大きいIWP189にしてみました。当然燃調のセッティングは最初からやり直しになりますが。

1098R After 改めてセッティングをやり直した結果がこのグラフです。スロットル開度の大きいところの燃調は合わせやすいのですが、開度の小さいところは気温、湿度、エンジン温度、といった諸条件によって結果が安定し辛いので苦労します。とりあえずこの状態で実走してみて、足りないところや不満がある場合は改めて対応しようと思います。ちなみにインジェクターの開弁時間の最大値は13ミリセック程度に収まりました。セッティング後のオーバータイムの数値も百単位だったので問題無いでしょう。

1098R 100% 最後にスロットル全開のパワーチェックの結果です。180馬力を超えました。この時の気温は26度くらいでしたが、もし冬の気温が一桁のような寒い条件下で測定したら190馬力とか出るような気もします。ちゃんと扱えるかどうかはまた別問題ですけど。
 今時のバイクと異なりこのバイクには特に大した制御が介在することはありません。何時何処でもその気になればこの馬力を出力させることが出来るわけです。当時のA級ライダーのインプレッションを思い出しました。「馬力は売るほどあります。無理に開ければリアが滑るかバイクが上を向くかのどちらかです。(笑)」ある意味最後のバイクらしいバイクとも言えます。今時のバイクは200馬力以上のスペックを持っていても常に何かの制御が介在していて、フルパワーを発揮するシチュエーションは極僅かだと思います。安全ですけど。  
Posted by cpiblog00738 at 11:58

2018年05月28日

ピストン割れ

 怪我をしてからそろそろ1か月半。おかげさまで順調に回復しており、既にフツーに仕事をしています。問題があるとすれば重量物の運搬くらいでしょうか。動くとそれなりに痛いのは仕方がないですが、痛さには慣れてしまうものです。痛み止めの薬も最近は使っていません。骨が完全に付くまでに3ヶ月くらいはかかるのが普通と聞きますから、1か月半としては上々な仕上がり?です。

IMG_3409 ところでまたピストン割れが出現しました。ピストンを使用した距離は約3,200kmとのこと。もちろんサーキット走行専用車両です。経験的にレース用ピストンの耐用距離は大体3,000kmと昔から認識していますから、今回もまさにその通りということになります。運が良ければシリンダは再使用、ピストンの交換のみでエンジンを復活させることが出来るのがドゥカティの凄いところです。  
Posted by cpiblog00738 at 15:29

2018年04月06日

ピストン割れ

 先日ピストン割れの記事を掲載しましたが、その続報です。新品のピストンが入荷したので作業を再開しました。トラブルが起きたのはリアシリンダでしたが、ピストンは当然ながら前後セットで交換します。壊れたのはリアだけなのにセットでの交換はもったいないと思いますか???

IMG_3408 フロントのヘッドを外しました。同じことが起こりつつあります。もしリアだけ交換して走行すれば、おそらく次の走行でこっちも同じことになるでしょう。考えてみれば当然で、前後ピストンにかかるストレスは同等です。今時の製品は製造技術が進んでいるので製品のばらつきは少ないです。従ってこのような結末は容易に予想できます。  
Posted by cpiblog00738 at 16:22

2018年03月22日

トルクレンチ

 以前ブログで紹介したデジタルトルクレンチのお話です。その時は角度締めを行った時にかかったトルクが確認できるので非常に便利ですが、ボルトの伸びとその時のトルクを同時に管理できればもっと良い、と評価しました。
IMG_0084 最近それが出来る方法を発見しました。(今更かよ、という人もいるかもしれませんけど。)トルクレンチの先にこのようなアダプタを取り付けます。このアダプタはセンター間が2インチ(50.8mm)です。そしてこのトルクレンチにはこうしたオフセットに対する補正の機構が存在するのです。頭良いですね。画像のマイクロメーターが指示している0.069という数字はこの状態でのコンロッドボルトの伸びを示しています。

IMG_0086 トルクレンチの表示はこうなっています。OFFSET IN USE と表示されていますが、設定でオフセットは50.8mmと入力してあります。その下の表示は角度ではなくトルクで、この状態だと130Nmが目標値で、そのトルクがかかるとアラームが作動しますが、この使用方法の場合この数字は大きめに適当に設定してあります。


IMG_0087 そこでマイクロメーターの数字を見ながら目標の伸びが得られるまでボルトを締め込んでいきます。例えば今回の目標値は0.155mmで、そこまで絞め込んだところでトルクレンチへの入力を緩めるとその時のトルクが表示されます。
 今回はボルトが0.155mm伸びるところまで締め付けを行い、その時に要したトルクは88.9Nmだったということです。例えばメーカーが、ボルトの伸びが0.155±0.005mmでその時要したトルクは55〜95Nmの範囲にあること、と指定しているのであれば、今回の締め付けはその範囲内にあり適正であったと判断できます。
 今迄は伸びもしくはトルクのどちらか片方しか管理できなかったのですが、これでコンロッドボルトの締め付けに関する管理は完璧ですね。





  
Posted by cpiblog00738 at 19:57

2018年03月18日

これですか・・・。

 今日も絶好調だぜ!!とレーストラックを爆走中に突然のエンジンストール。持ち込まれたバイクを一見しても特に問題は無さそうで、セルを回すと異音もなく普通にクランキングします。そこでまずは電気関係を疑ってみます。プラグを換えればOKでしょう、と安易に考えていたのですが、全くダメ。そこでギアを入れて後輪を回してみたところ、片側気筒の圧縮がありません。

IMG_3401 そこで改めてプラグホールの奥を注視してみると・・・・。明らかに普通じゃないですね。






IMG_3403 ヘッドを外してみるとこんなになっていました。このパターンは何度か経験済みですが、要するにピストンの寿命だと私は認識しています。






IMG_2592 このように燃焼ガスの圧力がピストントップ全体にかかるのですが、それを支えるのはピストンピンなので、1本の線で支えているようなものです。ピストンピンの位置を中心にピストンには曲げ応力がかかります。で、ピストンに寿命が来ると真ん中から折れてしまう、私はこのように認識しています。 
 特定銘柄の社外ピストンだからこうなるという訳ではなく、勿論他社の社外製品でもこうなった経験はありますし、純正ノーマルピストンでも同様なことを経験しています。要するに「使い切ったぜ!」ということなので、開け切った勲章みたいなものだと思ってください。  
Posted by cpiblog00738 at 11:25

2017年11月20日

シャーシダイナモが稼動しました

IMG_3106 シャシダイ本体の設置はずいぶん前に終わっていたのですが、付帯設備を整えるのに予想以上の時間とお金がかかってしまいました。今日やっとのことでめでたくシェイクダウンの運びとなりました。
 まだ少ししか触っていないのですが、今時のシャシダイは優秀ですね。その性能にびっくりしました。基本的な造りは昔から変わっていないと思いますが、負荷装置が装着されたことと、当時と比較してPCソフトが驚異的な進化を遂げたことによって今まで使用していたエンジンダイナモを上回るパフォーマンスを持っていると感じました。

IMG_3107 そしてこれがTFDのシャシダイの売り(だと私は思っています)である、冷却システムです。エンジンの冷却に車載のラジエーターを使用しません。エンジンダイナモで使用していた既存の冷却システムを利用してエンジンを直接冷却します。この冷却システムは屋外に設置してある巨大な水タンクからポンプによって水が循環するようになっており、サーモスタットも装備しているので水温が非常に安定します。バイクのメーターであるAIMのディスプレイ上の表示で水温68度でサーモスタットが作動しますが、暖機してこの温度に到達した後は何をやってもほぼ70度で水温が安定します。
 今日はいろいろなテストを連続して行いましたが、水温は68度から72度の間しか変動しませんでした。もちろん真夏のような季節になればもう少し水温は上がると思いますが、エンジンダイナモを使用していた時の経験に照らし合わせると真夏でも80度は超えないと思います。この冷却システムがあってこそ、このシャシダイの性能を発揮させることが出来ると考えます。 
 ただエンジンダイナモの時は人間は部屋の外にいますが、シャシダイの場合は人間もダイナモ室の中ですから、換気を始めると今の季節はとても寒いし、エキパイのそばの足は火傷しそうに暑いし、音は大きくてうるさいし、体力的な負担はありますね。それと凄い勢いでリアホイールが回っているのも結構怖いです。実際にバイクに乗っているときは気にならないのにちょっと不思議です。(笑)
 ちなみにダイナモ室の換気システムもかなり完璧ですから、ダイナモ室の中でテストを連続して行っていても、ガス臭いとか息苦しいとか目がチカチカするとか、そういった状況とは全く無縁です。  
Posted by cpiblog00738 at 20:35

2017年10月19日

ダイナモ入れ替え

 この度TFDの工場内にシャーシダイナモを導入する運びとなりました。今迄はエンジンダイナモが活躍していたのですが、最近稼働する機会がめっきり減り、あまりにも効率が悪くなってきたのでこの際思い切っての入れ替えです。エンジンダイナモだとエンジンを単体にして機械にセットする必要がありましたが、シャーシダイナモならバイクをそのまま載せるだけですから稼働率は段違いになると思います。

IMG_3038 本体の設置作業はほぼ終了したのですが、実際に稼働させるにはまだいろいろと作業が必要です。来月の初めくらいにはシェイクダウンしたいですね。  
Posted by cpiblog00738 at 20:27

2017年08月06日

暖機中にギアが入って・・・。

 エンジンを暖機するために空ぶかしをしていたら突然ギアが入って後輪が空転し、タイヤウォーマーがちぎれ飛ぶ、という光景をサーキットでたまに目にすることがあります。状況によってはチェーンが部分的に伸びてしまったり、酷い時にはスプロケットシャフトまでもが曲がってしまうことさえあります。何故そんなことが起きるのでしょうか?
 勿論暖機中にシフトレバーを何かのはずみで押したりしてしまったとすればそれは論外ですが、そうでない場合の原因はギアが本来のニュートラルではなく、俗に言うハーフニュートラル、というような状態にあるからです。

IMG_2823 ギアシフトはシフトドラムという部品が回転することによってシフトフォークが動作して行われます。例えばこの状態は2速に入った状態です。ドラムの端は画像のような形状になっていて、ローラーがアームによって窪み部分に押し付けられる構造になっており、ドラムがむやみに回転しないようになっています。ドラムが回転して次の窪みがローラーのところにやって来れば、次のギアにシフトされたということになります。窪みと窪みの中間の山の部分にはそれぞれギアがかみ合っていないニュートラルになるところがあります。

IMG_2822 この状態が1速と2速の間にある「ホンモノ」のニュートラルです。ドラムの山はここだけ平らになってローラーが落ち着きやすいようになっています。





IMG_2825 「ホンモノ」のニュートラルの時は、それに加えてドラムの反対側ではこのようにドラムの窪みにスチールのボールがスプリングの力で押し付けられる構造になっています。要するにドラムのニュートラルの位置はしっかり固定されてドラムがむやみに回ったりしないようになっているということです。



IMG_2824 それで例えばこの状態ですが、これは2速と3速の中間のニュートラルになっている状態です。俗にハーフニュートラルとかと呼ばれたりします。確かにこの状態ではギアは全くかみ合っていませんからニュートラルと言えばニュートラルですが、押し付けられているローラーの位置はドラムの山の頂点ですから何かの拍子にドラムがちょっと回ってローラーが窪みの部分に移動しやすいことは理解しやすいと思います。そしてローラーが窪みの部分に来るということはギアが入った状態になるということです。
 つまりこのようなハーフニュートラルと呼ばれる状態で暖機運転をしていると、エンジンの振動等の要因でドラムがちょっと回転してギアが入ってしまうということが非常に起こりやすいと言えます。
 という訳で、暖機する前にギアが「ホンモノ」のニュートラルの位置になっているかどうかを必ず確認することで、この事故は防止することが出来ます。


  
Posted by cpiblog00738 at 01:14

2017年06月16日

クランクケース

IMG_2679 φ104mmボア用の砂型クランクケース、新品です。出物があったのでまた仕入れちゃいました。見つけたら買う!ですね。実際に必要な状況になってから探してもなかなか見つかるものではありませんし、かといって新品をそのまま定価で購入するのは普通の感覚ではムリだと思います。  
Posted by cpiblog00738 at 11:39

2017年05月19日

初めて見ました

IMG_2634 これ何だか判りますか?







IMG_2633 元の形状に戻すように合わせるとこうなります。バルブアジャストシムのクローズ側ですね。こんなになったのはさすがに初めて見ました。この場所のクローズ側ロッカーアームも折損してヘッドはえらいことになっていました。
 しかしロッカーアームが折れたのと、シムが割れたのと、果たしてどちらの事象が先に起こったのか?判断が難しいです。シムが割れたためにロッカーアームが折れたのか?ロッカーアームが折れたためにシムが割れたのか?どっちなんでしょう?  
Posted by cpiblog00738 at 13:09

2017年04月27日

トルクレンチ

 先日トルクレンチを購入しました。デジタル方式で角度締めにも対応しているタイプです。早速テストしてみましたが、はっきり言ってこれは便利です。とは言うものの、使用するのはコンロッドボルトの締め付け限定になりそうですけど。
 例えばスチールのコンロッドボルトの場合、最初に20Nm、次が35Nm、ここから角度で65度±1度締め付けるという方法を取ります。その時の最終的なトルクが70〜103Nmの範囲にあることが必要です。要するに65度回したときに必要だったトルクがこの範囲内になければいけないということです。ですが実際問題として一般的な工具では角度とトルクの両方を管理することは難しいので、通常は角度のみを頼りに締め付けてトルクに関しては目をつぶるというのが当たり前でした。
 しかしこのトルクレンチはその両方を管理できます。

IMG_2583 実際にやってみますが、まずトルクレンチの設定を65度の角度に合わせます。
 





IMG_2585 そこから締め込んでいきますが、締め込み途中の角度が表示されています。今54度まで締め込みました。角度の認識はトルクレンチ内のジャイロセンサーによるものだそうです。自分の常識で考えると殆どブラックボックスですね。




IMG_2586 目標の65度まで締め込むとインジケーターランプが緑色に点灯し、アラーム音とともにトルクレンチが振動してそれを作業者に教えてくれます。






IMG_2590 そこで工具にかけていた力を抜くと、今の締め付けに要したトルクが表示されます。今回は97.1Nmでした。締め付けに要したトルクも指定値の範囲内だということが確認できました。
 しかし締め付け角度で管理するのはスチールのコンロッドに使用されているボルトだけで、チタンコンロッドのボルトは角度ではなく伸びで管理します。ボルトの伸びとその時のトルクを同時に管理できるトルクレンチは今のところまだ無さそうですね。あったら買うと思いますが、お値段は如何程になるんでしょう?高そう!



   
Posted by cpiblog00738 at 20:00

2017年04月14日

ホースバンド

IMG_2561 今回はホースバンドのお話です。右が純正品です。左はメーカーは判りませんがステンレス製と思われ、造りも軽量に出来ているように見えます。双方の大きな違いはバンドのネジへの引っ掛り部分で、純正は山形に盛り上がっていて、社外品の方はバンドに開いた穴になっています。ここにネジの山がかかって絞めたり緩めたり出来るということになります。


IMG_2562 一見すると社外品の方が良さげに見えたりするのですが、実はこの手のホースバンドは場合によっては大きな問題が起こることがあります。
 画像は純正ホースよりも高級品と言われている最近よく使われるシリコン系のホースに使用した例ですが、ご覧になるとわかるようにちょっとおかしなことになっています。


IMG_2564 拡大するとこんなです。ホースバンドを締め付けるとバンドの穴の端面でホースが切れて穴の中から切れたホースがムニムニと出て来てしまっています。まるで花が咲いたみたいな状態です。
 なのでホースバンドを交換する場合はこういったことも考慮してモノを選ぶのが良いと思います。

   
Posted by cpiblog00738 at 19:56

2017年03月31日

エンジンのペイント

 空冷エンジンは走行距離が進むとどうしても汚れが目立つようになります。特にフロントバンクのヘッドやシリンダは真っ黒になってどうやっても汚れが落ちなくなります。それに加えて、例えば現在作業中のDS1000のエンジン等はエンジンが粉体塗装によるペイントなので、エンジンの発熱によって塗膜がブツブツと沸いた状態になったり剥離してしまったりします。なんでエンジンに粉体塗装なんかするのか、理由がよく解りませんが・・・。

IMG_2529 で、エンジンのオールペンです。ドゥカティのエンジンはこうしてみると部品点数が多いです。画像では、クランクケースには既にベアリングやスタッドボルト等が組み付けられて元の状態になっていますが、ペイントの時にはそういったものは全て取り外した状態になります。かなりの手間と部品が必要になります。
 外したものは基本的に新品に交換になります。例えばベアリング等は再使用出来ないこともなさそうですが、ここまでやったらやはり新品を使いたいですよね。
    
Posted by cpiblog00738 at 17:15

2017年03月23日

エンジンオーバーホール 結局3個イチエンジン

IMG_2499 デスモクアトロエンジンのオーバーホール中です。916SPS、サーキット専用車両です。でもこのエンジン、分解して行けば行くほどヤバい感じです。







IMG_2500 例えばシリンダ。リングが接触していた部分はピカピカで、ほとんど鏡面仕上げです。ここが鏡面仕上げになっていてもねえ・・・・、困ったもんです。






IMG_2503 ピストンのピンボスです。カジッちゃってますね。







IMG_2504 ピストンピンです。思いっきり段差がついてます。







 これだけではなく、分解してチェックししていくとその他にもいろいろな問題はどんどん出現してきます。というわけで、このエンジンダメなんですけど、とお伝えしたところ、それではということでスペアでお持ちだったSPSのエンジン2基が新たに持ち込まれました。
 最初はその中で一番年式が新しいエンジンで行こうかと思い、とりあえずバラしましたがイマイチ怪しい感じが・・・。で、結局もう一台もバラし、現在エンジンが3基バラバラです。
 最後にバラしたエンジンの程度が一番良いので基本的にこのエンジンで行くことにしましたが、せっかくエンジン3基がバラバラなので、その中から一番良い状態の部品を選択しながら作業を進めていくことになりました。ある意味非常に贅沢なオーバーホールです。
 
   
Posted by cpiblog00738 at 18:15

2017年03月04日

ヘッドの重量

 先日の続きで、それではということでヘッドの重量を計測してみました。

IMG_2425 まずはDS1000のシリンダヘッドAssy、リア側です。重いのか軽いのか?果たしてどうなんでしょう?ちなみにフロント側はこれよりも約0.5kg程度軽量です。






IMG_2424 こちらは1198のシリンダヘッドAssyです。 カムシャフトが2本、バルブが4本、ロッカーアームその他の部品もその数は空冷の倍です。それにしては空冷と大差ない?
 次回は機会があればエンジン丸ごとの重量を比較してみたいですね。   
Posted by cpiblog00738 at 22:39

2017年02月22日

空冷エンジンのシリンダ

IMG_2409 空冷エンジンのオーバーホール中ですが、いつも感じるのが空冷エンジンのシリンダの重さです。冷却用のフィンもアルミとはいえ金属なので、かなりの重量になるようです。手に持つとかなりズッシリと来ます。エンジンはDS1000です。思い付きでリアシリンダの重量を計測してみました。その結果、2779.4グラム。 


IMG_2410 当然ながらそれでは水冷のシリンダの重量は如何に?ということになりますよね。1198のシリンダの重量を計測してみました。その結果、1398.9グラム。ほぼ半分の重さです。
 空冷の方のフロントシリンダの重量はリアのそれほどは重くないのですが、そちらも計測してみた結果 、DS1000のシリンダの重量は前後合わせて5299.5グラムでした。水冷の1198の方も計測したところ、こちらは前後合わせて2798.8グラム。その差は2500.7グラムということになります。1198の冷却水の容量は2.3±0.5リットルということになっていますから、冷却水の重量を加えても空冷シリンダの方がまだ重いということになりますね。
 シリンダヘッドの重量も今度機会があれば計測してみたいと思います。   
Posted by cpiblog00738 at 20:25

2017年02月14日

近況

IMG_2365 有難いことに最近やることがいっぱいで、とてもブログの記事を考えている場合ではありません。お客様には入庫をお待ちいただいている状態ですが、決してサボっているわけでもありません。
 工場内に入庫しているバイクはご覧の通り、 何時ものように車種は偏っています。この後入れ替わりで入って来るバイクも998と996です。別に車種限定でやっているつもりはないのですが、趣味性が高いお客様が乗っているのはちょっと前の世代のバイクが多いということですね。
 このままあっという間に春になって、レースの準備でバタバタするのが目に見えるようです。   
Posted by cpiblog00738 at 17:41

2016年12月22日

砂型ケースだって割れます。最新版

 レース中に異音が発生してしまったエンジンですが、原因はクランクケースのクラックでした。
 BOTTのレースは最近特にレベルアップが激しいのですが、その中でトップ争いをするとなると、以前と比較してエンジン車体ともにストレスは大きいようです。このエンジンのクランクケースは強度的に優れた砂型ですが、やはり割れる時は割れるということです。

IMG_2208 左上の穴から右上のシフトドラムの穴まで、横方向にクラックは繋がっています。縦方向はクランクベアリングまでですね。もう少しで分解か?という感じですが、ここまでクラックが進むと振動もすごいでしょうし、エンジン回転に合わせて割れ目がバクバク開いたり閉じたりして異音も発生するということです。
 



 IMG_2210 このようにクラックはオイルジェットの穴に絡むことが非常に多いです。ストレスがかかるところに穴があったりキズがあったりするのは良く無いと大昔から言われていますが、まさにその通りということです。  
Posted by cpiblog00738 at 20:32

2016年11月18日

オフセットキー

 パンタ系のエンジンからテスタストレッタ以前までのエンジンでは、バルブタイミングの調整をオフセットキーを使用して行ってきました。タイミングプーリーはキーを介してカムシャフトに取り付けられますが、このキーを段付きにすることでプーリーの取り付け角度を変更してタイミングを調整するということです。
 このキーには2度から16度まで、2度刻みで8種類のものが存在していましたが、 今となっては全てが廃番で入手が困難となっています。TFDではその全てをそれなりの数在庫してきましたが、さすがに最近 種類によってはストックが底をつきそうなものも出てきました。
 そこで今回この部品を独自に試作してみました。

IMG_2154 画像が試作した製品で、変更角度は2度です。 製作工程の都合により、端面がピン角になっていて下手をすると手が切れそうですが、そのあたりはご愛敬ということで。必要とあれば後は手作業で対処することにします。
 さすがにこういった物を単品で製作するとなるとコストがかかりますが、私としては「もう無い」では済まされないものなのでしょうがないですね。   
Posted by cpiblog00738 at 10:06

2016年11月17日

メタルトラブル

IMG_2136最近よく見る光景です。
コンロッド大端のメタルですが、エンジン運転中は通常であればクランクピンとメタルの間にはオイルが存在し、部品同士が直接接触することは基本的にありません。
何かの拍子にお互いが直接接触することがあっても、それが軽微であれば問題はありません。例えば久しぶりにエンジンを始動した時などがこれに当てはまると思われます。
しかしエンジンの負荷が大きい時に直接の接触が起こると、加速度的にダメージが進んでこんな状態になってしまいます。
ちなみに一番手前のメタルが使用済みの状態が良いものです。
メタルがこのようにダメージを受けてしまうと、当然のことですがクランクとコンロッドは使い物にならなくなります。
おまけにメタルクリアランスが1mm超とかになってしまうと、ピストンがその分上昇するのでピストン上部とヘッドが接触します。
場合によってはピストンの下部がクランクウェブに当たる場合もあります。
とにかく見たくない光景ですね。
   
Posted by cpiblog00738 at 10:34

2016年09月12日

あちゃ〜

IMG_1997エンジンからの異音の原因は、、、、。  
Posted by cpiblog00738 at 15:31

2016年09月06日

皆さんお疲れです

IMG_1981自分が乗っている996は走行毎にクラッチのメンテを行っていますが、今回分解してみるとスパイダースプリングの様子がいつもと違ってちょっと変です。
部品を取り外した時は外見上特に問題は無さそうだったのですが、スプリングを押さえている段付きワッシャーとの当たりが部分的に当たっていないところが有ります。
最初は乾式のモリブデン被膜に埋もれてはっきり確認できなかったのですが、スプリングを手で曲げ伸ばしをしてみると線が現れてきました。


IMG_1982やっぱりスプリングが割れちゃってます。
何時から使っていたかは覚えていません。
使用頻度はそんなに高くなかったと思うのですが、部品の寿命が来たということですね。
今週末は筑波でレースですから、レース当日のタイミングで発覚しなくてよかったです。


IMG_1983こちらはまた違うエンジンですが、原因不明のオイル漏れが起こるようになったのが事の発端でした。
クラックチェックをしてみたらタイミングシャフトの付け根にクラックを発見。
クラックはエンジンの内側に発生して徐々に進行していきますが、それがエンジンの外部まで届いたということでオイル漏れが発生します。
内部のクラックはかなり進行していると思われます。
対策はケース交換ということになります。
溶接したのも見たことがありますが、ストレスがかかって割れる場所なのでダメですね。
私が見たことがあるものは例外なく全く同じところが割れています。
おそらく溶接修理した後の初走行で、同じ場所が秒殺で割れてしまうのだと思います。



  
Posted by cpiblog00738 at 11:52

2016年08月06日

砂型クランクケース

IMG_1918φ104mm用の砂型クランクケースです。
また新品を仕入れてしまいました。
使うアテが有るのかと言われると困りますが、そのうち自分で使うのではないかと思っています。
必要な方は言ってください。(笑)
   
Posted by cpiblog00738 at 12:35

2016年06月06日

ソケットが、、、。

IMG_1737とんでもないトルクで締め付けられたと思われる緩まないエンジンマウントボルトのナットを緩めようとして、工具を壊してしまいました。
最初はいつものように12角のボックスソケットを使ったのですが、既にナットの角がナメ気味だったので6角のソケットを使用しました。
で、緩めようとしたらこの結果です。




IMG_1738こいつはスナップオンのソケットで、刻印からわかるように1981年製です。
自分が駆け出しの頃に新品で購入し、それから今まで35年間使い続けてきた工具でした。
こういった工具の寿命はそれを使用する人間の寿命よりも長いだろうと今まで思っていましたが、どうもそうとは限らないようです。




それでその先の話がありまして、その緩まないナットを緩めないことには作業が進まないのでとりあえず代替えの工具を調達にここからすぐ近くのホームセンターに行きました。
ホームセンターですから、当然ながら置いてある工具は大したことはありません。
6
角のソケットは1種類しかありませんでした。
税込み¥321-というシロモノです。
こんなんでイケるのか?と思いましたが、ダメもとでそれを購入。
帰って早速作業続行すると、何と!ナットは普通に緩みました。
かなり複雑な気分になりました。
321-の激安工具がほぼビンテージのスナップオンよりも優れているという事実。
それは35年という時代の変遷による技術の進歩と理解すればよいのでしょうか?
そしてまだ続く衝撃の事実。
買って来たソケットと同じものをネット通販で検索してみると、このソケット、8mm19mm8個セットで税込み¥794-で売ってます!
世の中どうなってんだ?
勿論買ったりしませんよ。
翌日工具屋さんに出かけて行ってハゼット製の製品を買ってきました。

  
Posted by cpiblog00738 at 10:32

2016年05月29日

現在のガレージ内

BlogPaint現在のガレージ内の眺めです。
何故か車種が片寄っちゃってますね。(笑)
   
Posted by cpiblog00738 at 16:30

ミッショントラブル

007う〜ん、なかなか激しいですね〜。
あまり見たくない光景です。   
Posted by cpiblog00738 at 16:15

2016年05月06日

エンジンのペイント

連休中はいつものことながら外出などせず、仕事一筋です。(笑)
来客も無く静かなので、この時とばかりになかなか手を付けられなかったバイクに取り掛かりました。

014パンタ系のエンジンです。
Pカムが入っているやつです。
ほぼレストアです。
エンジンのペイントを行うので各部品を分解しました。
通常のオーバーホールでは分解しないところまでバラすので結構な手間がかかります。
こうして見ると結構な部品点数ですね。
分解組立も大変ですが、ペイントする人も大変でしょう。   
Posted by cpiblog00738 at 20:28

2016年02月20日

必要に迫られて購入

004こちらも必要に迫られて買ってきました。
ビモータのハンドル、新品です。
こればっかりは新たに製作、というわけにはいきませんでした。
新品が見つかってラッキーです。
   
Posted by cpiblog00738 at 11:54